ベランタマブマホドチン(遺伝子組換え)製剤(販売名:ブーレンレップ点滴静注用100mg)について,「再発又は難治性の多発性骨髄腫」が「効能又は効果」として承認されたことにともない,厚労省から通知がありましたので,お知らせします。
具体的には,本剤は視力低下等の眼障害が高頻度に認められることから,緊急時に十分対応できる医療施設において,造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うことや,眼科医との連携の下で使用し,本剤の投与開始前に眼科医による診察を実施すること,また,本剤の投与開始前も含め本剤の初回から4回目までの各投与前は必ず,その後の投与期間中は必要に応じて,眼科医による視力検査および細隙灯顕微鏡検査を含む眼科検査を実施し,患者の状態を十分に観察すること等とされていますので,ご留意ください。
記
- 本剤の適正使用について
- 本剤については,以下の条件が付されている。【承認条件】(電子化された添付文書抜粋)医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること。
- 眼障害に関する「警告」,「用法及び用量に関連する注意」,「重要な基本的注意」,「特定の背景を有する患者に関する注意」は以下のとおりであるので,特段の留意をお願いしたい。なお,その他の使用上の注意については,電子化された添付文書を参照されたい。【警告】(電子化された添付文書抜粋)
- 本剤の投与は,緊急時に十分対応できる医療施設において,造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また,治療開始に先立ち,患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し,同意を得てから投与を開始すること。
- 視力低下等の眼障害が高頻度に認められている。点状表層角膜症等があらわれ,角膜潰瘍等,重篤な眼障害へ進行した症例が報告されている。眼科医との連携の下で使用し,本剤の投与開始前に眼科医による診察を実施すること。また,本剤の投与開始前も含め本剤の初回から4回目までの各投与前は必ず,その後の投与期間中は必要に応じて,眼科医による視力検査及び細隙灯顕微鏡検査を含む眼科検査を実施し,患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うとともに,眼科医による評価を行うこと。
【用法及び用量に関連する注意】(電子化された添付文書抜粋)
- 本剤と併用する抗悪性腫瘍剤の投与に際しては,「臨床成績」の項の内容を熟知し,投与すること。
- ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用投与の場合,併用投与終了後も本剤単独投与を継続すること。
- 本剤の投与により副作用が発現した場合には,下表を参考に,本剤を休薬・減量・中止すること(下表は省略しています)。
- 本剤の初回投与から4回目までは必ず,その後は必要に応じて本剤の各投与前に眼科検査結果(角膜検査所見及び視力変化)を確認し,眼症状も踏まえて,重症度の判定及び用量の決定を行うこと。左右の眼で検査結果が異なることがあるため,左右の眼の最も重症度の高い角膜検査所見又は視力変化に基づき重症度を判定すること。視力変化が認められた場合は,本剤投与との関連性を明らかにすること。角膜検査所見及び視力変化により本剤の減量を行った場合は,再度増量しないこと。
【重要な基本的注意】(電子化された添付文書抜粋)
- 眼障害があらわれることがあるので,本剤の投与にあたっては,以下の事項に注意すること。
- 本剤の投与開始前に眼科医による診察を実施すること。本剤の初回から4回目までの各投与前は必ず,その後の投与期間中は必要に応じて,眼科医による視力検査及び細隙灯顕微鏡検査を含む眼科検査を実施し,患者の状態を十分に観察すること。2回目の投与から休薬又は減量を要する場合や,長期の休薬を要する場合があるため,「7.用法及び用量に関連する注意」の項を参考に対処すること。
- 眼の異常が認められた場合には,速やかに医療機関を受診するよう患者を指導し,眼科医による評価を行うこと。
- ドライアイ等の眼症状を軽減するため,本剤投与中は防腐剤を含まない人工涙液を1日4回以上投与するよう患者を指導すること。
- 本剤投与中はコンタクトレンズの装着を避けるよう患者を指導すること。
- 本剤の投与により視力低下につながる霧視等の眼障害が高頻度に認められているため,自動車の運転や機械の操作等を行う際に注意するよう患者を指導すること。
【特定の背景を有する患者に関する注意】(電子化された添付文書抜粋)
- 合併症・既往歴等のある患者
- 角膜上皮疾患(軽度の点状角膜症を除く)を合併している患者
- 眼障害の発現又は増悪リスクが高まるおそれがある。なお,臨床試験において,当該患者は除外された。
【重大な副作用】(電子化された添付文書抜粋)
- 眼障害
- 視力低下(90.2%),角膜検査所見(角膜症等)(86.6%),霧視(69.2%),羞明(43.8%),視力障害(11.5%),角膜潰瘍(1.2%)等があらわれることがある。特に,角膜上皮欠損や角膜潰瘍(感染性角膜炎及び潰瘍性角膜炎を含む)が疑われる眼症状があらわれた場合には,速やかに患者を眼科に受診させ,適切な処置を行うこと。