保険医療部通信 – 政府が骨太の方針や成長戦略実行計画などを 閣議決定薬価調査は実施,医療保険制度改革に関する具体的な記載はなし

 政府は7月17日,「経済財政運営と改革の基本方針2020」(いわゆる骨太の方針)と「成長戦略実行計画」,「規制改革実施計画」をあわせて閣議決定した。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,例年より約1か月遅い閣議決定となった。
 骨太の方針2020で取りまとめる予定だった給付と負担のあり方など医療保険制度改革案の具体的な内容は記載されなかった。全世代型社会保障検討会議と連動して,一気に加速させたかった政府の筋書きは,コロナ感染症で一変した。
 一方で,最後までもつれた薬価調査は実施する方針で最終決着したが,「来年度の薬価改定については,コロナ感染症による影響も勘案して,十分に検討し,決定する」とされた。
 経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太の方針),成長戦略実行計画,規制改革実施計画の概要は以下のとおり。


 骨太の方針2020は,今後の政策対応の大きな方向性に重点を置いたものとして,従来よりも記載内容が絞り込まれ,第1章「新型コロナウイルス感染症の下での危機克服と新しい未来に向けて」,第2章「国民の生命・生活・雇用・事業を守り抜く」,第3章「新たな日常」の実現で構成されている。
 第1章は,総論部分であり,コロナ感染拡大で明らかになった課題を整理した上で,新しい未来への取組として「新たな日常」の実現を目指していくことなどを記載。早期実現に向けて,社会全体のデジタル化を強力に推進することを一丁目一番地の最優先課題に位置づけている。
 第2章では,感染拡大防止と経済活動の段階的引き上げとの両立を図るため,医療提供体制等の強化について記載。検査能力の拡充や病床確保,専用病院・病棟の設置推進,感染防護具・機材の確保・備蓄のほか,ワクチンや治療薬開発加速などを進めるとした。
 第3章は,「新たな日常」の実現に向けた取組を整理。デジタル化の推進では,医療のオンライン化に触れ,「オンライン診療について,電子処方箋,オンライン服薬指導,薬剤配送によって,診察から薬剤の受取までオンラインで完結する仕組みを構築する」とした。
 また,「新たな日常」に向けた社会保障の構築に,柔軟かつ持続可能な医療提供体制の構築や医療・介護分野におけるデータ利活用等の推進などの取り組みを記載している。具体的には,都道府県間を超えた病床や医療機器の利用,医療関係者の配置等を厚生労働大臣が調整する仕組みの構築や,オンライン診療の時限的措置の効果や課題等の検証に受診者を含めた関係者の意見を聞き,実施の際の適切なルールの検討,さらに22年夏を目途に電子処方箋の運用開始などをあげた。
 薬価制度の抜本改革に関しては,市場実勢価格を薬価に反映して国民負担を抑制する観点から,毎年薬価調査・薬価改定を行うことが過去の骨太の方針に明記されていた。21年度の薬価改定および今年の薬価調査について,コロナ感染症の影響を鑑み,日医や製薬団体などは,調査を行える状況になく,仮に実施しても,適切な市場実勢価格を把握することは極めて困難との懸念を示し,調査の実施見送りを強く要望していた。骨太の方針の原案では,既定路線として実施に関する記載がなく,自民党内から反対の声が相次いだものの賛成の意見もあり,賛否両面を含んだ形での書きぶりで調整された。最終的には,「本年の薬価調査を踏まえて行う21年度の薬価改定については,骨太の方針2018等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して,十分に検討し,決定する」と明記され,調査は実施することで決着したものの,薬価改定を行うかどうかは結果等も踏まえてあらためて検討する見込みである。
 なお,財政健全化に向けた歳出改革の重点分野とされてきた社会保障改革について,今回,目立った記載は見られないものの,目次部分に「骨太の方針2019のうち,今回記載がない項目についても,引き続き着実に実施する」と明記されており,これまでの対応方針に変更がないことを強調している。

