2020年9月1日号
令和2年度第1回近医連保険担当理事連絡協議会が7月18 日(土)に開催された。今回は新型コロナウイルス感染防止の観点から,各府県をテレビ会議システムで繋いだオンライン形式によるものとなった。
令和2年度は京都が近医連の主務のため,谷口府医理事司会のもと行われた協議では,主に「令和2年度診療報酬改定の問題点」と「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」を取り上げ,それぞれ意見交換を行った。
令和2年度診療報酬改定の問題点については,府医から,ここ数年,公の場では議論さえ行われてこなかった「初・再診料の引上げ」を重点的に取り上げることを提案した。谷口府医理事は,医療従事者は今後,日常的に感染症のリスクに晒されながら診療を行うことになるものの,その基礎をなす基本診療料の評価が極めて低く抑えられていると指摘した上で,今強く主張しておかなければ,今後二度とこの意見を口にすることさえできなくなると説明した。あわせて機能強化加算や妊婦加算を例に,加算ではなく本体で評価することの重要性も説明し,近医連として,しっかりとした理論を積み上げて,日医に提言したいとした。
各府県からは,①コロナウイルスの影響による危機的状況下においては,初再診料以外の手当ても重要として,慢性疾患の患者にも算定できる院内トリアージ実施料2の新設,②中医協の議論の俎上にあげるにはデータが必須であり,日医総研を活用するべき,③薬価引下げ財源を診療報酬本体に充当しないことが既成事実化されており,継続的に訴えていくべきとの意見があった。アンケートの実施など理論構築に向けて継続して協議していくこととなった。
続いて「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」では,事前に実施したアンケート結果を踏まえて意見交換を行った。
評価できるものとしては,診療所における院内トリアージ実施料の算定が可能となったこと,病院においては重症の感染症患者についてICU 等で3倍の点数,中等症の患者で救急医療管理加算の3倍の点数が算定可能となったことなどが挙げられた。一方で評価できないものとして,各府県とも初診から電話等による診察を容認したことが挙げられた。すでに規制改革推進会議が対面診療を基本とする医師法の見直しを提言したほか,経団連も特例措置の恒久化を求めていることが問題視され,あくまで特例かつ臨時的な取り扱いであり,対面診療が原則ということを強く主張すべきとの意見で一致した。
また,田村府医理事は,3カ月経過時に実施すると定められている検証は,診療の質と安全を第一義に公正に行うべきとした。また,特例で電話再診による特定疾患療養管理料(147 点)が月1回認められたが,医療機関に外来受診した時と同様に算定ができるようにするべきであると提案した。
最後に濱島府医副会長は,コロナ対応の混乱に乗じて,十分な時間もなく初診時のオンライン診療が認められてしまったと振り返り,今後,中医協等における公正な検証を求めた。さらに,オンライン診療は離島やへき地で厳格な条件のもとで容認されるものであり,利便性のみで導入するのではなく,質や安全性を重視すべきとした。