医薬品に係る物流2024 年問題等により生じうる課題と対応策について

 時間外労働の上限の適用が5年間猶予されていた自動車運転の業務においては,4月以降,時間外労働の上限規制,改善基準告示の見直しにより,医薬品業界にも配送リードタイムの延長や1日あたりの納品回数の減少のほか,物流コストの上昇にともない,販売価格への価格転嫁につながる可能性が指摘されています(物流2024年問題)。
 この度,厚労省が物流2024年問題により医薬品業界に生じうる課題と対応策を取りまとめ,医療機関等においては,「①配送リードタイムの延長等を踏まえた早期発注」,「②納品ルール緩和」,「③適切な価格決定」が取りうる対応として示されましたので,お知らせします。

医療機関等が取りうる対応策

配送リードタイムの延長等を踏まえた早期発注
 医薬品の発送から納品までにこれまでより長い時間がかかることが想定されるため,医薬品の供給状況や配送リードタイムを踏まえ,これまでよりも早期に発注をすることにより,必要な医薬品の確保に努める。
②納品ルール緩和
 時間指定や場所,軽微な箱汚れ,ロット指定等についての納品に何らかのルールを設けている場合は,これを緩和し,配送の効率化を行う。 例えば,時間指定については「午前中の配達以外は受け取らない」といった対応を行わないこと,軽微な箱汚れや軽微な外装の破損であって内部の製品には影響がない場合には返品しないこと,ロット指定については納品される医薬品についてこれまでよりも使用期限が短い場合であっても使用期限が一定期間ありその間に使用することが可能と想定される場合には返品しないことなどが考え得る。
③適切な価格決定
 卸売販売業者から物流コストの増加に伴う価格交渉の申出があった場合には適切に応じ,コストの上昇分を考慮した上で,十分に協議を行い,適切な価格決定に取り組む。

2024年4月15日号TOP