 国の成長戦略をまとめた成長戦略実行計画にもオンライン診療に関する記載が盛り込まれ,「患者のみならず,医師・看護師を,院内感染リスクから守るためにも,オンライン診療を積極的に活用する」とした。分野別に具体的施策を示した成長戦略フォローアップでは,次期診療報酬改定に向けて,対象疾患の拡大やオンライン診療料の見直しを求めている。
 規制改革実施計画の医療分野では,「医療・介護関係職のタスクシフト」,「一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大」,「医療等分野におけるデータ利活用の促進」,「支払基金に関する見直し」に重点的に取り組むと記載。特に,タスクシフトについては,24年度から医師の時間外労働上限規制の適用を見据え,看護師の特定行為研修制度の普及促進や救急救命士の活用が盛り込まれ,特定行為研修制度の利用拡充に向けて診療報酬上の評価を含めた促進策の検討を求めている。また,スイッチOTC化に関しては,取り組みが十分に行われていないと指摘し,現在の厚労省評価検討会議の見直しなどを提言した。

◇経済財政運営と改革の基本方針2020

第1章 新型コロナウイルス感染症の下での危機克服と新しい未来に向けて

5.感染症拡大を踏まえた当面の経済財政運営と経済・財政一体改革
(2)感染症拡大を踏まえた経済・財政一体改革の推進

 感染症の下で新しい生活様式やビジネスが動き出している。デジタル化の活用をはじめ,動き始めた日本社会の進化を先取りする変革を一気に進め,「新たな日常」の構築による「質」の高い経済社会の実現を目指す。こうした観点から,「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下,2022年から団塊の世代が75歳になり始めることを踏まえ,骨太方針2018及び骨太方針2019等に基づき,デジタル・ガバメントの加速などの優先課題の設定とメリハリの強化を行いつつ,経済・財政一体改革を推進することとし,2020年末までに改革工程の具体化を図る。
 〈中略〉
 社会保障については,感染症対策により医療・介護システムの課題として認識された,柔軟で強靱な医療提供体制の構築,デジタル化・オンライン化を実現する。世界に誇る国民皆保険を維持しつつ,社会保障制度について,基盤強化期間内から改革を順次実行し,団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年までに基盤強化を進めることを通じ,より持続可能なものとし,次世代に継承する。
 〈以下略〉

