保険医療部通信(第384報) – 令和6年度診療報酬改定の論点<その3>

 令和6年度診療報酬改定率については,既報のとおり昨年12月20日に決定し,本体は過去10年で最も高いプラス0.88%を確保したが,生活習慣病を中心とした管理料や処方箋料等を再編し改定財源を捻出することとされた。
改定率決定を受けて,中医協では基本方針も踏まえた具体的な点数配分の議論が行われているところである。
 昨年末には診療側・支払側それぞれが改定への意見を表明し,診療側は,初・再診料,外来診療料について,医師の技術料の最も基本となる部分で医療機関の経営原資となるものであり,物価高騰など,現下の経済社会情勢にも対応し,職員等の人件費や施設費等のコストに見合った点数に引上げることが必要だと主張した。また,入院医療では重症度,医療・看護必要度の評価項目が改定のたびに変更され,医療現場にとって負担となっていることから,今改定での大幅な見直しは避けるべきと強調した。
 一方で,支払側からは,特定疾患療養管理料の対象疾患から高血圧・糖尿病・脂質異常症は除外し生活習慣病管理料のなかで評価することや外来管理加算の廃止,重症度,医療・看護必要度はB項目を用いないなど評価項目の大幅な見直しや救急医療管理加算の対象患者を見直すこと,さらに高齢の救急患者にリハビリテーション,栄養管理,在宅医療や介護との連携などを包括的に提供できる新たな病棟類型を創設し,10対1の急性期病棟をそちらに移行させ,一定期間後には急性期一般入院料2~6は早急に廃止するべきと主張している。2月の答申に向けてその議論に注目が集まる(1月11日時点)。
 本号では,12月1日号保険医療部通信「令和6年度診療報酬改定の論点<その2>」の続報として,11月中旬以降の改定関連情報について,主に中医協総会の議論の論点を整理し,お知らせする。

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