2024年6月1日号
設問 1 小児の弱視治療の適切な時期はあるか。
解答 1 ・視機能発達の感受性期は3歳頃までがピークで10歳くらいまでに激減してゆくため,感受性の高い時期での治療が最適である。
・視力検査は3歳過ぎてから施行可能のため,実際には,3歳過ぎから治療開始し6歳の就学前までに良好な視力を得ることを目標とする(6歳までに1.0(by 日眼医))。
・(SVS などで)強度屈折異常が発見された場合には,乳児でも治療開始することもある。
設問 2 3歳児健診・就学時健診などがあるため,学校健診での視力不良例については弱視の心配は不要か。
解答 2 ・学校健診での視力不良例での殆どが,近視や乱視の進行によるものだが,3歳児健診,就学時健診や低学年の学校健診もスルーする弱視例もあるので注意が必要。
・3歳児健診,就学時健診や学校健診は大切であり,その都度しっかりした視力検査が重要。
設問 3 小児の弱視は眼鏡や訓練,斜視は眼鏡や手術などが治療となるか。
解答 3 ・弱視には眼鏡や訓練,斜視には眼鏡や手術が治療となるが,器質的弱視は治療困難。
・眼内腫瘍や脳腫瘍などの重篤な疾患が原因の場合もあり,要注意。原疾患への早期治療が必要となる。
・重症筋無力症による斜視では,(小児科での)精査と投薬治療が必要となる。
設問 1 MASLD/MASH とは何か?
解答 1 MASLD-Metabolic Dysfunction-associated Steatotic Liver Disease
MASH-Metabolic Dysfunction-associated Steatohepatitis
解説 1 脂肪肝に加え,5つの心臓代謝危険因子(肥満・血糖・血圧・中性脂肪・HDL-C)のうち少なくとも1つ以上を含む疾患が 2023 年に定義された。
MASLD(アルコール <20/30g)
MASLD and increased alcohol intake(MetALD)(アルコール:20/30g-50/60g)
設問 2 SGLT2 阻害剤は MASLD/MASH の治療に有効か?
解答 2 有効:肝機能の改善,肝組織学的改善を認める。
設問 3 ダイエット・糖質制限・運動療法は MASLD/MASH にどのように有効か?
解答 3 ダイエット・糖質制限・運動療法は肝臓に相対的な低血糖をもたらし,肝の糖新生シグナルが活性化する。肝は細胞内に蓄積されている余分な脂肪酸を分解し,糖新生に利用する。
したがって,空腹感を感じているときに脂肪肝が良くなっていると言える。
設問 1 二次性頭痛の原因でないものはどれか。
① 良性発作性めまい
② 急性副鼻腔炎
③ 髄膜炎
④ 下垂体卒中
⑤ 急性閉塞隅角緑内障
解答 1 ①
設問 2 二次性頭痛や原因疾患について,間違っているものはどれか。
① 新生物の既往や HIV などの免疫系病態を有する患者の頭痛は二次性頭痛を疑う。
② 頭痛パターンの変化または最近発症した新しい頭痛は二次性頭痛を疑わない。
③ 椎骨動脈解離は嚥下障害が出現することがある。
④ 静脈洞血栓症は腫瘍による圧迫,妊娠,経口避妊薬,Behcet 病,血液疾患が原因となることが多い。
⑤ 可逆性脳血管攣縮症候群は入浴,性行為,過大なストレスがトリガーとなることがある。
解答 2 ②
解説 2 「頭痛パターンの変化または最近発症した新しい頭痛」は SNNOOP10 リストの項目に含まれており,二次性頭痛を疑う。
設問 1 一次性頭痛の中で最も有病率の高いのは片頭痛であるが,片頭痛の特徴で正しいものは以下の中のいずれか?
① 片頭痛は不愉快な随伴症状をともなう。
② 片頭痛発作は運動をすることで改善する。
③ 片頭痛は家族性の疾患である。
④ 片頭痛は若いころは激しい頭痛があっても,年をとるにしたがい改善する。
⑤ 月経時は片頭痛発作は起こらなくなる。
解答 1 ①,③
設問 2 片頭痛の急性期治療薬で正しいのはどれか?
