2025年4月15日号
薬価基準に収載される後発医薬品については,その使用を促進する観点から,規格が揃っていないとの理由でやむなく先発医薬品に戻ることにならないよう,原則として先発医薬品と同じ規格を揃えることとされています。
こうした取り扱いについては,厚労省よりメーカーに対して関連通知およびQ&Aが示されてきたところですが,あらためて下記のとおり定めるとともに,Q&Aについても一部改正されましたので,ご参考までに抜粋した内容をお知らせします。
なお,本通知の内容につきましては,令和7年6月以降に新たに薬価基準に収載される後発医薬品について適用されます。
記
1.概要
薬価基準への収載を希望する後発医薬品については,全規格揃えを行ったうえで薬価基準収載希望を申請することとし,正当な理由がない場合は薬価基準収載希望を受け付けないことを原則とする。
また,標準先発品において新たな規格が追加された場合,当該規格が薬価基準に収載された日より2か月以内に全規格取り揃え計画書を提出するとともに,原則として収載された日から3年以内にその追加された規格に関する薬価基準収載を行うこと。
ただし,以下の(1)~(3)に定める要件のいずれかに該当する規格等標準先発品が有する規格で,医療上必ずしも必要でないと考える規格がある場合については,当該規格を全規格揃えの対象外とすることの可否について,根拠資料を用意のうえ医政局医薬産業振興・医療情報企画課に相談できるものとする。その結果,妥当性が認められた場合には,全規格揃えの対象外として取り扱うことができるものとする。
なお,本相談については,薬価基準収載を希望する他規格の薬事承認申請前に行うことが望ましいこと。
(1) 他規格とは明確に効能・効果等が異なる先発品の規格であって,後発医薬品には対応する効能・効果等がない規格
(2) 以下の①~③の全てに該当する規格
①標準先発品において追加収載された規格
②成分内での数量割合が3%以下であることが十分に推察可能である規格
③他規格を代替品として用いることが可能である規格
(3) 以下の①~③の全てに該当する規格
①標準先発品の特許期間満了後,5年以上経過している成分
②成分内での数量割合が直近5年間で3%以下である規格
③他規格を代替品として用いることが可能である規格
2.全規格揃えの継続期間
本通知発出時点で既に収載済の後発医薬品も含め,全規格揃えを行った後発医薬品は,収載後5年間全規格揃えの継続を求めるものとするが,その後については「医療用医薬品の供給停止及び薬価削除について」(令和6年8月7日付医政産情企発0807第1号・保医発0807第2号厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長・保険局医療課長連名通知)に基づき,一部の規格のみであっても供給停止及び薬価削除の手続きを進めることを可能とする。
後発医薬品の規格揃えに関するQ&A(抜粋)
Q1 規格を取り揃えるに当たっての基本的考え方はどうなのか。
A1 後発品の使用促進を行うに当たって,患者の病状に応じて用量を変更した時であっても,規格が揃っていないとの理由でやむなく先発品に戻るようなことにならないよう,同一社の後発品の中で含量違いの規格を先発品と同様に揃えることで,医療関係者,患者が安心して後発品を使用できることを目指すものである。
Q2 先発品が薬価基準収載している一部の規格で,供給停止手続きを経て販売中止する,若しくは販売中止された規格については,同様の手続きを経て販売中止してよいか。
A2 標準先発品の当該規格について,経過措置移行の官報告示がなされた時点で,供給停止手続きを行うことが可能であるが,標準先発品が当該規格の供給停止を可とされた事由を踏まえ,また,現在の当該規格の使用実態とそれに伴う医療上の必要性に鑑み個別に判断するので,医薬産業振興・医療情報企画課に相談されたい。
Q3 ある後発品が先発品にない規格を収載した場合,その他の後発品はその規格を揃える必要があるのか。
A3 ある後発品が先発品にない規格を収載した場合は,必ずしもその規格を揃える必要はないが,当該規格が個別事例に基づく判断の結果,医療上必要なものであると認められる場合にあっては他の後発品もその規格を揃えることが望ましい。
Q4 注射薬,外用薬において,放出特性の違いにより用法・用量が異なる製剤があるが,全種類の規格を取り揃える必要はないと判断してよいか。
A4 徐放性製剤等,放出特性の違いにより用法・用量が異なる場合には,全種類の規格を取り揃える必要はないと考えられるが,本事案は個別に判断するので,医薬産業振興・医療情報企画課に相談されたい。
Q5 同一剤形であっても,規格により,用法・用量,効能・効果,使用方法の全て又は一部が異なるものが存在するが,全種類の規格を取り揃える必要はあるか。
A5 剤形区分が同一であっても,規格により明確に効能・効果が異なるものは取り揃えなくても差し支えない。ただし,効能・効果の一部に重複があるものについては原則取り揃える必要があるが,「後発医薬品の薬価基準収載における規格の取り揃えについて」(令和2年11月17日付医政産情企発1117第2号厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長通知)1.(1)~(3)に該当する事例等,個別事例に基づき,全規格揃えの対象外とすることの妥当性が認められた場合には,当該規格を取り揃えなくても差し支えない。なお,本事案は医療上の必要性に鑑み個別に判断するので,医薬産業振興・医療情報企画課に相談されたい。