新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の取り扱い等について一部のみ 4月1日以降も継続

 厚労省から4月以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的取り扱い等が示されましたので,お知らせします。
 具体的には,コロナ治療薬および入院医療費にかかる公費支援は3月31日で終了します。4月1日以降は,他の疾患と同様に,医療保険における高額療養費制度が適用されます。
 また,診療報酬上の臨時的取り扱いについて,コロナ感染症患者(疑い含む)を診察した場合の「特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降)147点」など主なものは3月31日で終了しますが,下記の一部のみ4月1日以降も継続しますのでご留意ください。

1.令和6年5月31日まで延長する取扱いについて

  • 抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る)に係る取扱いについて
     薬剤料が包括されている小児科外来診療料,小児かかりつけ診療料,在宅時医学総合管理料,施設入居時等医学総合管理料又は在宅がん医療総合診療料を算定する患者に対し,抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る)を処方した場合については,別途,薬剤料を算定できる取扱い。
  • 新型コロナウイルスの検査に係る取扱い
     検査の費用が包括されている下記①~⑤に該当する患者に対してコロナに係る検査を実施した場合,コロナ検査の費用と判断料が別に算定できる取扱い。
    • SARS-CoV-2 核酸検出等(※1)+微生物学的検査判断料
      • SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出,ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS-CoV-2 を含む),SARS-CoV-2・インフルエンザ核酸同時検出,SARS-CoV-2・RS ウイルス核酸同時検出,SARS-CoV-2・インフルエンザ・RS ウイルス核酸同時検出
    • SARS-CoV-2 抗原検出等(※2)+免疫学的検査判断料
      • SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出,SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出,SARS-CoV-2・RS ウイルス抗原同時検出,SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス・RS ウイルス抗原同時検出
    • 小児科外来診療料,地域包括診療料,認知症地域包括診療料,小児かかりつけ診療料,生活習慣病管理料,手術前医学管理料又は在宅がん医療総合診療料を算定する患者
    • 厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法に基づき療養に要する費用の額を算定する患者(同告示別表19 の診断群分類点数表に基づき療養に要する費用の額を算定する患者以外の患者を除く)
    • 特定機能病院において入院中の患者
    • 次に掲げる入院料を算定する患者
      療養病棟入院基本料,障害者施設等入院基本料(注5に規定する特定入院基本料又は注6に規定する点数を算定する場合に限る),有床診療所療養病床入院基本料,救命救急入院料,特定集中治療室管理料,ハイケアユニット入院医療管理料,脳卒中ケアユニット入院医療管理料,小児特定集中治療室管理料,新生児特定集中治療室管理料,総合周産期特定集中治療室管理料,新生児治療回復室入院医療管理料,特殊疾患入院医療管理料,小児入院医療管理料,回復期リハビリテーション入院料,地域包括ケア病棟入院料,特殊疾患病棟入院料,緩和ケア病棟入院料,精神科救急急性期医療入院料,精神科急性期治療病棟入院料,精神科救急・合併症入院料,児童・思春期精神科入院医療管理料,精神療養病棟入院料,認知症治療病棟入院料,特定一般病棟入院料,地域移行機能強化病棟入院料,特定機能病院リハビリテーション病棟入院料,短期滞在手術等基本料
    • 介護医療院等に入所する患者(介護医療院等において短期入所療養介護又は介護予防短期入所療養介護を受けている患者を含む)
  • 微生物学的検査判断料及び免疫学的検査判断料は月1回に限り算定することができる点数であることに留意すること。また,検査を実施した日時及び検査実施の理由等について,レセプトの摘要欄に記載すること。

2.令和6年4月以降も当面の間継続する取扱いについて(抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る)の特性を踏まえた対応)

  • 新型コロナウイルス感染症患者であって,厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第93号)に基づき療養に要する費用の額を算定する患者(同告示別表19の診断群分類点数表に基づき療養に要する費用の額を算定する患者以外の患者を除く)に対し,抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る)を投与した場合にあっては,当該薬剤に係る費用を別に算定できる。
  • 地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料等の基本診療料の施設基準等(令和4年3月4日厚生労働省告示第55号)別表第五の一の二,三,四及び五に規定されている入院料を算定している病棟に入院している新型コロナウイルス感染症患者については,抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)を療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行ったうえで投与した場合に,抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能又は効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る)とみなして,本剤に係る薬剤料を算定できる。なお,調剤料や注射実施料等の算定については特に定めのない限り,医科点数表等の取扱いに基づき取り扱うことに留意されたい。
  • 介護医療院又は介護老人保健施設に入所する新型コロナウイルス感染症患者に対して,抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る)を,療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行った上で投与した場合に,特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)第16第2号に規定する内服薬及び第3号に規定する注射薬のうち,「抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能又は効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能又は効果を有するものに限る)」とみなして,本剤に係る薬剤料を算定できる。なお,調剤料や注射実施料等の算定については,特に定めのない限り,要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合(平成20年厚生労働省告示第128号)等に基づき取り扱うことに留意されたい。

3.令和6年5月31 日まで終了時期を延長する施設基準に係る特例について

 以下の特例については,「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえた施設基準等に関する臨時的な取扱いについて」の一部延長について(令和5年12月22日厚生労働省保険局医療課事務連絡)において令和6年3月31日で終了することとしていたところ,冬の感染拡大や医療提供体制の状況を踏まえ,該当する場合に各地方厚生(支)局への報告を求めることとした上で,令和6年5月31日まで延長する。

