2025年7月1日号
京都府立医科大学附属北部医療センター
堅田 和弘
京都府医師会の皆様,平素より大変お世話になっております。京都府立医科大学附属北部医療センターの堅田と申します。2023年より勤務医部会幹事会に参加させていただいております。今回「勤務医通信」への寄稿の機会をいただき,ありがとうございました。今回の寄稿では,当院に赴任して10年となる節目に,丹後地域で日々感じている超高齢社会における医療の現状について,私見を交えて,ご報告させていただきます。
日本は,2007年に高齢化率21%を超え,超高齢社会に突入しました。直近の2024年9月15日推計では,29.3%と過去最高となっており,75歳以上の後期高齢者も16.8%に達しています。いわば,「超・超高齢社会」が目前に迫っています。
一方,丹後地域の2023年時点の高齢化率は38.8%と,すでに日本全体の2065年予測と同水準にあり,まさに「日本の未来を先取りする地域」といえます。丹後地域の多くの自治体が,2024年の人口戦略会議で言及された消滅可能性自治体となっています。実感としても,10年前と比べ当地域の人口は確実に減少しており,当院の入院・外来患者数も減少傾向にあります。一方で,入院患者の約6割は75歳以上の後期高齢者であり,サルコペニア,フレイル,併存・多疾患,慢性疾患,ポリファーマシーなど,高齢者特有の課題への対応が重要性を増しています。
丹後地域には,当院のほか,京丹後市に市立病院が2ヶ所,京丹後市と宮津市に民間病院が計3ヶ所あります。面積845km2の広大な地域を少数の医療機関で支えており,今後さらに生産年齢人口の減少が見込まれる中で,医療資源の効率的な運用が求められています。
当院は附属病院化以降,医師数は増加しましたが,近隣病院への診療支援も担っており,時間・人材・設備・情報・費用など,限られたリソースをいかに有効に使うかが課題です。2次医療圏における地域医療構想の議論が行政主導で進められており,今後の進展に期待しています。
また,医療と介護の連携による地域包括ケアの推進も重要です。京都府では,2040年を見据えた「京都式地域包括ケア」の構想が進められています。現在,丹後地域では介護資源が医療資源を補完していますが,将来的には介護分野でも担い手不足が懸念されます。医療・介護の両面で人材資源の有効活用,ICTの導入,業務支援AIの活用など,喫緊の対応が求められると考えています。
当院は天橋立を望む阿蘇海のほとりに位置し(写真:一字観公園からの天橋立と当院),在籍10年を迎え,私の医師人生で最も長く勤めた病院となりました。宮津とり貝,間人ガニ,伊根ブリ,地イカ,日本酒,イサザ,へしこ,など,丹後には四季折々の美味と風情があります。住めば都,とはまさにこの地を指すと感じております。
今後もこの地域の医療に微力ながら貢献してまいります。引続きよろしくお願い申し上げます。
Information
病 院 名 京都府立医科大学附属北部医療センター
住 所 与謝郡与謝野町字男山 481
電話番号 0772-46-3371
ホームページ https://nmc.kpu-m.ac.jp/