令和6年度診療報酬改定の「議論の整理」をまとめる/中医協

 令和6年度診療報酬改定率が決定したことを受けて,厚生労働大臣は1月12日,中医協総会に令和6年度診療報酬改定の諮問書を提出。同日の総会に「令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」を示すとともにパブリックコメントを募集した。医療現場や患者等国民から集まった意見も踏まえ,骨子をもとに中医協でより具体的な議論が行われている。
 「議論の整理」は,令和5年12月11日に示された基本方針に沿って項目立てされている(Ⅰ現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進,Ⅱポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化,連携の推進,Ⅲ安心・安全で質の高い医療の推進,Ⅳ効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上)。
 外来診療では,日常的な感染防止対策や職員の賃上げの観点から初再診料等の評価を見直すとされている。また,生活習慣病管理料の要件・評価の見直しや,特定疾患療養管理料の対象患者の見直しのほか,リフィル処方および長期処方の活用等の観点から特定疾患処方管理加算の要件・評価も見直すなどとされている。
 入院医療では,40歳未満の勤務医,事務職員等の賃上げの観点から入院基本料等の評価の見直しや,急性期一般入院料1の平均在院日数の見直し,一般病棟用の重症度,医療・看護必要度の判定に係る評価項目・該当患者割合の基準を見直すなどとされている。
 中医協ではこれらの項目に基づいた議論を経て,2月中旬を目途に答申する予定である。
 前述のごとく,厚労省は,広く国民からの意見を踏まえた上で,幅広く議論を進めるという観点から,「議論の整理」についてパブリックコメントを募集したが,府医としては,会員および各地区医・専門医会宛に全体の内容およびパブリックコメントの提出要項をお知らせするとともに,内容を検討の上コメントの提出を依頼した。
 「議論の整理」は下記のとおり。

令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(抜粋)

Ⅰ 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進

Ⅰ-1 医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組

  •  看護職員,病院薬剤師その他の医療関係職種について,賃上げを実施していくため,新たな評価を行う。
  •  入院基本料等について,以下の見直しを行う。
    •  退院後の生活を見据え,入院患者の栄養管理体制の充実を図る観点から,栄養管理体制の基準を明確化する。
    •  人生の最終段階における適切な意思決定支援を推進する観点から,当該支援に係る指針の作成を要件とする。
    •  医療機関における身体的拘束を最小化する取組を強化するため,医療機関において組織的に身体的拘束を最小化する体制の整備を求める。
    •  ①~③のほか,40 歳未満の勤務医師,事務職員等の賃上げを実施すること等の観点から,入院基本料等の評価を見直す。
  •  外来診療において標準的な感染防止対策を日常的に講じることが必要となっていること,職員の賃上げを実施すること等の観点から,初再診料等の評価を見直す。
  • (略)
  • (略)

Ⅰ-2  各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善,タスク・シェアリング/タスク・シフティング,チーム医療の推進

  •  医師事務作業補助者による医師の業務への適切な支援を推進する観点から,医師事務作業補助体制加算について要件及び評価を見直す。
  •  適切な集中治療を推進する観点から,特定集中治療室管理料について,重症患者の受入れ及び多様な医師の人員配置を考慮した評価体系に見直す。
  •  病棟における多職種連携によるポリファーマシー対策をさらに推進する観点から,業務の合理化がなされるよう,薬剤総合評価調整加算について,要件を見直す。
  •  病棟薬剤業務に関して,チーム医療の推進と薬物治療の質の向上を図る観点から,地域医療に係る業務の実践的な修得を含めた病院薬剤師の研修体制が整備された医療機関の病棟薬剤業務について,新たな評価を行う。
  •  悪性腫瘍の患者に対する外来における安心・安全な化学療法の実施を推進する観点から,外来腫瘍化学療法診療料について,要件及び評価を見直すとともに,診察前に薬剤師が服薬状況等の確認・評価を行い,医師に情報提供,処方提案等を行った場合について新たな評価を行う。

Ⅰ-3  業務の効率化に資するICTの利活用の推進,その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価

  •  ICTの活用等による看護職員の更なる業務負担軽減の観点から,「夜間看護体制加算」等の夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等の項目を見直す。
  •  医療機関等における業務の効率化及び医療従事者の事務負担軽減を推進する観点から,施設基準の届出及びレセプト請求に係る事務等を見直すとともに,施設基準の届出の電子化を推進する。

Ⅰ-4  地域医療の確保及び機能分化を図る観点から,労働時間短縮の実効性担保に向けた見直しを含め,必要な救急医療体制等の確保

  •  より実効性を持った医師の働き方改革を推進する観点から,地域医療体制確保加算について要件を見直す。
  •  勤務医の働き方改革を推進する観点から,処置及び手術に係る休日加算1,時間外加算1及び深夜加算1について要件を見直す。

Ⅰ-5 多様な働き方を踏まえた評価の拡充

  •  適切な集中治療を推進する観点から,特定集中治療室管理料について,重症患者の受入れ及び多様な医師の人員配置を考慮した評価体系に見直す。(Ⅰ-2(2)再掲)
  •  看護職員及び看護補助者の業務分担・協働を更に推進する観点及び身体的拘束の最小化の取組を促進する観点から,看護補助体制充実加算の要件及び評価を見直す。
  •  感染対策等の専門的な知見を有する者が,介護老人保健施設等からの求めに応じてその専門性に基づく助言を行えるようにする観点から,感染対策向上加算等のチームの構成員の専従業務に当該助言が含まれることを明確化する。
  •  ICT の活用等による看護職員の更なる業務負担軽減の観点から,「夜間看護体制加算」等の夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等の項目を見直す。(Ⅰ-3(1)再掲)
  •  訪問看護ステーションにおける看護師等の働き方改革及び持続可能な24 時間対応体制の確保を推進する観点から,24 時間対応体制加算について,看護業務の負担軽減のための取組を行った場合を考慮した評価体系に見直す。また,24 時間対応に係る連絡体制の取扱いを見直す。

