2025年7月1日号
さて,府医医療安全対策委員会では,この2年間「ポリファーマシー」をテーマに意見交換を行ってまいりました。委員会では,各専門医会より推薦を受けた委員から発表いただき,ポリファーマシーの実情把握と問題点の抽出を図りました。
<医療安全対策委員会 委員一覧>
武田 敏宏(内 科)
岸田 憲二(小児科)
渡邉 浩彦(産婦人科)
兵 佐和子(耳鼻咽喉科)
大嶺 卓司(泌尿器科)
津田 詠子(麻酔科)
山下 琢(整形外科)
原山 拓也(糖尿病)
中野 博美(脳神経外科)
住田 鋼一(腎 臓)
武田 隆久(私病協)
中林 保(薬剤師会)
平岡 範也(胸 部)
山口 明浩(外 科)
水野 秀信(眼 科)
永田 誠(皮膚科)
赤澤 祐貴(精神科)
余みんてつ(消化器)
西井 洋一(形成外科)
鹿野 勉(透 析)
黒澤 好文(循環器)
大辻 英吾(府病協)
井川 順子(看護協会)
廣石阿津沙(弁護士)
*順不同,敬称略
委員の中で最初にご発表いただいた薬剤師会の中林先生からは,多くの医師が他医の処方箋に介入することは不可侵と考えられており,連携として踏み込みづらい実情が共有されました。続く糖尿病医会の原山先生からは,糖尿病患者の場合,複数のカテゴリー薬の処方があり,具体的な減薬の方策が話し合われました。その上で医師同士の連携手段については情報提供書の活用が挙げられました。透析医会の鹿野先生からは,透析では日に20錠以上の投薬を受けている患者がいる一方,様々な合併症を抱えているので減薬は難しいと説明があり,そのような状況で誤薬を無くすためのサポートをどのように行うのか,といった視点で議論が行われました。そして松村府医理事からはPHR(パーソナルヘルスレコード)の充実とかかりつけ薬局を設定することの重要性が示され,続く整形外科医会の山下先生からは患者との話し合いにあたり,改めてコミュニケーションスキルについての提言がありました。そして最終回は,委員長である山口先生から,医療者のプロフェショナリズム成熟の重要性が示されました。
以上のような議論を受けて,府医会員および府内医療関係者に少しでもポリファーマシーの問題に目を向けてもらえるよう,この度,提言を取りまとめました。この提言は三つの柱で構成されております。1番目の柱は,潜在的な不適切薬剤について考えを持つこと,そして2番目は,まず医師が患者と薬剤について話し合いの場を持つこと,最後3番目は,新しいPHRの活用につなげるため,運用可能なICTシステムの利用推進と改善策の発信―で構成されています。
この提言を各医療機関で幅広く共有いただき,医師,薬剤師などすべての医療関係者と患者が円滑な連携を実現するための一助となりましたら幸いです。なお今回の提言を受けて,ご意見等ございましたら,下記担当課へお問い合わせください。
(担当)京都府医師会 医療安全課
TEL:075-354-6505
FAX:075-354-6074
Mail:anzen@kyoto.med.or.jp