第2章 国民の生命・生活・雇用・事業を守り抜く

1.感染症拡大への対応と経済活動の段階的引上げ―「ウィズコロナ」の経済戦略
(1)医療提供体制等の強化

 感染拡大防止と経済活動の段階的引上げとの両立を図るため,検査体制に関し症状の有無や感染リスクを踏まえ,基本的な考え方を整理し,戦略的に検査能力を拡充する。具体的には,有症状者については,抗原検査も活用しながら迅速に検査を受けられる体制をより確実なものとする。無症状の濃厚接触者など感染している可能性が高い者については,PCR検査を幅広く行う。医療等従事者や入院患者,施設入所者等に対して,感染の可能性がある場合は積極的に検査を行う。その際,必要なときには速やかに検査が受けられるという安心感を与えられるレベルを確保するため,PCR検査と抗原検査との最適な組合せによる迅速かつ効率的な検査体制の構築,民間検査機関の行う検査の質の確保等により更なる活用促進を図ること等による検査能力の増強,PCR検査センターの設置の促進や検査実施機関の拡充,唾液を用いたPCR検査・抗原検査の研究・推進等に計画的に取り組む。さらに,上記以外の者に対する検査の在り方については,偽陰性・偽陽性など検査の限界も考慮しつつ,社会経済活動を安心して行えるようにする観点を踏まえて検討する。また,国際的な人の往来の再開に備えて,検疫における検査体制を大幅に増強する。あわせて,HER-SYSの早急な定着・活用により,患者等に関する情報を関係者で迅速に共有できる体制を構築するなど,感染症情報について,情報収集と管理の仕組み・体制を集約,一元化し,そのための保健所の体制強化,積極的疫学調査・クラスター対策の強化に取り組む。また,接触確認アプリの機能向上と普及を促進するとともに,大規模感染症の流行時において国レベルで迅速かつ柔軟,確実に対処できる仕組みを構築するため,必要な法整備等について速やかに検討を進める。
 今後インフルエンザの流行期と感染の波が重なることも予測される中,仮に国内で感染者数や発熱患者等疑い患者が急増した場合でも十分に対応できるよう,検査体制とともに医療提供体制を強化していく。このため,医療提供体制については,都道府県とも連携しつつ,疑い患者も含め病床を確保し,必要に応じ専用の病院や病棟の設置を推進する。また,これらの医療機関に対して,今般の診療報酬の引上げ,病床確保・設備整備に対する補助を通じて支援するとともに,それ以外の医療機関・薬局に対しても,感染拡大防止のための支援,移植医療等の維持推進,危機対応融資の拡充など当面の資金繰りの支援を着実に実施する。G-MISにより,空床状況や人工呼吸器等の保有・稼働状況・人材募集状況など医療提供状況を一元的かつ即座に把握し,「医療のお仕事Key-Net」を通じて人材確保を図るとともに,都道府県等にも情報提供し,迅速な患者の受入調整等にも活用する。また,医療現場で必要となる感染防護具や医療機材,医薬品原薬等の確保・備蓄,国内生産体制の整備を進める。宿泊療養施設を確保するとともに,その運営に必要な支援を引き続き行う。
 国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの体制強化を図るとともに,一体的な取組を進めるための体制を構築する。
 また,介護・障害福祉施設に対する個室化など環境整備や在宅サービスも含めた感染拡大防止のための支援を行っていく。
 自衛隊の感染症対処能力の更なる向上や感染拡大防止を図るとともに,AIシミュレーション等の活用による効果分析等を通じた感染拡大防止策の進化を図る。
 引き続き,日本を含め世界の叡智(えいち) を結集することにより,疾病メカニズム等の研究を進め,効果的な治療法・治療薬やワクチン等の研究開発を更に加速し,緊急対応として優先かつ迅速に審査し,国内での生産体制を早期に整備するとともに,ワクチンや治療薬の必要量の確保とワクチン接種体制の構築を進める。
 在外邦人の実態把握を含め,その保護のための取組を強化する。国際的な人の往来は,ビジネス上の必要な往来から段階的に,感染拡大防止と両立する範囲内において,国内外の感染状況等を総合的に勘案し,国外からの新型コロナウイルスの流入防止に万全を期すため,引き続き水際措置を徹底しつつ,各国・地域と協議・調整の上で実施していく。また,一時帰国した在留外国人の再入国を許可する範囲等について検討する。
 その際,国際的な人の往来の本格的再開を見据え,PCR検査等に係る各種証明,健康状況報告をはじめ,出入国の際に求められる各種手続について,デジタル化・シームレス化を進められるよう国際的な動きと連携する。

第3章 「新たな日常」の実現

1.「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備(デジタルニューディール)
(3)新しい働き方・暮らし方
③ 教育・医療等のオンライン化

 新しい生活様式の中,遠隔教育,オンライン及び電話による診療・服薬指導について,利用者を含めた多様な関係者の意見を踏まえつつ,検証を進めていく。
 高校・大学の遠隔教育について,単位上限ルール等の見直しを検討する。また,義務教育段階の遠隔教育やデジタル教科書・教材の整備・活用を促進するとともに,デジタル教科書が使用できる授業時数の基準の緩和を検討する。
 オンライン診療について,電子処方箋,オンライン服薬指導,薬剤配送によって,診察から薬剤の受取までオンラインで完結する仕組みを構築する。