Ⅰ-6 医療人材及び医療資源の偏在への対応

  •  近年の情報化社会の進展に伴うサービスの多様化に対応する観点から,時間外対応加算について,時間外の電話対応等の多様な在り方を考慮した評価体系に見直す。
  •  適切な集中治療を推進する観点から,特定集中治療室管理料について,重症患者の受入れ及び多様な医師の人員配置を考慮した評価体系に見直す。(Ⅰ-2(2)再掲)
  •  医師少数区域の医療機関において,専門的な医師が不在である場合に,基幹施設との適切な連携により急性期脳梗塞の患者に対するt-PA 療法を実施することを推進する観点から,超急性期脳卒中加算について要件を見直す。
  •  脳梗塞の患者に対して血栓回収療法が実施される割合が医師少数区域において低いことを踏まえ,医師少数区域又は医療資源の少ない地域に所在する医療機関が専門的な施設と連携して血栓回収療法の適応判断を行った上で専門的な施設に搬送し当該療法を実施した場合について新たな評価を行うとともに,超急性期脳卒中加算について,要件を見直す。
  •  DPC/PDPS について,適切な包括評価を行う観点から,医療機関別係数について,評価の主旨や実態を踏まえ,評価方法を見直すとともに,医師派遣機能等について,新たな評価を行う。
  •  医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に推進する観点から,回復期リハビリテーション病棟入院料について,評価体系を見直すとともに,地域包括ケア病棟入院料2及び4並びに在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について,要件を見直す。
  •  医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に推進する観点から,第8次医療計画における二次医療圏の見直しの予定等を踏まえ,対象となる地域を見直す。

Ⅱ  ポスト2025 を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DX を含めた医療機能の分化・強化,連携の推進

Ⅱ-1 医療DX の推進による医療情報の有効活用,遠隔医療の推進

  •  オンライン資格確認等システムの活用により医療DX を推進し,質の高い医療を提供する観点から,以下の見直しを行う。
    •  医療機関・薬局におけるオンライン資格確認等システムの導入が原則義務化され,オンライン資格確認に係る体制が整備されていることを踏まえ,医療情報・システム基盤整備体制充実加算の評価の在り方を見直す。
    •  オンライン資格確認の導入による診療情報・薬剤情報の取得・活用の推進に加え,「医療DX の推進に関する工程表」に基づき,利用実績に応じた評価,電子処方箋の更なる普及や電子カルテ情報共有サービスの整備を進めることとされていることを踏まえ,医療DX を推進する体制について,新たな評価を行う。
    •  居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム,電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスにより,在宅医療における診療計画の作成において取得された患者の診療情報や薬剤情報を活用することで質の高い医療を提供した場合について,新たな評価を行う。
    • 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入されることを踏まえ,初回訪問時等に利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して,指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い,質の高い医療を提供した場合について,新たな評価を行う。
    • 救急時医療情報閲覧機能の導入により,救急患者に対する迅速かつ的確で効率的な治療を更に推進する観点から,総合入院体制加算,急性期充実体制加算及び救命救急入院料について要件を見直す。
  •  へき地医療において,患者が看護師等といる場合の情報通信機器を用いた診療(D to P with N)が有効であることを踏まえ,へき地診療所・へき地医療拠点病院がD to P with Nを実施する場合について,新たな評価を行う。
  •  指定難病患者に対する治療について患者が医師といる場合の情報通信機器を用いた診療(Dto P with D)が有効であることが示されたことを踏まえ,遠隔連携診療料の対象患者を見直す。
  •  情報通信機器を用いた診療における閉塞性無呼吸症候群に対する持続陽圧呼吸(CPAP)療法を実施する際の基準を踏まえ,情報通信機器を用いた場合の在宅持続陽圧呼吸療法指導管理について,新たな評価を行う。
  •  発達障害等,児童思春期の精神疾患の支援を充実する観点から,小児特定疾患カウンセリング料について要件及び評価を見直すとともに,医師による小児の発達障害等に対する情報通信機器を用いた診療の有効性・安全性に係るエビデンスが示されたことを踏まえ,発達障害等を有する小児患者に対する情報通信機器を用いた医学管理について,新たな評価を行う。
  • 「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」を踏まえ,情報通信機器を用いて通院精神療法を実施した場合について,新たな評価を行う。
  • (略)
  • (略)
  •  医師少数区域の医療機関において,専門的な医師が不在である場合に,基幹施設との適切な連携により急性期脳梗塞の患者に対するt-PA療法を実施することを推進する観点から,超急性期脳卒中加算について要件を見直す。(Ⅰ-6(3)再掲)
  •  脳梗塞の患者に対して血栓回収療法が実施される割合が医師少数区域において低いことを踏まえ,医師少数区域又は医療資源の少ない地域に所在する医療機関が専門的な施設と連携して血栓回収療法の適応判断を行った上で専門的な施設に搬送し当該療法を実施した場合について新たな評価を行うとともに,超急性期脳卒中加算について,要件を見直す。(Ⅰ-6(4)再掲)
  •  適切な診療記録の管理を推進する観点から,「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を踏まえ,診療録管理体制加算について非常時に備えたサイバーセキュリティ対策の整備に係る要件及び評価を見直す。
  •  健康管理等のために主に患者自らが使用するプログラム医療機器について特定保険医療材料として評価されることを踏まえ,こうしたプログラム医療機器を用いた場合の医学管理について,評価の在り方の見直しを行う。
  •  医療DXを推進する観点から,診療報酬上,書面での検査結果その他の書面の作成又は書面を用いた情報提供等が必要とされる項目について,「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の遵守を前提に,電磁的方法による作成又は情報提供等が可能であることについて明確化する。
  •  デジタル原則に基づき書面掲示についてインターネットでの閲覧を可能な状態にすることを原則義務づけするよう求められていることを踏まえ,医療機関,保険薬局及び指定訪問看護事業者における書面掲示について,原則として,ウェブサイトに掲載しなければならないこととする。
  •  医療機関等における業務の効率化及び医療従事者の事務負担軽減を推進する観点から,施設基準の届出及びレセプト請求に係る事務等を見直すとともに,施設基準の届出の電子化を推進する。(Ⅰ-3(2)再掲)

