地域医療部通信 – 新型コロナウイルス感染症関連情報 第12報【重要】 新型コロナウイルス感染症に係る検査の技術的事項に関する質疑応答集(Q&A)(別添)

令和2年7月21日時点

【検査対象者関係】

1.唾液を用いたPCR検査(LAMP法を含む)及び抗原定量検査が可能な対象者はどのような方か。無症状者への検査は可能か。

(答) 唾液を用いたPCR検査(LAMP法を含む)および抗原定量検査が可能とされているのは「症状発症から9日(症状発症日を第1日とする)以内の者」および「無症状者」である。

2.「症状発症から9日以内の者」の「症状」とはどのようなものか。

(答) 新型コロナウイルス感染症を疑う症状と考えられるもの。医師の判断となるが,具体的には発熱や呼吸器症状などが挙げられる。

3.退院判定および宿泊療養等の解除判定のために唾液検体を使用することは可能か。

(答) 唾液を用いたPCR検査(LAMP法を含む)および抗原定量検査が使用可能な対象者であれば,唾液と鼻咽頭拭い液との一致率は非常に高いことから,退院判定および宿泊療養等の解除判定のための検査は可能である。

【検査試薬関係】

4.唾液を用いた検査を行うにあたって,どの検査試薬および機器が使用可能なのか。

(答) 唾液検体を用いた検査に際しては,使用する検査試薬および機器の製造販売業者に対して,唾液検体を用いる場合の条件等を確認することが望ましい。

【採取方法関係】

5.どのように唾液を採取するのか。

(答) 国立感染症研究所が作成した「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」を参考に,滅菌容器(50ml遠沈管等)に1-2mL程度の唾液を患者に自己採取してもらう。

6.唾液採取をすべき時間帯はあるのか。

(答) 現時点では,特段の制限はされていない。

7.唾液を採取するにあたって,飲食や歯磨きに関して注意する点はあるか。

(答) 飲食や歯磨き,うがいの直後の唾液採取はウイルスの検出に影響を与える可能性があり,避けるべきである。明確な基準はないが,目安として,飲食等の後,最低10分以上,できれば30分ほど空けることが望ましい。

【採取用具関係】

8.唾液を採取する際には,どのような採取容器を用いればよいか。

(答) 唾液の採取においては,密閉ができ,患者が自ら唾液を入れるためにある程度の口の広さがある滅菌容器が必要である。例として,50mlの遠沈管等が挙げられる。

【保管・輸送方法関係】

9.どのように唾液検体を保管,輸送すればよいか。

(答) 「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」を参考に,検体採取後,可能な限り速やかに氷上または冷蔵庫(4℃)に保管する。輸送開始までに48時間以上かかる場合は-80℃以下で凍結保存する。-80℃の冷凍庫がない場合は通常の冷凍庫(-20℃程度)で保存する。検体の輸送にあたっては,原則,基本三重梱包を行ない,公用車・社用車等の自動車または,カテゴリーBに分類される臨床検体等の取り扱い可能な輸送業者を利用して送付を行う。

【感染防御関係】

10.唾液採取時の感染防御はどのように行うべきか。

(答) 国立感染症研究所,国立国際医療研究センター国際感染症センターが作成した「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(※1)」に従い,診察する場合,標準予防策に加え,接触,飛沫予防策を行う。また,診察室および入院病床は,個室が望ましく,十分換気する。検体を回収する際には,サージカルマスク,手袋を装着する。
(※1)https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html

11.環境整備はどのように行うべきか。

(答) 「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」に従い,患者周囲の高頻度接触部位などは,アルコール(エタノールまたは2-プロパノール)あるいは0.05%の次亜塩素酸ナトリウムによる清拭を行い,高頻度接触面や物品等の消毒を励行することが望ましい。詳細については,日本環境感染学会が作成した「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(※2)」等を参考にする。
(※2)
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID19_taioguide3.pdf

「厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部令和2年7月22日付事務連絡より」

2020年8月15日号TOP