4.「新たな日常」を支える包摂的な社会の実現
(1)「新たな日常」に向けた社会保障の構築

 現下の情勢を踏まえ,当面の最重要課題として,感染症の影響を踏まえ,新規感染者数の増大に十分対応することができる医療提供体制に向けて万全の準備を進めておく必要がある。また,検査体制の強化,保健所の体制強化及びクラスター対策の強化等に取り組むとともに,外出自粛下において再認識された日々の健康管理の重要性を踏まえ,エビデンスに基づく予防・健康づくり,重症化予防の取組もより一層推進する。
 今般の感染症に係る施策の実施状況等の分析・評価を踏まえつつ,その重要性が再認識された以下の取組をより一層推進する。今般の診療報酬等の対応,病床・宿泊療養施設の確保状況,情報の利活用等の在り方を検証し,より迅速・柔軟に対応できる医療提供体制を再構築する。骨太方針2018,骨太方針2019等の内容に沿って,社会保障制度の基盤強化を着実に進め,人生100年時代に対応した社会保障制度を構築し,世界に冠たる国民皆保険・皆年金の維持,そして持続可能なものとして次世代への継承を目指す。

① 「新たな日常」に対応した医療提供体制の構築等(柔軟かつ持続可能な医療提供体制の構築)
 感染症の次の大きな波も見据え,今までの経験で明らかになった医療提供体制等の課題に早急に対応する。都道府県が,二次医療圏間の病床や検査能力等の把握と必要な調整を円滑に行えるようにするとともに,医療機関間での医療従事者協力等を調整できる仕組みを構築する。加えて,都道府県間を超えた病床や医療機器の利用,医療関係者の配置等を厚生労働大臣が調整する仕組みを構築する。累次の診療報酬上の特例的な対応や新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等による対策の効果を踏まえつつ,患者が安心して医療を受けられるよう,引き続き,医療機関・薬局の経営状況等も把握し,必要な対応を検討し,実施する。また,本年の薬価調査を踏まえて行う2021年度の薬価改定については,骨太方針2018等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して,十分に検討し,決定する。
 感染症への対応の視点も含めて,質が高く効率的で持続可能な医療提供体制の整備を進めるため,可能な限り早期に工程の具体化を図る。その際,地域医療構想調整会議における議論の活性化を図るとともに,データに基づく医療ニーズを踏まえ,都道府県が適切なガバナンスの下,医療機能の分化・連携を推進する。
 病院と診療所の機能分化・連携等を推進しつつ,かかりつけ機能の在り方を踏まえながら,かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の普及を進める。

(医療・介護分野におけるデータ利活用等の推進)
 感染症,災害,救急等の対応に万全を期すためにも,医療・介護分野におけるデータ利活用やオンライン化を加速し,PHRの拡充も含めたデータヘルス改革を推進する。
 被保険者番号の個人単位化とオンライン資格確認の導入のための「保健医療データプラットフォーム」を2020年度に本格運用を開始するとともに,患者の保健医療情報を患者本人や全国の医療機関等で確認できる仕組みに関し,特定健診情報は2020年度中に,レセプトに基づく薬剤情報については2021年中に稼働させ,さらに手術等の情報についても2022年中に稼働させる。それ以外のデータ項目については,情報連携の必要性や費用対効果等を検証しつつ,技術動向等を踏まえ,2020年中を目途にデータヘルス改革に関する工程を具体化する。医療分野の個人情報の保護と利活用の推進策を検討する。保険者のデータヘルス計画の標準化等の取組を推進する。本年3月の「審査支払機関改革における今後の取組」等に基づき,審査支払システムや業務を整合的かつ効率的に機能させる等の改革を着実に進める。科学的介護・栄養の取組を一層推進する。
 オンライン診療等の時限的措置の効果や課題等の検証について,受診者を含めた関係者の意見を聞きエビデンスを見える化しつつ,オンライン診療や電子処方箋の発行に要するシステムの普及促進を含め,実施の際の適切なルールを検討する。電子処方箋について,既存の仕組みを効率的に活用しつつ,2022年夏を目途に運用を開始する。医師による遠隔健康相談について,既存事業の検証を行いつつ,効果的な活用を図る。
 AIを活用した医療機器の開発や,医薬品等の開発の促進に資する薬事規制の体制の整備・合理化を進める。
 感染症の下,介護・障害福祉分野の人手不足に対応するとともに,対面以外の手段をできる限り活用する観点から,生産性向上に重点的に取り組む。ケアプランへのAI活用を推進するとともに,介護ロボット等の導入について,効果検証によるエビデンスを踏まえ,次期介護報酬改定で人員配置の見直しも含め後押しすることを検討する。介護予防サービス等におけるリモート活用,文書の簡素化・標準化・ICT化の取組を加速させる。医療・介護分野のデータのデジタル化と国際標準化を着実に推進する。