Ⅱ-2 生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組

  •  高齢者の救急患者をはじめとした急性疾患等の患者に対する適切な入院医療を推進する観点から,高齢者の救急患者等に対して,一定の体制を整えた上でリハビリテーション,栄養管理,入退院支援,在宅復帰等の機能を包括的に提供することについて,新たな評価を行う。
  •  介護保険施設の入所者の病状急変時における適切な対応及び施設内における生活の継続支援を推進する観点から,当該施設の協力医療機関となっている医療機関が施設入所者を受け入れた場合について,新たな評価を行う。
  •  医療機関と介護保険施設の適切な連携を推進する観点から,在宅療養支援病院,在宅療養後方支援病院,在宅療養支援診療所及び地域包括ケア病棟について,介護保険施設の求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましいことを踏まえ,要件を見直す。
  •  医療と介護の両方を必要とする状態の患者が可能な限り施設での生活を継続するために,医療保険で給付できる医療サービスの範囲を以下のとおり見直す。
    •  介護保険施設及び障害者支援施設において対応が困難な医療行為について医療保険による算定を可能とする。
    •  令和6年3月末を以て介護療養病床が廃止されることに伴い,医療保険で給付できる医療サービスの範囲について,介護療養病床に関する記載を削除する。
    • (略)
  •  医療機関と介護保険の訪問・通所リハビリテーション事業所のリハビリテーションに係る連携を更に推進する観点から,疾患別リハビリテーション料について要件を見直す。
  •  退院時のリハビリテーションに係る医療機関と介護保険の訪問・通所リハビリテーション事業所との間の連携により,退院後早期に継続的で質の高いリハビリテーションを推進する観点から,退院時共同指導料2について要件を見直す。
  •  精神障害の特性を踏まえ医療機関と障害福祉サービスとの連携を推進する観点から,診療情報提供料(Ⅰ)について情報提供先を見直す。
  •  入退院支援における,関係機関との連携強化,生活に配慮した支援の強化及び入院前からの支援の強化の観点から,入退院支援加算1及び2について要件を見直す。
  •  慢性心不全患者に対する退院直後の支援を強化する観点から,在宅療養指導料について対象患者を見直す。
  •  認知症患者に対する身体的拘束の最小化の取組を推進する観点から,認知症ケア加算について評価を見直すとともに,認知症患者に対するアセスメントにおいてせん妄の識別も必要であることを踏まえ,認知症ケア加算及びせん妄ハイリスク患者ケア加算について要件を見直す。
  •  入院基本料等について,人生の最終段階における適切な意思決定支援を推進する観点から,当該支援に係る指針の作成を要件とする。(Ⅰ-1(2)②再掲)
  •  適切な在宅復帰支援を推進する観点から,地域包括ケア病棟入院料の評価について,入院期間に応じた評価体系に見直すとともに,地域包括ケア病棟を有する医療機関が提供する在宅医療等の実績を適切に評価する観点から,訪問看護に係る実績の基準を見直す。
  •  地域包括ケアの深化及び推進に向け,地域包括ケア病棟における効果的な入院医療の提供を更に推進する観点から,地域包括ケア病棟の要件を見直す。
  •  地域包括ケアシステムにおける有床診療所の機能を踏まえ,有床診療所による医療・介護・障害福祉サービスにおける連携を推進するために,介護連携加算について名称及び要件を見直す。
  •  医療保険のリハビリテーションと障害福祉サービスである自立訓練(機能訓練)の円滑な移行を推進する観点から,病院・診療所が自立訓練(機能訓練)を提供する際の疾患別リハビリテーション料等の要件を見直す。

Ⅱ-3 リハビリテーション,栄養管理及び口腔管理の連携・推進

  •  急性期医療におけるADLが低下しないための取組を推進するとともに,リハビリテーション,栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図る観点から,土曜,日曜及び祝日に行うリハビリテーションを含むリハビリテーション,栄養管理及び口腔管理について,新たな評価を行う。
  •  重症者に対する早期からの急性期リハビリテーションの提供を推進する観点から,病態に応じた早期からの疾患別リハビリテーションについて新たな評価を行うとともに,早期リハビリテーション加算について評価を見直す。
  •  NDB・DPCデータにより疾患別リハビリテーションの実施者ごとの訓練実態が把握可能となるよう,疾患別リハビリテーション料について,実施者を明確化した評価体系に見直す。
  •  大腸癌,卵巣癌及び膵癌の患者に対する術前の呼吸器リハビリテーションに係る有効性のエビデンスを踏まえ,呼吸器リハビリテーション料の要件を見直す。
  •  療養病棟入院基本料について,以下の見直しを行う。
    •  疾患・状態と処置等の医療区分と医療資源投入量の関係性を踏まえ,医療区分に係る評価体系を見直す。
    •  適切な栄養管理を推進する観点から,中心静脈栄養の評価を見直す。
    •  中心静脈栄養が実施される患者割合が増えている実態を踏まえ,療養病棟における適切な経腸栄養の管理の実施について,新たな評価を行う。
    •  適切なリハビリテーションを推進する観点から,要件を見直す。
    •  医療法に基づく医療療養病床の人員配置標準に係る経過措置の終了を踏まえ,経過措置を廃止する。
  •  入院基本料等について,退院後の生活を見据え,入院患者の栄養管理体制の充実を図る観点から,栄養管理体制の基準を明確化する。(Ⅰ-1(2)①再掲)
  •  医療と介護における栄養情報連携を推進する観点から,入院栄養食事指導料の栄養情報提供加算について,要件を見直す。
  •  回復期医療・慢性期医療を担う病院における歯科の機能を評価し,リハビリテーション,栄養管理及び口腔管理の一体的な取組を推進する観点から,以下の評価を行う。
    •  回復期リハビリテーション病棟等に入院する患者に対する歯科医師及び歯科衛生士による口腔機能管理及び口腔衛生管理について,新たな評価を行う。
    • (略)

