地区だより Goodbye to Ozzy

中京東部医師会 会長 梶田 洋一郎

 オジーオズボーンが死んだ。
 最後となったライブでは、黒い蝙蝠で装飾された大きな椅子に座ってステージに登場し、パーキンソン病を患っているとは思えない昔と変わらぬ歌声を披露していた。その17日後に他界した。昔はライブで蝙蝠を噛み千切ったりしていたため「悪魔」、「黒魔術」などと揶揄されたが、実際の人物像とはかけ離れていたと言われる。ブラックサバスから離れ自らのバンドを結成した時に、彼がバンドに引き入れたのがギタリストのランディローズである。バンドが2枚のアルバムをリリースした後にランディは飛行機事故のため26歳の若さで他界した。しばらくの間インタビューでランディの話になるとオジーは号泣し中断せざるを得なかったらしい。その後ジェイクイーリーが新ギタリストとして加わったのだが、どちらのギタリストが偉大か、しばしばファンの間で話題になるが僕はランディローズ派である。
 僕にオジーオズボーンを教えたのは千葉県出身の吉田君である。吉田君は中学1階寮、僕は3階寮、同じ部活をしていた。寮ではどんな音楽を鳴らしているかでその人のステイタスが決まる。中1から中3まで混在する8人部屋、2段ベッドが4つある部屋の真ん中に、畳1畳を半分に切って縦に並べたぐらいの低い机がある。そこにコンボを置いて音楽を鳴らすことが許されるのは中3だけだが、吉田君は中2から許されていた。それは彼がオジーオズボーンを鳴らしていたからだと僕は思っている。「おい梶田、オジーオズボーンのSuicide Solutionという曲を聴いた後、本当に自殺した人がいるらしいぞ」吉田君はある日そう言ってその曲を僕に聴かせた。その日の消灯後、私は3階から飛び降りたい気分になってしまうのではないかと2段ベッドの下で一人ハラハラしていたが、そうならなかったのはきっと歌詞が全く聞き取れなかったからに違いない。
 でも僕が一番好きなのは、ソロになって1枚目のアルバムに収録されているGoodbye to Romanceというバラードだ。ヘビメタでよく聴く、ぎゅいんぎゅいんのギターではなく、ランディローズの美しい旋律が泣ける。オジーが歌う最後の歌詞はこうだ。
 Goodbye to all the past, I guess that we’ll meet, we’ll meet in the end.

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