  •  月平均夜勤時間数等に1割以上の変動があった場合の取扱いについて
    •  新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は医療機関に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができないことにより職員が一時的に不足し,入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる医療機関については,「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日保医発0304第2号。以下,「基本診療料の施設基準通知」という。)の第3の1(1)の規定にかかわらず,月平均夜勤時間数については,1割以上の一時的な変動があった場合においても,報告の対象となった最初の月※から3か月を超えない期間に限り変更の届出を行わなくてもよいものとすること。
    •  令和6年1月の実績に1割以上の変動があった場合,「報告の対象となった最初の月」は1月,「報告の対象となった最初の月から3か月」とは1月から3月の期間を指す。
    •  新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は医療機関に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができないことにより職員が一時的に不足した医療機関については,基本診療料の施設基準通知の第3の1(3)及び(4)の規定にかかわらず,1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員という。」の数,看護要員の数と入院患者の比率並びに看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率については,1割以上の一時的な変動があった場合及び暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動があった場合においても,報告の対象となった最初の月※2から3か月を超えない期間に限り変更の届出を行わなくてもよいものとすること。
    •  令和6年1月の実績に1割以上の変動があった場合又は1月及び2月の実績に1割以内の変動があった場合,「報告の対象となった最初の月」は1月,「報告の対象となった最初の月から3か月」とは1月から3月の期間を指す。
    •  アとイと同様の場合,DPC対象病院について,「DPC制度への参加等の手続きについて」(令和4年3月25日保医発0325第4号)の第1の4(2)②に規定する「DPC対象病院の基準を満たさなくなった場合」としての届出を行わなくてもよいものとすること。
    •  アからウの届出を行わなくてもよいこととされた医療機関においては,新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は医療機関に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができないことにより職員が一時的に不足したことを別紙様式1に記載し,各地方厚生(支)局に報告すること。
    •  ア及びイの場合においても,看護要員の労働時間が適切であることが求められることは当然のことであり,例えば,非常勤職員を新たに採用するなど,看護要員の過重労働の防止に配慮すべきである。

4.令和6年4月1日以降も継続する施設基準に係る特例について

  •  再診料の注12地域包括診療加算及び地域包括診療料の施設基準に規定する慢性疾患の指導に係る適切な研修について,2年毎の届出が必要とされているが,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,当該研修が中止される等のやむを得ない事情により,研修に係る施設基準を満たせない場合,届出を辞退する必要はなく,引き続き算定可能である。当該特例については,令和7年4月5日に終了する。
  •  一定期間の実績を求める要件並びに患者及び利用者の診療実績等に係る要件について,令和5年9月30日までの間に当該医療機関等が対象医療機関等※であった月が含まれる場合は,当該期間については,以下ア又はイにより算出できることとする。
    • 対象医療機関等に該当する期間については,実績を求める対象とする期間から控除した上で,控除した期間と同等の期間を遡及して実績を求める対象とする期間とする。
      • 令和5年4月から6月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関における,本年4月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
      • 通常の取扱いのとおり,実績を求める対象とする月
      • 対象医療機関等に該当するため,実績を求める対象としない月
      • 実績期間から控除した月(★)の代用として,実績を求める対象とする月
    • 対象医療機関等に該当する期間については,当該期間の実績値の代わりに,実績を求める対象とする期間から対象医療機関等に該当する期間を除いた期間の平均値を用いる。
      • 令和5年4月から6月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関における,本年の4月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
      • 通常の取扱いのとおり,実績を求める対象とする月
      • 対象医療機関等に該当するため,○の平均値を代用する月
        • 令和5年10月以降は,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関等であっても,通常の取扱いが必要であり,実績を求める対象とする期間から控除できない。
  •  対象医療機関等とは次のⅰからⅲのいずれかの要件を満たす医療機関及び訪問看護ステーションを指す。
    •  新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関等
    •  ⅰに該当する医療機関等に職員を派遣した医療機関等(市町村等の要請により新型コロナワクチン対応を行った医療機関を含む。)
    •  新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができない職員が在籍する医療機関等
      •  ⅰ~ⅲに該当する医療機関等については,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病棟,他の医療機関等に職員を派遣した病棟及び感染し出勤できない職員が在籍する病棟だけではなく,それ以外の病棟においても,同様の取扱いとする。なお,ⅰ~ⅲに該当する期間については,当該期間を含む月単位で取り扱うこととする。

その他の診療報酬の取扱いについて(疑義解釈)

問1 「A000」初診料の注11及び「A001」再診料の注15に規定する外来感染対策向上加算(以下単に「外来感染対策向上加算」という。)並びに「A234-2」の「3」感染対策向上加算3の施設基準における「新興感染症の発生時等に,都道府県等の要請を受けて…発熱患者の診療等を実施する体制」について,令和6年4月以降においてどのように考えたらよいか。

(答) 現時点では,発熱患者等の診療に対応する医療機関であって,その旨を
・自院のホームページで公表している,又は

・外来対応医療機関(「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」(令和5年3月17日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)の2.(3)において示す発熱患者等の診療に対応する医療機関をいう。)として,令和6年3月31日時点の各都道府県のホームページで公表されていた

もののうち,受入患者を限定しないものが該当する。

問2 令和6年4月1日から新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬の臨時的な取扱いが変更されるが,令和6年3月31日以前より入院している患者における令和6年4月1日以降の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 令和6年4月1日以降は,当該患者の入院日にかかわらず,変更後の取扱いに基づいて算定すること。

問3 (3ページ)3の1①のエにおいて,「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は医療機関に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができないことにより職員が一時的に不足したことを別紙様式1に記載し,各地方厚生(支)局に報告すること。」とされているが,当該報告はいつまでに行えばよいか。

(答) 前月の実績で1割以上の変動又は歴月で1か月を超える1割以内の変動があったことを把握した後,速やかに報告を行うこと。

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