Ⅱ-4 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価

  •  急性期医療に係る実績や体制を適切に評価する観点及び地域の医療体制の維持の観点から,急性期充実体制加算について,評価の在り方を見直す。
  •  急性期医療の適切な体制整備を推進する観点から,総合入院体制加算の要件及び評価を見直す。
  •  医療機関間の機能分化を推進するとともに,患者の状態に応じた医療の提供に必要な体制を評価する観点から,急性期一般入院料1の病棟における実態を踏まえ,急性期一般入院料1について,平均在院日数に係る要件を見直す。
  •  急性期入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う観点から,一般病棟用の重症度,医療・看護必要度について,必要度の判定に係る評価項目及び該当患者割合の基準を見直す。
  •  特定集中治療室管理料について,高度急性期の入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う観点から,特定集中治療室用の重症度,医療・看護必要度を見直し,また,入室時に SOFA スコアが一定以上である患者の割合を評価する観点から要件を見直すとともに,評価を見直す。
  •  高度急性期入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う観点から,ハイケアユニット用の重症度,医療・看護必要度について,評価項目及び該当患者割合の在り方を見直すとともに,業務負担の軽減及び測定の適正化の観点から,レセプト電算処理システム用コードを用いた評価を導入する。
  •  重症度,医療・看護必要度の測定に係る負担軽減及び測定の適正化を更に推進する観点から,急性期一般入院料1(許可病床数200床未満)又は急性期一般入院料2若しくは3(許可病床数200床以上400床未満)を算定する病棟及び救命救急入院料2若しくは4又は特定集中治療室管理料を算定する治療室について,重症度,医療・看護必要度Ⅱが用いられるよう,要件を見直す。
  •  特定集中治療室等における重症患者対応に係る体制を引き続き確保する観点から,重症患者対応体制強化加算について要件を見直す。
  •  実態に即した評価を行う観点から,短期滞在手術等基本料について評価を見直す。
  •  高齢者の救急患者をはじめとした急性疾患等の患者に対する適切な入院医療を推進する観点から,高齢者の救急患者等に対して,一定の体制を整えた上でリハビリテーション,栄養管理,入退院支援,在宅復帰等の機能を包括的に提供することについて,新たな評価を行う。(Ⅱ-2(1)再掲)
  •  看護職員及び看護補助者の業務分担・協働を更に推進し,高齢者の救急患者をはじめとした急性疾患等の患者に対する適切な入院医療を推進する観点から,直接患者に対するケアを担う看護補助者の配置について,新たな評価を行う。
  •  地域包括ケア病棟における適切な在宅患者等の緊急入院の受入れを推進する観点から,在宅患者支援病床初期加算を見直す。
  •  より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から,回復期リハビリテーション病棟の要件及び評価を見直す。
  •  療養病棟入院基本料について,以下の見直しを行う。
    •  疾患・状態と処置等の医療区分と医療資源投入量の関係性を踏まえ,医療区分に係る評価体系を見直す。
    •  適切な栄養管理を推進する観点から,中心静脈栄養の評価を見直す。
    •  中心静脈栄養が実施される患者割合が増えている実態を踏まえ,療養病棟における適切な経腸栄養の管理の実施について,新たな評価を行う。
    •  適切なリハビリテーションを推進する観点から,要件を見直す。
    •  医療法に基づく医療療養病床の人員配置標準に係る経過措置の終了を踏まえ,経過措置を廃止する。(Ⅱ-3(5)再掲)
  •  医療法施行規則による療養病床の人員配置標準に係る経過措置の終了に伴い,有床診療所療養病床入院基本料の要件を見直す。
  •  不適切な養育等が疑われる児童の早期発見や,福祉・保健・警察・司法・教育等の関係機関の適切な連携を推進する観点から,児童・思春期精神科入院医療管理料において,多職種で構成される専任のチームを設置して連携体制を整備している場合について,新たな評価を行う。
  •  障害者施設等入院基本料等の要件である,病棟の入院患者のうち重度の肢体不自由児(者),脊髄損傷等の重度障害者等が占める割合について,一部の医療機関において大きく下回る施設があったことを踏まえ,障害者施設等入院基本料等について要件を見直す。
  •  患者の状態に応じた適切な管理を更に推進する観点から,慢性腎臓病患者が入院した場合について,障害者施設等入院基本料等の評価を見直す。
  •  緩和ケア病棟における在宅療養支援をより推進する観点から,緊急入院初期加算について要件を見直す。
  •  医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に推進する観点から,回復期リハビリテーション病棟入院料について,評価体系を見直すとともに,地域包括ケア病棟入院料2及び4並びに在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について,要件を見直す。(Ⅰ-6(6)再掲)
  •  医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に推進する観点から,第8次医療計画における二次医療圏の見直しの予定等を踏まえ,対象となる地域を見直す。(Ⅰ-6(7)再掲)
  •  DPC/PDPS について,以下の見直しを行う。
    •  制度を安定的に運用する観点から,DPC対象病院の要件を見直す。
    •  適切な包括評価を行う観点から,医療機関別係数について,評価の主旨や実態を踏まえ,評価方法を見直すとともに,医師派遣機能等について,新たな評価を行う。(Ⅰ-6(5)再掲)
    •  急性期入院医療の標準化・効率化を更に推進する観点から,診断群分類及び診断群分類毎の点数設定方式のあり方を見直す。
  •  血友病患者における治療の選択肢を拡げる観点から,薬剤料を包括している入院料等について,血友病治療薬に係る薬剤料の取扱いを見直す。

Ⅱ-5 外来医療の機能分化・強化等

  •  生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から,生活習慣病管理料について要件及び評価を見直すとともに,特定疾患療養管理料について対象患者を見直す。
  •  リフィル処方及び長期処方の活用並びに医療DXの活用による効率的な医薬品情報の管理を適切に推進する観点から,特定疾患処方管理加算について,要件及び評価を見直す。
  •  かかりつけ医機能の評価である地域包括診療料等について,かかりつけ医と介護支援専門員との連携の強化,かかりつけ医の認知症対応力向上,リフィル処方及び長期処方の活用,適切な意思決定支援及び医療DXを推進する観点から,要件及び評価を見直す。

