2025年7月1日号
庶務担当理事 伊藤 博敏
上京東部医師会は、昭和22年に発足して以来、京都市北区の一部と上京区を範囲とし、紫明・室町・中立・京極・春日・鞍馬口・日赤の7班で構成されています。令和7年6月現在、A会員43名、B会員69名、C会員19名、D会員11名の計142名と、A会員数からみても小規模な医師会です。
地区内には相国寺や京都御苑、同志社大学といった静かな文教地区が広がっており、元来は新規開業も少なく、医師会も長らく落ち着いた構成を保ってきました。しかし近年は少しずつ様子が変わりつつあり、新たに複数のクリニックが開業されるなど、新しい会員を迎える機会も増えてきています。
その一方で課題も顕在化しています。開業しても医師会に加入されないケースや、入会後も医師会活動にあまり関心を持たれず、疎遠となってしまう先生も少なくありません。若い世代の先生方にとって、医師会がどのような価値を提供できるのかを明確に示し、活動参加の意義をどのように伝えていくかが、今後の重要なテーマです。
当医師会は、京都第二赤十字病院や京都鞍馬口医療センターといった中核医療機関を擁していながらも、いまだ法人化されておらず、任意団体の形で運営されています。近年は、少人数でさまざまな課題に対応することに限界が見え始めており、コロナ禍における対応やワクチン事業などでも、その負担は決して小さくありませんでした。
このような背景から、今後は会のIT化・DX化に加え、法人化を含めた運営体制の見直しや、隣接する医師会とのさらなる連携強化、さらには将来的な合併も視野に入れた議論が必要になるのではないかと感じています。それぞれの地区医師会が個別に抱える課題を超え、広域的に支え合う仕組みづくりが、今後の医師会活動における持続可能性につながるものと思います。
しかしながら、小規模医師会にはそれならではの利点も多くあります。会員同士が顔見知りであることにより、情報共有が円滑で、意思決定もスピーディーです。役員会では毎回活発な議論が交わされ、年齢や立場を越えた率直な意見交換が行われています。この「顔の見える関係性」や「柔軟な対応力」は、小さな組織だからこそ育まれてきた文化であり、私たちが誇るべき財産でもあります。
50周年記念誌には「和、自由、団結を誇りとする単位医師会」と記されておりましたが、その精神はいまも脈々と受け継がれています。歴代会長が口にされた「法人化せず、仲良しグループでまいりましょう」という言葉には、信頼に基づいた関係性と自主性を重んじる姿勢が込められていたのでしょう。
とはいえ、社会構造や医療環境が大きく変わるなかで、かつてのやり方だけでは立ち行かなくなる場面も増えてきています。温かさと柔軟性を保ちつつ、時代の変化に即した改革を恐れずに進めていくことが、今や必要となってきているように思います。
上京東部医師会
〒 603-8151
京都市北区小山下総町 27 京都鞍馬口医療センター内
TEL:075-432-6738 FAX:075-432-6738
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会 長:任 書熹
会員数:142 人(2025.6現在)