2025年12月15日号
近年,医療従事者の有料職業紹介事業において,過度な手数料請求や不適切な紹介が問題となっており,医療機関の経営や職場環境に悪影響を及ぼす事例が全国各地で報告されている。これを受け,府医では京都府内における実態把握を行うとともに,今後の対策を検討し,日医へ提言するために,府内医療機関を対象にアンケート調査を実施した。
本稿では,厚労省通知や日医の取組みを交えながら,アンケート調査の集計結果を抜粋して報告する。
<調査の概要>
①調査対象 京都府内の全病院
②調査項目 【1】 基本情報
【2】 有料職業紹介所の利用経験
【3】 紹介料の金額と契約条件
【4】 斡旋された医師等の6か月以内の離職率
【5】 実際にトラブルとなった事例があったか?
【6】 国や日医への要望
③調査時期 令和7年9月初旬
④対 象 161 病院
⑤回 収 53 病院(回収率:32.9%)
2.有料職業紹介事業で利用した職種(抜粋)
3.各職種における紹介手数料の年収に対する割合
4.紹介後の定着率
その他の意見
・常勤医師は比較的定着しているが,非常勤は定着しない
・職種による
・医師は定着しているが看護師は早期退職が多い
5.有料職業紹介事業を選択・利用した理由について(複数選択可)
6.紹介後のトラブルについて(複数選択可)
9.無料職業紹介事業の利用について
10.無料職業紹介事業を利用したことがない「理由」
10月27日 社会保障審議会医療部会
医療界として有料職業紹介事業の健全性に極めて強い疑念を抱いている旨表明。特に,高額な紹介手数料が医療機関の経営を圧迫している点や早期離職や人材のミスマッチなどの状況を踏まえ,手数料の上限規制や在職期間に応じた成果報酬型制度の導入など,国として早急な対策を講じるよう主張。
10月30日 自民党「医療介護福祉保育職等の人材の円滑な確保を考える議員連盟」
職業安定法(第32条の13)で定められている求職者への手数料に関する事項の明示について言及し,医療機関が負担している高額な紹介手数料の実態を求職者に適切に知らせるよう要望。
四病院団体協議会とのワーキンググループ
日医・四病協との連携のもと,強い危機感を持っていることを確認し,今後もさらに具体的な検討を進めて,さらなる要望を行っていく。
日本医師会ホームページ
有料職業紹介等の利用にあたっての注意喚起を行っている
https://www.med.or.jp/doctor/region/001940.html
厚労省では,昨今,利用料金・違約金等の支払いを巡るトラブルが発生していることから,雇用仲介事業の利用にあたっての注意喚起のリーフレットを作成している。特に,令和7年4月より,雇用仲介事業者は,求人者に対し利用料金・違約金等について明示することが義務づけられており,求人側も,契約締結前に,明示された契約内容を十分に確認・検討していただく必要がある。義務を守っていない事業者との契約は,トラブルにつながる可能性があるため,契約締結前に,明示された契約内容を十分に確認・検討いただきたい。また,契約内容に合意できない場合はそのサービスの利用はせず,他の有料職業紹介事業者やハローワーク等を活用してほしい。
なお,職業紹介事業者や募集情報等提供事業者の利用で利用料金や違約金等の支払いを巡るトラブルが発生した場合は,最寄りの都道府県労働局『「医療・介護・保育」求人者向け特別相談窓口』で相談を受け付けているので利用いただきたい。
各種リーフレット(厚生労働省のホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-houkai/r0604anteisokukaisei1_00005.html
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<問い合わせ先>
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☎ 075-354-6104
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