Ⅱ-6 新興感染症等に対応できる地域における医療提供体制の構築に向けた取組

  •  新興感染症発生・まん延時への備えを評価するとともに,感染対策における介護保険施設等との連携を推進する観点から,感染対策向上加算について,要件を見直す。
  •  第8次医療計画における新興感染症発生・まん延時に備え,外来における適切な感染管理の下での発熱患者等への対応を更に推進する観点から,外来感染対策向上加算について要件及び評価を見直す。
  •  院内感染防止等の観点から感染対策が特に必要となる感染症の入院患者について,必要な感染管理及び個室管理を新たに評価する。
  •  我が国における Access 抗菌薬の使用比率が低い現状を踏まえ,適正使用を更に促進する観点から,サーベイランス強化加算について,抗菌薬の使用状況を考慮した評価体系に見直す。
  • 〜(7) (略)

Ⅱ-7 かかりつけ医,かかりつけ歯科医,かかりつけ薬剤師の機能の評価

  •  かかりつけ医機能の評価である地域包括診療料等について,かかりつけ医と介護支援専門員との連携の強化,かかりつけ医の認知症対応力向上,リフィル処方及び長期処方の活用,適切な意思決定支援及び医療DXを推進する観点から,要件及び評価を見直す。(Ⅱ-5(3)再掲)
  •  近年の情報化社会の進展に伴うサービスの多様化に対応する観点から,時間外対応加算について,時間外の電話対応等の多様な在り方を考慮した評価体系に見直す。(Ⅰ-6(1)再掲)
  •  小児に対する継続的な診療を一層推進する観点から,小児かかりつけ診療料について要件及び評価を見直す。
  •  〜(7) (略)

Ⅱ-8 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

  •  介護保険施設に入所している高齢者が,可能な限り施設内における生活を継続できるよう支援する観点から,介護保険施設の入所者の病状の急変時に,介護保険施設の協力医療機関であって,平時からの連携体制を構築している医療機関の医師が往診を行った場合について,新たな評価を行う。
  •  地域における24時間の在宅医療の提供体制の構築を推進する観点から,在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院と連携体制を構築している在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院以外の他の医療機関が訪問診療を行っている患者に対して,在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院が往診を行った場合について,新たな評価を行う。
  •  患者の状態に応じた適切な往診の実施を推進する観点から,緊急の往診に係る評価を見直す。
  •  在宅での療養を行っている患者に対して,医師・歯科医師が計画的な医学管理を行う際に当該患者の医療・ケアに携わる関係職種がICTを用いて記録した診療情報等を活用した場合について,新たな評価を行う。
  •  在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院以外の医療機関が行う訪問診療について,在宅での療養を行っている患者が安心して24時間対応を受けられる体制を推進する観点から,在宅療養移行加算の評価を見直す。
  •  在宅における末期の悪性腫瘍の患者以外の患者に対する緩和ケアを充実させる観点から,注射による麻薬の投与に係る指導管理について新たな評価を行う。
  •  在宅で療養を行う末期の悪性腫瘍の患者について,質の高い緩和ケアを提供する観点から,患者の急変時等に,ICTの活用によって当該患者に関わる医療従事者等の間で共有されている人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を踏まえ,医師が当該患者に対して療養上必要な指導を行った場合について,新たな評価を行う。
  •  本人の望む場所でより患者の希望に沿った看取りを支援する観点から,ターミナルケア加算について,要件を見直す。
  •  より質の高い在宅医療の提供を適切に評価する観点から,訪問診療の算定回数等に応じて在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の評価を見直す。
  •  訪問栄養食事指導の推進を図る観点から,在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について要件を見直す。
  •  在宅医療を行っている患者の状態に応じた評価を更に推進する観点から,包括的支援加算について,対象患者を見直す。
  •  患者の状態に応じた適切な在宅医療の提供を推進するため,訪問診療の効率性の観点も踏まえ,在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について,一人あたりの訪問診療の算定回数が多い医療機関における在宅患者訪問診療料の評価を見直す。
  •  在宅医療における患者の状態に応じた評価をより適切に推進する観点から,頻回訪問加算について,要件及び評価を見直す。
  •  提供する訪問看護の質を担保しつつ,訪問看護ステーションを効率的に運営する観点から,管理者の責務を明確化するとともに要件を見直す。
  •  訪問看護における虐待防止措置及び身体的拘束等の適正化を推進する観点から,虐待防止措置に関する体制整備を義務化するとともに,身体的拘束等を原則禁止する。
  •  多様化する利用者や地域のニーズに対応するとともに,質の高い効果的なケアが実施されるよう,訪問看護ステーションの機能強化を図る観点から,訪問看護管理療養費について要件及び評価を見直す。
  •  訪問看護ステーションにおける看護師等の働き方改革及び持続可能な24時間対応体制の確保を推進する観点から,24時間対応体制加算について,看護業務の負担軽減のための取組を行った場合を考慮した評価体系に見直す。また,24時間対応に係る連絡体制の取扱いを見直す。(Ⅰ-5(5)再掲)
  •  緊急の指定訪問看護が適切に提供されるよう,緊急訪問看護加算について,要件及び評価を見直すとともに,訪問看護療養費請求書等の記載内容を見直す。
  •  退院日の利用者の状態及び訪問看護の提供状況に応じた評価を充実させる観点から,退院支援指導加算の要件を見直す。
  •  訪問看護において,ハイリスク妊産婦及び乳幼児の状態に応じた評価を行う観点から,ハイリスク妊産婦連携指導料について要件を見直すとともに,乳幼児加算について評価体系を見直す。
  •  より質の高い医療の実現に向けてレセプト情報の利活用を推進する観点から,訪問看護指示書及び精神科訪問看護指示書の記載事項及び様式を見直す。
  •  居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入されることを踏まえ,初回訪問時等に利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して,指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い,質の高い医療を提供した場合について,新たな評価を行う。(Ⅱ-1(1)④再掲)
  •  医師がICT を活用して死亡診断等を行う場合において,研修を受けた医療機関の看護師が当該医師の補助を行うことについて,新たな評価を行う。
  •  〜(31) (略)

Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進

Ⅲ-1 食材料費,光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応

  •  食材費等が高騰していること等を踏まえ,入院時の食費の基準を引き上げる。
  •  薬価専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和6年度薬価制度改革の骨子」及び保険医療材料専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和6年度保険医療材料制度改革の骨子」に基づき,不採算品再算定について対応する。

Ⅲ-2 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価

Ⅲ-2 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価

  •  不妊治療を保険診療で実施する医療機関を広げる観点から,一般不妊治療管理料について要件を見直すとともに,不妊治療における胚の凍結保存に係る実態を踏まえ,胚凍結保存管理料について要件を見直す。
  •  悪性腫瘍の患者に対する外来における安心・安全な化学療法の実施を推進する観点から,外来腫瘍化学療法診療料について,要件及び評価を見直すとともに,診察前に薬剤師が服薬状況等の確認・評価を行い,医師に情報提供,処方提案等を行った場合について新たな評価を行う。
    (Ⅰ-2(5)再掲)
  •  難病患者に対する診断のための検査を充実させる観点から,指定難病の診断に必要な遺伝学的検査について,対象疾患を拡大するとともに,同一検体を用いて複数の遺伝子疾患に対する遺伝学的検査を行った場合について,新たな評価を行う。
  •  「臓器移植抗体陽性診療ガイドライン」において,移植前の抗 HLA 抗体測定の意義に係る見直しがなされたことを踏まえ,抗HLA 抗体の測定について,対象患者及び要件を見直す。
  •  慢性腎臓病患者に対する移植を含む腎代替療法に関する情報提供及び共同意思決定を更に推進する観点から,人工腎臓の導入期加算について要件及び評価を見直す。
  •  入院基本料等について,人生の最終段階における適切な意思決定支援を推進する観点から,当該支援に係る指針の作成を要件とする。(Ⅰ-1(2)②再掲)
  •  入院基本料等について,医療機関における身体的拘束を最小化する取組を強化するため,医療機関において組織的に身体的拘束を最小化する体制の整備を求める。(Ⅰ-1(2)③再掲)
  •  看護職員及び看護補助者の業務分担・協働を更に推進する観点及び身体的拘束の最小化の取組を促進する観点から,看護補助体制充実加算の要件及び評価を見直す。(Ⅰ-5(2)再掲)
  •  医療安全を更に推進する観点から,医療安全対策が特に必要な特定集中治療室等の治療室及び腹腔鏡手術等について,医療安全対策加算1の届出を要件とする。
  •  手術等の医療技術について,以下の見直しを行う。
    •  医療技術評価分科会における検討結果等を踏まえ,医療技術の評価及び再評価を行い,優先的に保険導入すべきとされた新規技術(先進医療として実施されている技術を含む。)について新たな評価を行うとともに,既存技術の評価を見直す。
    •  新規医療材料等として保険適用され,現在準用点数で行われている医療技術について新たな評価を行う。
    •  外科的手術等の医療技術の適正かつ実態に即した評価を行うため,外保連試案の評価等を参考に評価を見直す。
  •  質の高い臨床検査の適正な評価を進めるため,新規臨床検査として保険適用され,現在準用点数で行われている検査について新たな評価を行う。
  •  患者・利用者から見て分かりやすい医療を実現する観点から,令和6年6月より,指定訪問看護事業者による明細書の無料発行を義務化するとともに,診療所(医科・歯科)における明細書無料発行の義務の免除規定について,全ての医療機関において発行可能な環境を整備した上で,廃止する。
  • (略)

Ⅲ-3 アウトカムにも着目した評価の推進

  •  データに基づくアウトカム評価を推進する観点から,入院患者のデータ提出に係る実態を踏まえ,データ提出加算の評価及び要件を見直すとともに,データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の範囲を拡大する。
  •  より質の高いアウトカムに基づいた回復期リハビリテーション医療を推進する観点から,回復期リハビリテーション病棟の要件及び評価を見直す。
  •  回復期リハビリテーション病棟における運動器疾患に対してリハビリテーションを行っている患者については,1日6単位を超えた実施単位数の増加に伴うADLの明らかな改善が見られなかったことを踏まえ,運動器リハビリテーション料に係る算定単位数の上限が緩和される対象患者を見直す。

Ⅲ-4 重点的な対応が求められる分野への適切な評価(小児医療,周産期医療,救急医療等)

【Ⅲ-4-1 高齢者の救急医療の充実及び適切な搬送の促進】

  •  第三次救急医療機関等に救急搬送された患者について連携する他の医療機関でも対応が可能と判断する場合に,連携する医療機関に看護師等が同乗の上で転院搬送する場合の評価を新設するとともに,急性期一般入院料における在宅復帰率に関する施設基準について必要な見直しを行う。
  •  救急医療管理加算について,入院時に重症であり緊急に入院を必要とする患者に対する入院医療を評価する趣旨を踏まえ,要件及び評価を見直す。