① 2時間後に頭痛が改善すれば有効と考える。
② 血管障害のある患者さんはラスミジタンが安全である。
③ 片頭痛急性期治療薬の有効性が高いと慢性化を予防できる。
④ トリプタンは食後に飲むと効果が良い。
⑤ ラスミジタンは空腹時に飲むと副作用が少ない。
解答 2 ②,③
設問 3 片頭痛の発作抑制薬で正しいのはどれか?
① 経口薬と注射薬がある。
② 経口薬は副作用も少なく有効性も高い。
③ 注射薬は抗 CGRP 関連抗体であるが副作用も少なく安全性も高い。
④ 抗 CGRP 関連抗体は週に一度の注射が必要である。
⑤ 抗 CGRP 関連抗体は頭痛日数を減らし,頭痛の程度を改善させる効果がある。
解答 3 ①,③,⑤
設問 1 男性がん患者(患児)の妊孕性温存はどの時点で行うのが適当か?
解答 1 治療開始前が最適である。
設問 2 男性がん患者(患児)の妊孕性温存のためには,精子凍結保存を行う施設を受診する必要があるか?
解答 2 本人以外の家族が持ち込むことも可能である。
できるだけ,精子保護が可能な容器を用いることが望ましい。
設問 3 精子形成開始前の男児の妊孕性温存は不可能であるのか?
解答 3 現時点では,ヒトにおいては完全体外培養での成熟精子は得られていないのが現状である。
研究的な要素は多いが,精巣組織凍結保存のオプションを提示することが望ましい。
設問 1 循環器疾患患者で COPD が問題となるのはなぜか ?
解答 1 COPD は,循環器疾患患者の全死亡だけでなく,心疾患関連死のリスクを増加させる。
COPD 増悪後の心血管系イベント発症率は高いことが明らかにされており,吸入薬などによる増悪予防が重要である。
設問 2 COPD を疑い呼吸機能検査を行うと,1秒率が73%であったが,1秒量は,年齢,性別,身長から計算される予測値の75%であった。正常と判断して良いか?
解答 2 1秒率が正常でも1秒量が少ない(予測値の80%未満)の場合は PRISm と呼ばれ,メタボリックシンドロームの合併や将来の COPD への移行率が高い。少なくとも経過観察が望ましい。
設問 1 COPD 診断に際して,最も重要な生活習慣はなにか?
解答 1 (長期の)喫煙歴
設問 2 呼吸不全(pa02 < 60Torr)の COPD 患者の予後改善が証明されている治療はなにか?
解答 2 長期酸素療法
設問 3 COPD の安定期治療の薬物治療の第一選択はなにか?
解答 3 (長時間作用型)吸入気管支拡張薬
設問 1 多発性軟骨性外骨腫症で必ずスクリーニングしておくべき部位は?
解答 1 脊柱管内と胸部
設問 2 小児の母趾短縮/外反母趾をみたら疑うべき疾患は?
解答 2 進行性骨化性線維異形成症
設問 1 ロコモとフレイルの違いは?
解答 1 ロコモとフレイル
主な対象患者が共通している。
・動きの低下した脆弱な高齢者(ロコモ度3,フレイル)ただし,
・ロコモは年齢に関係なく移動機能が低下した人
・フレイルは寝たきり以前の高齢者を包括的に評価する。
設問 2 痛みは全部取るべきか?
解答 2 痛覚は生体防御機構の一つ。
生理的痛みをゼロにすると組織損傷の気づきが遅れる。
・強力な鎮痛は関節破壊の危険がある。
病的痛みはすべて取れるのが望ましい。
・その代表が神経障害性疼痛である。
設問 3 慢性腰痛の治療は?
解答 3 慢性腰痛の治療
・強く推奨する薬剤はない。(2019腰痛診療ガイドライン)
・運動療法が中心である。
・鎮痛は運動療法のための支援治療となる。