2024年10月1日号
令和6年度近医連定時委員総会が9月8日(日),奈良県医主管のもと,ホテル日航奈良で開催され,近畿各府県医から210名が参加,府医からは役・職員30名が出席した。
午前中に行われた分科会では,第1分科会「医療保険・介護保険」,第2分科会「感染症対策」,第3分科会「医療情報」に分かれて各府県医で議論を交わしたほか,併せて常任委員会も開催された(分科会の詳細は次号掲載予定)。
午後から開催された総会では,委員長や来賓等からの挨拶の後,令和5年度会務報告が行われるとともに,議事では令和5年度決算,令和6年度事業計画・予算がそれぞれ可決・承認された。
その後,「第1分科会」において検討された決議案が提出され,採択された(全文は次頁)。
総会終了後は,大峯山護持院 井光山五臺寺 櫻本坊 教学執事のザイレ法雲氏より「『當病平癒』の世界-祈祷寺における心と身のケア-」と題して,特別講演が行われた。
また,来年は和歌山県医が主務地となり,令和7年9月7日(日)にホテルグランヴィア和歌山で開催される予定である。
決議
財務省の財政制度等審議会「春の建議」(令和6年5月21日)では,「歳出の目安」として,社会保障関係費を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる歳出改革を継続することが示されているほか,地域別診療報酬の活用,新規開業規制に関する検討の必要性および医薬品の保険給付範囲見直し等が提言されている。
政府の「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針2024)」では,「歳出の目安」に関し,「経済・物価動向等に配慮しながら,各年度の予算編成過程において検討する」との文言が盛り込まれたことは一定の評価をするものの,地域別診療報酬を想起する「経済的インセンティブによる医師偏在是正」をはじめ,セルフメディケーションやリフィル処方活用推進等の記載がある。更に,子ども・子育て支援金制度の財源を社会保障の削減と公的医療保険料に上乗せで徴収する支援金とされており,あらゆる手段を講じ,社会保障費抑制策が進められようとしている。
日本の国民皆保険制度は,国民の誰もが全国どこでも均一,かつ良質な医療を受けることができる体制を長年にわたり維持してきた。今後も,地域の住民に安心・安全な医療を公平に提供し続けていくためにも,適切な財源を確保のうえ,医療提供体制を維持,発展させていく必要がある。
以上のことから政府に次の事項を強く要望する。
記
一,歳出の目安によるシーリングは撤廃し,社会保障に必要な財源を十分に確保すること
一,地域別診療報酬導入や強制力を伴う新規開業規制の議論は即刻撤回すること
一, 医師偏在対策はディスインセンティブではなく,補助金等によるインセンティブを設けること
一, セルフメディケーションの過度な推進は,国民の健康を脅かす恐れがあり慎重に議論をすること
一, 薬剤の処方権は医師にあり,リフィル処方を医療機関に強要するような議論は即刻撤回すること
一,高齢者の一部負担金増につながる議論は即刻撤回すること
一, 保険診療における処方薬はすべて保険給付とすべきであり,長期収載品の選定療養化は即刻撤回すること
一, 子ども・子育て支援金制度の財源を社会保障の削減の上に成り立たせている少子化対策関連法案を撤回すること
以上,決議する
令和6年9月8日
近畿医師会連合定時委員総会