令和6年能登半島地震の被災者の受け入れ等にともなう施設基準の取り扱いについて

 厚労省より「令和6年能登半島地震の被災に伴う保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて(1)および(2)」が発出され,被災者を受け入れた場合の施設基準等の取り扱いが示されましたのでお知らせします。

1.施設基準の取扱いについて

  • 今般の令和6年能登半島地震に伴い,被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる医療機関及び被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる医療機関については,「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日保医発0304第2号。以下「基本診療料の施設基準等通知」という。)の第3の1(1)の規定にかかわらず,当面,月平均夜勤時間数については,1割以上の一時的な変動があった場合においても,変更の届出を行わなくてもよいものとすること。
  • また,令和6年能登半島地震に伴い,被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等した医療機関及び被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足した医療機関については,基本診療料の施設基準等通知の第3の1(3)及び(4)の規定にかかわらず,1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員」という。)の数,看護要員の数と入院患者の比率並びに看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率については,当面,1割以上の一時的な変動があった場合においても,変更の届出を行わなくてもよいものとすること。
  • 上記と同様の場合,DPC対象病院について,「DPC制度への参加等の手続きについて」(令和4年3月25日保医発0325第4号)の第1の4(2)②に規定する「DPC対象病院への参加基準を満たさなくなった場合」としての届出を行わなくてもよいものとすること。
  • (1)から(3)の届出を行わなくてもよいこととされた医療機関においては,被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足したことを記録し,保管しておくこと。
  • 被災地域以外の医療機関についても,(1)から(4)までを適用するものとすること。

2.診療報酬の取扱いについて(抜粋)
【被災地以外】

問1  被災地以外の医療機関において,被災地の医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり,当該被災地の医療機関から,医療法上の許可病床数を超過して転院の受け入れを行った場合などに,どの入院基本料,特定入院料を算定するのか。

(答)  当面の間,以下の取扱いとする。
<原則>実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を算定する。
<医療法上,本来入院できない病棟に入院(精神病棟に精神疾患ではない患者が入院した場合など)又は診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者が入院(回復期リハビリテーション病棟に施設基準の要件を満たさない患者が入院した場合など)した場合>

  • 入院基本料を算定する病棟の場合
     入院した病棟の入院基本料を算定する(精神病棟に入院の場合は精神病棟入院基本料を算定。)。
     ただし,結核病棟については,結核病棟入院基本料の注3の規定に係らず,入院基本料を算定する。
  • 特定入院料を算定する病棟の場合
     医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により,算定する入院基本料を判断すること(一般病床の回復期リハビリテーション病棟に入院の場合は15 対1の看護配置を求めていることから,15 対1一般病棟入院基本料を算定。)。

問2  被災地以外の医療機関において,被災地の医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり,当該被災地の医療機関から医療法上の許可病床数を超過して転院の受け入れを行った場合に,平均在院日数はどのように算定するのか。

(答)  被災地以外の医療機関において,被災地の医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり,当該被災地の医療機関から地震の発生日以降に医療法上の許可病床数を超過するなどして転院の受け入れを行った場合,当面の間,当該患者を除いて平均在院日数を算定する。

問3  被災地以外の医療機関において,災害等やむを得ない事情により,特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合に,特定入院料等に規定する施設基準の要件についてどのように考えればよいか。

(答)  被災地以外の医療機関において,災害等やむを得ない事情により,特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合には,当面の間,当該患者を除いて施設基準の要件を満たすか否か判断する。

問4  被災地以外の医療機関において,被災地の医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり,当該被災地の医療機関から転院の受け入れを行った場合に入院の日はどのように取り扱うのか。

(答)  当面の間,被災地の医療機関が当該被災地以外の医療機関と特別の関係にあるか否かにかかわらず,当該被災地以外の医療機関に入院した日を入院の日とする。

問5  被災地以外の医療機関において,被災地の介護施設,避難所等から入所者等の受入を行った場合,入院基本料,特定入院料等は算定できるか。

(答)  医学的判断に基づき入院が必要と判断された場合には算定できる。なお,単なる避難所としての利用の場合は算定できない(災害救助法の適用となる医療については,県市町村に費用を請求する。なお,当該費用の請求方法については,県市町村に確認されたい。)

問6  被災地以外の医療機関において,被災地の医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり,当該被災地の医療機関に震災前から継続して入院している慢性透析患者の転院の受け入れを行った場合に,当該受け入れを行った被災地以外の医療機関の透析設備の不足等真にやむを得ない事情により,当該患者が透析を目的として他医療機関を受診した場合に,入院基本料,特定入院料はどのように取り扱うのか。

(答)  患者に必要な医療を提供可能な医療機関に転院することを原則とする。ただし,被災地の医療機関に震災前から継続して入院している慢性透析患者の転院を受け入れた場合であって,真にやむを得ない事情があった場合に限り,当面の間,透析を目的として他医療機関受診を行った日については,入院基本料及び特定入院料の控除は行わないこととする。

問7  令和6年能登半島地震に伴い,被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足している医療機関,又は,被災地から多数の患者を受け入れた医療機関において,「DPC 導入の影響評価に係る調査」への適切な参加及び「データ提出加算」に係るデータ提出が困難な場合には,どのように対応すればよいか。

(答)  1~3月診療分のDPC 事務局へのデータの提出期限は1月22 日となっているが,こうした医療機関に限り,当該提出期限については,当分の間,延長することとする。なお,提出期限日は追って連絡する予定である。

問8  被災地以外の医療機関において,被災地の医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり,当該被災地の医療機関から転院の受け入れを行ったことにより,重症度,医療・看護必要度,在宅復帰率,医療区分2・3の患者割合を満たさなくなった場合について,どう考えればよいか。

(答)  被災地以外の医療機関において,被災地の医療機関から転院の受け入れを行った場合にあっては,平均在院日数,重症度,医療・看護必要度,在宅復帰率,医療区分2又は3の患者割合について,当面の間,被災地から受け入れた転院患者を除いて算出することができる。
 ただし,特定集中治療室管理料,ハイケアユニット入院医療管理料の治療室に,被災地の医療機関から転院の受け入れにより,やむを得ず当該治療室への入院を要さない患者を入院させた場合については,当該医療機関の入院基本料を算定した上で,重症度,医療・看護必要度の該当患者割合の算出から除外する。

2024年2月15日号TOP