【Ⅲ-4-2 小児医療,周産期医療の充実】

  •  医療の質と医療安全を担保する観点から,新生児特定集中治療について十分な体制と実績を有する医療機関における,高度な医療を要する重症新生児に対する手厚い看護体制について,新たな評価を行う。
  •  発達障害等,児童思春期の精神疾患の支援を充実する観点から,小児特定疾患カウンセリング料について要件及び評価を見直すとともに,医師による小児の発達障害等に対する情報通信機器を用いたオンライン診療の有効性・安全性に係るエビデンスが示されたことを踏まえ,発達障害等を有する小児患者に対する情報通信機器を用いた医学管理について,新たな評価を行う。(Ⅱ-1(5)再掲)
  •  小児に対する適切な緩和ケアの提供を推進する観点から,小児に対する緩和ケアについて,新たな評価を行う。
  •  小児に対する継続的な診療を一層推進する観点から,小児かかりつけ診療料について要件及び評価を見直す。(Ⅱ-7(3)再掲)
  •  臓器移植を行った小児患者について,長期の集中治療管理が必要となる実態を踏まえ,小児特定集中治療室管理料について算定上限日数を見直す。
  •  小児の外来診療における抗菌薬の適正使用を推進する観点から,小児抗菌薬適正使用支援加算の対象疾患について見直すとともに,処方等に係る評価体系の見直し等を踏まえ,小児科外来診療料について評価を見直す。
  •  医療的ケア児(者)が入院する際の在宅からの連続的なケアを確保する観点から,事前に自宅等を訪問し,患者の状態や人工呼吸器の設定等のケア状態の把握を行った場合について,新たな評価を行う。
  •  重症新生児に対する退院支援について,転院搬送された児においても退院支援が必要であることや治療室から小児病棟等を経て退院すること等,新生児の退院支援の実態を踏まえ,入退院支援加算3の要件を見直す。
  •  少子化等による入院患者の減少により1病棟を維持できない小児科病棟について,一般病棟との一体的な運用を可能とするとともに,成人患者との混合病棟であっても子どもにとって必要な入院環境を確保するため,当該運用をする際は小児の区域特定がなされるよう,要件を見直す。
  •  入院中であっても子どもの成長・発達に対する支援が行われ,かつ,希望によって家族等が子どもに付き添う場合に家族等に過度な負担がかからない医療機関の体制を確保する観点から,保育士や看護補助者の配置について,小児入院医療管理料の要件及び評価を見直す。
  •  周産期医療における集中的・効率的な提供を推進する観点から,母体・胎児集中治療室管理料について,要件を見直す。
  •  ハイリスク妊婦に対する適切な管理を推進する観点から,ハイリスク妊娠管理加算について対象患者を見直す。

【Ⅲ-4-3 質の高いがん医療及び緩和ケアの評価】

  •  がん患者に対する質の高い疼痛緩和治療の提供を更に充実させる観点から,放射線治療及び神経ブロック等の専門的な治療を実施できる体制について,新たな評価を行う。
  •  緩和ケア病棟における在宅療養支援をより推進する観点から,緊急入院初期加算について要件を見直す。(Ⅱ-4(19)再掲)
  •  在宅における末期の悪性腫瘍の患者以外の患者に対する緩和ケアを充実させる観点から,注射による麻薬の投与に係る指導管理について新たな評価を行う。(Ⅱ-8(6)再掲)
  •  在宅で療養を行う末期の悪性腫瘍の患者について,質の高い緩和ケアを提供する観点から,患者の急変時等に,ICTの活用によって当該患者に関わる医療従事者等の間で共有されている人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を踏まえ,医師が当該患者に対して療養上必要な指導を行った場合について,新たな評価を行う。(Ⅱ-8(7)再掲)
  •  小児に対する適切な緩和ケアの提供を推進する観点から,小児に対する緩和ケアについて,新たな評価を行う。(Ⅲ-4-2(3)再掲)
  •  悪性腫瘍の患者に対する外来における安心・安全な化学療法の実施を推進する観点から,外来腫瘍化学療法診療料について,要件及び評価を見直すとともに,診察前に薬剤師が服薬状況等の確認・評価を行い,医師に情報提供,処方提案等を行った場合について新たな評価を行う。(Ⅰ-2(5)再掲)

【Ⅲ-4-4 認知症の者に対する適切な医療の評価】

  •  入院基本料等について,医療機関における身体的拘束を最小化する取組を強化するため,医療機関において組織的に身体的拘束を最小化する体制の整備を求める。(Ⅰ-1(2)③再掲)
  •  認知症患者に対する身体的拘束の最小化の取組を推進する観点から,認知症ケア加算について評価を見直すとともに,認知症患者に対するアセスメントにおいてせん妄の識別も必要であることを踏まえ,認知症ケア加算及びせん妄ハイリスク患者ケア加算について要件を見直す。(Ⅱ-2(10)再掲)
  •  かかりつけ医機能の評価である地域包括診療料等について,かかりつけ医と介護支援専門員との連携の強化,かかりつけ医の認知症対応力向上,リフィル処方及び長期処方の活用,適切な意思決定支援及び医療DXを推進する観点から,要件及び評価を見直す。(Ⅱ-5(3)再掲)
  • (略)

【Ⅲ-4-5 地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価】

  •  精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から,精神疾患を有する者の地域移行・地域定着に向けた重点的な支援を提供する精神病棟について,新たな評価を行う。
  •  精神病棟の長期入院患者の地域移行を一層推進する観点から,地域移行機能強化病棟入院料について,当該入院料に係る実績等を踏まえ,要件を見直すとともに,届出期間を延長する。
  •  精神病床に入院する患者に対して,入院早期から実施する退院調整の効果を踏まえ,精神病床における入退院支援について新たな評価を行うとともに,既存の退院支援に係る評価を見直す。
  •  外来及び在宅患者に対する包括的支援マネジメントの実施を推進する観点から,療養生活環境整備指導加算及び療養生活継続支援加算について,要件及び評価を見直す。
  •  質の高い精神医療の提供を推進する観点から,通院・在宅精神療法について評価を見直すとともに,精神疾患の早期発見及び早期に重点的な診療等を実施する体制を有する医療機関が精ともに,精神疾患の早期発見及び早期に重点的な診療等を実施する体制を有する医療機関が精
  •  児童・思春期の精神疾患患者に対する外来診療の充実を図る観点から,多職種が連携して患者の外来診療を実施した場合について,新たな評価を行う。
  •  心的外傷に起因する症状を有する患者に対して適切な介入を推進する観点から,精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師が必要な支援を行った場合について,新たな評価を行う。
  •  精神障害者の地域定着を推進する観点から,精神科在宅患者支援管理料について,対象患者の要件を見直す。

