財政制度等審議会が春の建議をまとめる松本日医会長は医療費削減ありきの主張を批判,個別の診療報酬点数への言及にも苦言

 財務省の財政制度等審議会が5月27日,春の建議「激動の世界を見据えたあるべき財政運営」をまとめた。
 日医をはじめ医療関係者が見直しを求めている「社会保障関係費の伸びを高齢化の増加分におさめる目安対応」については,給付と負担のバランスを確保するための改革に不断に取組んでいく必要があるとし,継続の必要性を主張している。
 また,次期診療報酬改定にも言及しており,病院と診療所の経営状況等が異なることを踏まえたメリハリある改定の実施や,かかりつけ医機能を評価する点数の抜本的見直しなどを求めている。特にかかりつけ医機能を評価する点数の見直しに関しては,外来管理加算の再診料への包括化,地域包括診療加算と認知症地域包括診療加算の統合,機能強化加算の廃止を提言している。さらに,生活習慣病管理料の算定を月1回よりも長くすることを求めている。
 そのほか,診療所過剰地域における1点単価(10円)の引下げや処方箋料の引下げなども盛り込まれており,これらの主張が,6月中に政府が閣議決定する「骨太の方針2025」にどの程度反映されるのか予断を許さない状況である(5月29日時点,骨太の方針2025の詳細はあらためて掲載)。
 これを受けて,松本日医会長は,医療費の削減ありきの主張を批判するとともに,高齢化の伸びに加え,物価高騰と賃金上昇,技術革新等への対応を引続き政府・与党に求めていくことを強調した。また,生活習慣病管理料の算定要件の厳格化など診療報酬改定に踏み込む提案に対して,中医協で議論すべき内容であり,財政審が言及すべきではないと苦言を呈した。

 建議の概要は次頁のとおり(全文は財務省のホームページ参照)。

2025年6月15日号TOP