② 「新たな日常」に対応した予防・健康づくり,重症化予防の推進
 「新たな日常」に対応するため,熱中症対策に取り組むとともに糖尿病,循環器病などの生活習慣病や慢性腎臓病の予防・重症化予防を多職種連携により一層推進する。新たな技術を活用した血液検査などの実用化を含め,負荷の低い健診に向けた健診内容の見直し・簡素化等を前倒しするとともに,オンラインでの健康相談の活用を推進する。
 かかりつけ医等が患者の社会生活面の課題にも目を向け,地域社会における様々な支援へとつなげる取組についてモデル事業を実施する。
 細菌性やウイルス性の疾患の予防という観点も含め,口腔の健康と全身の健康の関連性を更に検証し,エビデンスの国民への適切な情報提供,生涯を通じた歯科健診,フレイル対策・重症化予防にもつながる歯科医師,歯科衛生士による歯科口腔保健の充実,歯科医療専門職間,医科歯科,介護,障害福祉関係機関との連携を推進し,歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。
 一般用医薬品等の普及などによるセルフメディケーションを推進する。
 全ゲノム解析等実行計画を着実に推進し,治療法のない患者に新たな個別化医療を提供するべく,産官学の関係者が幅広く分析・活用できる体制整備を進める。

◇成長戦略実行計画

第9章 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた対応

(3)強靱な経済構造の構築
① 生産拠点のサプライチェーン対策

 医療・健康用の消費財・薬剤などの国民の健康に不可欠なものや,海外依存度の高いものについて,国内投資を支援し,確実な供給体制を構築するとともに,サプライチェーン上不可欠な製品・部素材については,生産の多層化・多重化を支援し,危機時に柔軟に対応できるサプライネットを構築する。

② テレワーク,遠隔教育などICT等による非接触・遠隔サービスの活用
 新型コロナウイルス感染症により,仕事でも家庭でもライフスタイルの急激な変化が余儀なくされた。テレワークや宅配サービス等は使い続け,元には戻らないという不可逆的な変化が生じている。我が国の産業が,こうした変化に的確に対応していくことができるよう,ポスト・コロナの社会にマッチした業態変換を後押しする施策,規制改革について検討する必要がある。
 感染拡大防止の観点からも,テレワーク,遠隔教育,遠隔医療等を促進するため,以下の施策を講じていく。

(a)テレワークの推進,オンライン診療の拡大
 企業におけるテレワークの取組が促される中で,テレワークの場合の労務管理の方法の明確化を図る。また,中小企業によるテレワークのための通信機器の導入について,支援の強化を図る。さらに,中小企業等のサイバーセキュリティ対策を支援する。
 加えて,健康相談など非対面・遠隔サービスの充実を図る。また,患者のみならず,医師・看護師を,院内感染リスクから守るためにも,オンライン診療を積極的に活用する。

◇規制改革実施計画

Ⅱ 分野別実施事項

4.医療・介護分野
(1)規制改革の観点と重点事項

 ①持続可能な社会保障制度の基盤整備及び②健康づくり・高水準の医療サービスの創出の観点から,(2)医療・介護関係職のタスクシフト,(3)介護サービスの生産性向上,(4)一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大,(5)医療等分野におけるデータ利活用の促進,(6)社会保険診療報酬支払基金に関する見直しについて重点的に取り組む。

(2)医療・介護関係職のタスクシフト

(4)一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大

(5)医療等分野におけるデータ利活用の促進

2020年8月15日号TOP