2020年10月1日号
東山医師会と府医執行部との懇談会が8月21日(金),Webで開催され,東山医師会から20名,府医から6名が出席。「新型コロナウイルス感染者発生時の個人情報保護と感染拡大防止のための周辺医療機関への周知のバランス」,「京都市新型コロナウイルス感染症相談窓口の対応」,「講習会等の単位取得」をテーマに活発な議論が行われた。
府内における医師の感染1例目の経緯について,京都市としては,今回のケースは,重症であったため,本人へのヒアリングが行えず,濃厚接触者の特定と情報の公開が困難であったと説明を受けている。
京都市に情報の取り扱いについて確認したところ,「個人の特定ができないよう配慮しつつ,一定の情報(年代,性別,居住地,発症日,症状,職業,感染経路)を公開している。医師については本人・所属団体へ確認の上,同意された場合のみ公表している。自主的な公表を原則としている」との回答であった。
感染した医師本人が拒否した場合は公表しないが,今後はその場合は京都市から府医に連絡するように要請したので,府医から地区医会長へ報告することとする。その後の対応については,各地区での判断に委ね,風評被害の懸念はあるものの,感染拡大防止の観点から情報の共有が望ましいと考えている。
地区からは,「濃厚接触者を早く特定したい。そのために医師会内のクローズドな濃厚接触者のヒアリング,連絡を行い,公表する情報を選択したらどうか」との意見が出された。
京都市の帰国者・接触者相談センター(以下,「相談センター」という)の対応については,以前から会員の苦情が相次ぎ,問題視されていた。患者が相談センターに電話すると画一的な対応しかされず,PCR検査が必要なケース(味覚障害・嗅覚障害・長期の高熱や咳等)であっても,かかりつけ医の受診を勧められ,医師が対応に苦慮していたにもかかわらず,京都市においては,相談センター設立前に府・市・府医で三者協議を行い,対応方法の枠組を決めていたが,3月時点で内容・解釈が異なるものに変わっていた。また,相談センターの電話対応者は医療関係者ではなく,外部委託の職員がマニュアルに従って対応していたため,画一的な対応しかされず,都度改善を強く要請しているところである。
しかしながら,京都市では現在,陽性者・濃厚接触者の対応で手一杯であり,PCR検査の枠も切迫していることから,改善も難しい状況である。患者からの相談・受診でコロナの疑いがあった場合は,早期発見・早期診断のためにも,PCR検査の集合契約がある医療機関もしくは,府医のPCR相談センターへ相談するよう求めた。
~質疑応答~
◇「唾液PCR検査を実施している医療機関を紹介してほしい」と要望が出された。
唾液PCR検査実施の契約医療機関は,あくまで非公開のため,地区医内で情報交換・共有するか,その都度府医へ問い合わせるよう理解を求めた。
◇「唾液PCR検査の集合契約の条件の中に,発熱者を空間的・時間的に動線を分けるとあるが,基準が難しい。どの程度の基準を求められるのか」と質問が出された。
基本的にはインフルエンザ流行時の対応と同様。唾液検査の検体採取は別室で実施,検尿のような窓口で提出,個室を準備する等の対応で十分である。検体採取後は清拭消毒することで感染対策になると説明した。
◇「今から集合契約をしても,検査業者から集配等が手一杯で対応できないと言われる」との意見が出された。
検査会社とは容器・検査用紙・集配・連絡方法等について,あらかじめ打合せが必要である。特に検体採取時には事前連絡が必須である。集合契約は今後も可能なので,検査会社への問い合わせを依頼。また,検体採取方法も刻々と進化しており,今後簡素化していくと思われる。府医からも情報提供していくと説明した。
コロナ感染拡大を受けて,2月中旬以降,様々な学会・研修会が中止となっている。産業医の更新やかかりつけ医機能研修等にも影響が出ており,単位取得ができないのではないかとの声を受け,府医と日医の対応を説明した。
~日医認定産業医の単位認定・更新について~
府医は,2月中旬以降中止していた研修会を6月中旬より再開した。再開後は中止と定員減の影響ですぐに満員になり,参加しにくい状況が続いている。一部,今年度が更新期日の産業医には優先的に受講できるよう参加枠を確保し,単位取得が間に合うように対応している。
日医からは,単位取得および更新申請手続き期間を,個別で審議の上で延長する特例措置を実施するとの見解が示されている。更新期日が過ぎている場合は,20単位取得すれば,理由書を添えて府医から更新手続きを申請する。諦めずに府医へ相談してほしいと説明した。
~日医かかりつけ医機能研修制度の資格更新について~
府医では,6月開催予定であった応用研修会が中止となり,代わりに11月または12月にDVD研修会の開催を検討中である。新型コロナウイルスの感染状況にもよるが,決まり次第案内すると説明した。
日医でも検討が進められており,以下の2案で絞り込まれている。
①Web開催を認める案
専門医共通講習単位がWeb開催においても付与できるとなったことから,同様にWebでも付与できるよう取り扱う。
②認定機関または認定要件となる有効研修会の期間を延長する案
現在の認定機関の3年から4年へ延長。それにともない,応用研修単位として計上できる期間を3年から4年へ延長。