保険医療部通信(第408報)– 令和8年度 診療報酬改定の論点<その1>

 中医協では,令和8年度診療報酬改定に向けた議論が4月にキックオフし,厚労省は物価高騰や賃金上昇など医療機関を取り巻く状況が,これまでの改定とは大きく異なるとの認識を示した。そこで6月までは医療を取り巻く状況の分析や医療提供体制の課題など医療機関の経営状況などを見極めるための総論的な議論が行われ,7月からは「入院・外来医療等の調査・評価分科会」の検討結果も参考に,外来,入院等各論の議論を開始している。
 外来医療では,前回改定に続き,生活習慣病に係る点数について議論がされた。日医の江澤常任理事は,生活習慣病関連の評価が前回大きく見直され,今も生活習慣病管理料の療養計画書の作成や患者署名への対応に医療現場は難渋していることを強調した。支払側は,気管支喘息と慢性胃炎で特定疾患療養管理料を算定する回数が増加していることを指摘したほか,特定疾患療養管理料と外来管理加算の併算定の見直しを求めていく姿勢を示した。
 さらに,「かかりつけ医機能の評価」に関する課題や論点も示され,前回改定で死守した機能強化加算や外来管理加算,地域包括診療加算の再編・統合が再燃する可能性もある。
 また,入院医療では,診療側から病院経営が危機的状況にあり,経営を立て直すために診療報酬の大幅な引上げを要望する意見が相次いだ。さらに改定ごとに重症度,医療・看護必要度の厳格化が行われ,病院では対応に苦慮していることが指摘された。一方で,支払側は,新たな地域医療構想における医療機関機能と関連付けた評価体系の見直しや急性期機能の集約化などを提案しており,意見に隔たりがある。
 以下に次期診療報酬改定にあたって主に中医協総会の議論の論点を整理し,お知らせする。

2025年10月1日号TOP