令和7年度 新研修医総合オリエンテーションを開催 京都府内の新研修医205 名(過去最多)が一堂に会す

 府医では,4月4日(金)に京都府内の臨床研修指定病院において本年4月から初期研修を開始する新研修医を対象に,恒例の「新研修医総合オリエンテーション」を開催した。
 本オリエンテーションは,府医で取組む研修医事業の柱となっており,新研修医としての心構えや研修医の「スキルアップ」,「レベルアップ」,病院の枠を超えた「ヨコの繋がり(ネットワークづくり)」の構築を目的としている。
 新型コロナウイルス感染症の発生以降,オンラインでの開催が続いていたが,6年ぶりに府医会館で開催。また,働き方改革の施行を受けて,研修サポート委員会で協議を重ね,開催日をこれまでの土曜日から平日に変更した。
 当日は,京都府内の新研修医約 250 名のうち 205 名(過去最多)の参加があり,社会人として,そして医師として“1年目”の心構えを身につけようと,各講義では熱心に耳を傾けるとともに,研修医相互のコミュニケーションを図るプログラムではチーム内で積極的に交流する様子が見られた。

オール京都体制で研修をサポート

 まず,京都府医師会・上田朋宏副会長,京都府・井原正裕健康福祉部長,京都府立医科大学附属病院・佐和貞治病院長,京都大学医学部附属病院・髙折晃史病院長がそれぞれ挨拶に立ち,出席した新研修医に対し医師国家試験合格の祝意を示した上で,晴れて社会人・医師となった研修医に対して激励の言葉を送るとともに,医師会,行政,大学,研修指定病院が協力して,研修医をサポートしていくことを約束した。

上田 府医副会長
京都府 健康福祉部長
井原 氏
京都府立医科大学附属病院
病院長 佐和 氏
京都大学医学部附属病院
病院長 髙折 氏

グループワークで和やかな雰囲気に

 プログラムのトップバッターは,若手医師ワーキンググループのリーダーで京都府立医科大学総合医療・地域医療学講師の松原慎氏によるグループワークで,初対面の研修医にとってのアイスブレーク的要素を大きく含んだ内容となっている。
 若手指導医によるユニークなグループワークは府医オリエンテーションの特徴で,全 36 グループ,1グループあたり5~6名で構成し,積み木式の自己紹介や複数のテーマに沿ったディスカッションを行った。勤務先の異なる者同士でグループを組むことで,今後の臨床研修において必要な“初対面の人”(患者,ローテート先の上司,先輩,コメディカルなど)とのコミュニケーションの取り方を学んだ。
 最初は緊張した表情で取組んでいた研修医たちも,次第に笑顔が見られ,休憩時間に入ってもグループ内で交流が終わることなく続き,会場内は歓談の声や笑い声に包まれ,和やかな雰囲気となった。

京都府立医科大学
総合医療・地域医療学
講師 松原 氏
グループワークの様子

研修医が知っておくべき「メンターメンティシップ」,「虐待の対応」
~医師としての自覚を~

 続いて,特別講演Ⅰでは,コロラド大学医学部長のヴィニート・チョプラ氏より「研修医が生涯知っておくべきメンターメンティシップ」と題して講義があった。ヴィニート・チョプラ氏は医療教育者として世界的に高名な医師で,来日のタイミングに合わせて今回の講演が実現した。英語での講演ではあったが,時折,京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センター准教授の和足孝之氏が通訳を交えながら講演のポイントを解説し,研修医たちは今後の研修やキャリアにおいて重要な心構えを学んだ。

コロラド大学医学部長
ヴィニート・チョプラ 氏

特別講演Ⅱでは,京都府立医科大学小児科学教授の家原知子氏より「研修医が知っておくべき虐待の対応」について講義があった。臨床研修における必須項目である虐待については,2年の研修期間中に遭遇する機会が多くないことから,医療機関に求められる早期発見につながる所見や徴候,関係機関との連携等について学ぶ貴重な機会となった。

京都大学医学部附属病院
総合臨床教育・研修セン
ター 准教授 和足 氏
京都府立医科大学
小児科学教授 家原 氏

「医師会活動」や「医師賠償責任保険」,「KMCC(京都府地域医療支援センター)
について紹介 ~府医として手厚いサポートを約束~

 加藤府医理事から京都府医師会の役割や,臨床研修屋根瓦KYOTO,Arztの発刊などの府医が取組んでいるユニークな研修医向け事業,ワークライフバランスのサポート体制等を紹介。また,医学生や研修医,若手医師の先生方とのつながりを継続できる仕組み「KMA.com」についても説明した上で,府医や日医では,臨床研修医(研修医1・2年目)の会費免除を実施していることから,この機会に医師会に加入し様々な取組みに触れていただきたいとした。

加藤 府医理事
堀田 府医理事

 堀田府医理事からは,研修医の医師賠償保険加入状況の調査結果を用いながら,医師賠償責任保険の重要性などを説明。「日本医師会医師賠償責任保険」の特徴として,単に損害賠償等を求められた際の保険に留まらず,ちょっとした「相談」から手厚い「サポート」まで懇切丁寧な対応を実践していると紹介した。
 このほか,KMCC(京都府地域医療支援センター)から,京都の研修に対する強固なサポート体制が示され,行政・医師会・研修指定病院が連携して研修をサポートすることを強調した。

松井 府医会長
京都府保健医療対策監
奥田 氏

 引続き行われた懇親会でも,病院の垣根を越えて研修医や指導医らが交流し,様々なネットワークを築く機会となった。
 終了後に実施したアンケートの結果では,大多数の参加者から高く評価されたほか,「他の病院に勤務する同期と話せて,とても良い機会であった」や「今後,医師として働くことに不安を感じているが,困った時に身近に相談できる場所があることを知ることができ良かった」等の感想が多く寄せられた。
 また,入会者には府医オリジナルスクラブを進呈したところ,109 名(4/18 現在)の新研修医の入会を得ることができた。

懇親会の様子

ご協力いただいた講師は以下のとおり(順不同)。

■特別講演Ⅰ「研修医が生涯知っておくべきメンターメンティシップについて」
 コロラド大学医学部長 Vineet Chopra 氏
■特別講演Ⅱ「研修医が知っておくべき虐待の対応」
 京都府立医科大学小児科学 教授 家原 知子 氏
■グループワーク
 府医若手医師ワーキンググループリーダー/
 京都府立医科大学 総合医療・地域医療学 講師 松原 慎 氏
■講義
 「京都府医師会の研修サポート+α」 京都府医師会 理事 加藤 則人 氏
 「医師賠償責任保険について」 京都府医師会 理事 堀田 祐馬 氏
 「KMCC について」 京都府医療課 課長 古川 浩気 氏

2025年5月15日号TOP