【Ⅲ-4-6 難病患者に対する適切な医療の評価】

  •  指定難病患者に対する治療について患者が医師といる場合の情報通信機器を用いた診療(Dto P with D)が有効であることが示されたことを踏まえ,遠隔連携診療料の対象患者を見直す。(Ⅱ-1(3)再掲)
  •  難病患者に対する診断のための検査を充実させる観点から,指定難病の診断に必要な遺伝学的検査について,対象疾患を拡大するとともに,同一検体を用いて複数の遺伝子疾患に対する遺伝学的検査を行った場合について,新たな評価を行う。(Ⅲ-2(3)再掲)

Ⅲ-5 生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進

  •  生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から,生活習慣病管理料について要件及び評価を見直すとともに,特定疾患療養管理料について対象患者を見直す。(Ⅱ-5(1)再掲)
  •  リフィル処方及び長期処方の活用並びに医療DXの活用による効率的な医薬品情報の管理を適切に推進する観点から,特定疾患処方管理加算の評価を見直す。(Ⅱ-5(2)再掲)
  •  かかりつけ医機能の評価である地域包括診療料等について,かかりつけ医と介護支援専門員との連携の強化,かかりつけ医の認知症対応力向上,リフィル処方及び長期処方の活用,適切な意思決定支援及び医療DXを推進する観点から,要件及び評価を見直す。(Ⅱ-5(3)再掲)
  •  慢性腎臓病に対する重症化予防を推進する観点から,慢性腎臓病患者に対して多職種連携による透析予防の管理を行うことについて,新たな評価を行う。
  • (略)

Ⅲ-6  口腔疾患の重症化予防,口腔機能低下への対応の充実,生活の質に配慮した歯科医療の推進

(略)

Ⅲ-7  薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価,薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進,病院薬剤師業務の評価

(略)

Ⅲ-8  薬局の経営状況等も踏まえ,地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割の評価を推進

(略)

Ⅲ-9  医薬品産業構造の転換も見据えたイノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等

  •  革新的新薬のイノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等の観点から,薬価専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和6年度薬価制度改革の骨子」に基づき対応する。
  •  医療保険財政の中で,イノベーションを推進する観点から,長期収載品について,保険給付の在り方の見直しを行うこととし,選定療養の仕組みを導入する。
  • 「医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会」で取りまとめられた「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」の改訂を踏まえ,医薬品の適正な流通を確保する観点から,医療機関及び保険薬局の医薬品取引状況に係る報告の見直しを行う。
  •  医療機器等のイノベーションの適切な評価や特定保険医療材料の安定供給の確保等の観点から,保険医療材料専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和4年度保険医療材料制度改革の骨子」に基づき対応する。
  •  イノベーションの促進の観点から,一般的に侵襲性が低いプログラム医療機器の特性も踏まえつつ,薬事上の第1段階承認を取得したプログラム医療機器及びチャレンジ申請を行うプログラム医療機器の使用又は支給について,評価療養として実施可能とする。

Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

Ⅳ-1 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進,長期収載品の保険給付の在り方の見直し等

  •  医療DX,医薬品の安定供給等に資する取組を更に推進する観点から処方等に係る評価体系の見直しを行う。
  •  バイオ後続品に係る患者への適切な情報提供を推進する観点から,入院医療においてバイオ後続品の有効性や安全性について十分な説明を行い,バイオ医薬品ごとの特性を踏まえた使用数量割合の基準を満たす医療機関について新たな評価を行うとともに,バイオ後続品導入初期加算について対象患者を拡大する。
  •  医療保険財政の中で,イノベーションを推進する観点から,長期収載品について,保険給付の在り方の見直しを行うこととし,選定療養の仕組みを導入する。(Ⅲ-9(2)再掲)
  •  再製造単回使用医療機器の使用体制を評価する観点から,再製造単回使用医療機器の使用実績を有する医療機関における,手術時の再製造単回使用医療機器の使用について,新たな評価を行う。
  •  健康管理等のために主に患者自らが使用するプログラム医療機器について特定保険医療材料として評価されることを踏まえ,こうしたプログラム医療機器を用いた場合の医学管理について,評価の在り方の見直しを行う。(Ⅱ-1(12)再掲)

Ⅳ-2 費用対効果評価制度の活用

  •  費用対効果評価専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和6年度費用対効果評価制度改革の骨子」に基づき対応する。

Ⅳ-3 市場実勢価格を踏まえた適正な評価

  •  薬価専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和6年度薬価制度改革の骨子」及び保険医療材料専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「令和6年度保険医療材料制度改革の骨子」に基づき対応する。
  •  衛生検査所検査料金調査による実勢価格等を踏まえ,検体検査の実施料等について評価を見直す。
  •  包括されている医薬品の実勢価格を踏まえ,人工腎臓について評価を見直す。
  •  外来診療の実態を踏まえ,効率的な検査,処置及び麻酔の実施を図る観点から,一部の検査,処置及び麻酔の評価を見直す。

Ⅳ-4 医療DX の推進による医療情報の有効活用,遠隔医療の推進(再掲)

(Ⅱ-1を参照)

Ⅳ-5 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価(再掲)

(Ⅱ-4を参照)

Ⅳ-6 外来医療の機能分化・強化等(再掲)

(Ⅱ-5を参照)

Ⅳ-7  生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進(再掲)

(Ⅲ-5を参照)

Ⅳ-8 医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進

  •  病棟における多職種連携によるポリファーマシー対策をさらに推進する観点から,業務の合理化がなされるよう,薬剤総合評価調整加算について,要件を見直す。(Ⅰ-2(3)再掲)
  •  医療DX及び医薬品の安定供給に資する取組を更に推進する観点から処方等に係る評価体系の見直しを行う。(Ⅳ-1(1)再掲)
  •  投薬時における薬剤の容器等については,衛生上の理由等から薬局において再利用されていない現状を踏まえ,返還に関する規定の見直しを行う。

Ⅳ-9  薬局の経営状況等も踏まえ,地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割の評価を推進(再掲)

(Ⅲ-8を参照)

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