地域医療部通信 – 新型コロナウイルス感染症関連情報 第12報【重要】 新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&A

令和年7月15日時点

 新型コロナウイルス感染症の検査に関して,感染症法に基づく行政検査の対象者として,どのような者が考えられるか。

(答)
○ 新型コロナウイルス感染症にかかる「行政検査」の対象者としては,感染症法第15条第1項・第3項第1号より,
   ①新型コロナウイルス感染症の患者
   ②当該感染症の無症状病原体保有者
   ③当該感染症の疑似症患者
   ④当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者
となっております。

○ 上記①~③の具体的な基準としては,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について(一部改正)」(令和2年5月13日付健感発0513第4号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。以下「届出通知」という)別紙の第7において,それぞれをお示ししております。

○ 上記④については,例えば,「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学実施要領」(令和2年5月29日版。国立感染症研究所感染症疫学センター)に示されている「濃厚接触者」が該当することをお示ししていますが,必ずしもこれに限られず,以下のような者についても④に該当すると考えられます。

○ 特定の地域や集団,組織等において,
 ・関連性が明らかでない患者が少なくとも複数発生しているなど,検査前確率が高いと考えられ,かつ,
 ・濃厚接触を生じやすいなど,クラスター連鎖が生じやすいと考えられる状況にある
 と認められる場合における,当該地域や集団,組織等に属する者


○ なお,上記の「地域や集団,組織等に属する者」に対する行政検査については,個別具体的な検査対象者の感染の疑いに着目して行う検査ではないため,濃厚接触者に対する検査とは別のものとして行うのであり,検査対象者は濃厚接触者として取り扱うことはしないこと(14日間の健康観察の対象としない)としております。ただし,検査後2週間以内に健康状態が悪化したときは速やかに報告するよう求めるとともに,報告があったときは,速やかに再検査を行うこと,当該検査は陰性を証明するものではないこと等を対象者に説明することにご留意ください。

○ また,④に対する行政検査の実施方法としては,
 ・直接保健所内において実施する場合や,
 ・保健所が直接行政検査を行うこととした上で,当該者に対するPCR検査等を行うためだけに委託した医療機関等において検査を行う場合
なども考えられます。

 この場合,当該医療機関等の医師(※)は「新型コロナウイルス感染症を疑う」等の判断はせず,保健所等の委託を受けた検査を行うため,当該検査につき保険適用がされるわけではありません。

(※)保険医療機関の医師として検査等を行うのではない。

【参考】「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学実施要領」(令和2年5月29日版。国立感染症研究所感染症疫学センター)
https://www.mhlw.go.jp/content/000635400.pdf

 無症状の濃厚接触者等に対しても行政検査を行うこととしているが,当該検査につき保険適用されるのか,また,当該検査を行った医師は感染症法に基づく医師の届出を行う必要があるのか。

(答)
○ 新型コロナウイルスに係るPCR検査や抗原検査は,患者に対して行う手術等の内容や周囲の感染状況を踏まえ,医師が患者の診療の為に必要と判断して行った場合は,症状の有無にかかわらず保険適用となります。なお,保険請求にあたっては,診療報酬明細書の摘要欄に,医師が個々の患者について検査が必要と判断した医学的根拠を記載していただくこととしております。

○ また,PCR検査や抗原検査を実施する場合には,都道府県等と医療機関との間の委託契約(集合契約としてなされるものを含む)を締結していただくこととしています。

○ さらに,当該検査を行った医師の判断として,届出通知別紙の第7で示された疑似症患者に該当する場合については,届出が必要となります。

○ なお,保健所が濃厚接触者といった新型コロナウイルス感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対して直接行政検査を行うこととした上(※1)で,当該者に対するPCR検査等を行うためだけに委託した医療機関等に案内し,そこで検査を行う場合なども考えられます。この場合,当該医療機関等の医師(※2)は「新型コロナウイルス感染症を疑う」等の判断はせず,保健所等の委託を受けた検査を行うため,当該検査につき保険適用がされるわけではありません。

(※1)新型コロナウイルス感染症に係る検査が保険適用される以前に行われていた行政検査。
(※2)保険医療機関の医師として検査等を行うのではない。

 簡易抗原検査も含め,保険適用されている新型コロナウイルス感染症に係る検査は,医師の判断により行われるものであれば,行政検査としての契約をしていなくてもよいか。また,委託契約を結んでいない医療機関でPCR検査や抗原検査を行った場合,事後的にでも必ず委託契約を結ぶ必要があるのか。

(答)
○ 医療機関においてPCR検査や抗原検査を実施する場合には,「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて」(令和2年3月4日健感発0304 第5号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。以下「行政検査通知」という)において,
 ・「医師の判断により診療の一環として行われ,帰国者・接触者外来を設置している医療機関等において実施する保険適用される検査については,前述の行政検査と同様の観点を有することから,同検査を実施する医療機関に対して,都道府県等から行政検査を委託しているものと取り扱い,当該検査費用の負担を本人に求めない」こと
 ・「委託契約の効果は遡及させることができることから,契約手続きに時間を要する場合などには,契約が締結されれば契約締結前に実施された検査についても契約に基づく補助の対象になることを都道府県等と医療機関の間で合意した上で,契約締結を待たずに,行政検査(PCR検査および抗原検査)を実施する」ことが可能であること
等をお示ししています。

○ このため,医療機関において,PCR検査や抗原検査を実施する場合には,都道府県等と医療機関との間の委託契約(集合契約としてなされるものを含む)を締結していただき,患者に対して自己負担を求めることなく,当該部分については,公費負担として処理されるものと認識しています。

○ なお,前述のとおり,契約締結を待たずに行政検査を実施することも可能であることから,すでに検査を実施している場合であっても,その後,都道府県等は,当該医療機関に感染防御ができていること等の必要事項を伝えた上で,速やかに契約を締結していただき,公費負担により処置するものと考えています。

【参考】「帰国者・接触者外来を設置している医療機関等」の具体例
「帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関として都道府県等が認めた医療機関」について」(令和2年5月10日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)
https://www.mhlw.go.jp/content/000628699.pdf

 感染症法第12条に基づく医師の届出は,行政検査(委託契約を結んでいる医療機関で行った場合も含む)として行ったもの以外であっても必要か。

(答)
○ 行政検査かどうかに関わらず,検査を必要と判断した医師が,当該検査対象者について,届出通知別紙の第7で示された疑似症患者に該当する場合については,届出が必要となります。また,行政検査かどうかに関わらず,新型コロナウイルス感染症もしくは疑似症と診断された場合は,医師の届出が必要です。

「厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部令和2年7月15日付事務連絡より」

2020年8月15日号TOP