2026年2月1日号
綴喜医師会と府医執行部との懇談会が11月22日(土),京田辺市保健センターにて開催され,綴喜医師会から7名,府医から8名が出席。「医師会への入退会及び異動」,「OTC類似薬」,「営利団体によるサービス付き高齢者住宅の運営」,「地域包括支援センターにおけるMCSの運用」をテーマに議論が行われた。
※この記事の内容は,11月22日現在のものであり,現在の状況とは異なる場合があります。
日医が構築した「MAMIS」が昨年10月末から稼働しているが,MAMISから申請があった場合にも,システム上,地区医への入会がなければ府医,日医への入会申請はできない形となっており,さらには,地区医においてMAMIS上での「承認」がされなければ,その申請自体が府医にあがってこない仕組みになっている。また,従前から府医の入会届,退会届,異動届の各種届出様式には地区医の承認欄があり,地区医師会長の印鑑がなければ受付できないという取り扱いは変わっていない。紙媒体の届出書,MAMISいずれの申請方法においても三層構造は維持されている。府医の定款上も,地区医の会員でなければ府医会員になれない,府医会員でなければ日医会員になれない,という記載は従前のままである。
今回,他地区あるいは他府県で都道府県医および日医に入会していた方が,当地区に転入後,地区医の入会手続きを行っていないという事例を挙げていただいたが,本人の勘違いによる場合の他,所属医療機関が本人に代わって入会手続きを行うケースもあり,事務手続きのタイムラグが生じる可能性も考えられる。
府医では,本人や所属医療機関からの届出・ご連絡がない限り,異動の事実を把握することは難しい状況にあるが,実務的には,京都府内の他地区からの異動の場合,「京都医報」など送付物を受けて,以前の勤務先から退職した旨をご連絡いただいたり,不達で返送されてきた際に会員の異動の事実を知り,本人に府医・日医の異動届の提出,異動先の地区医への入会を勧奨する,という対応を行っている。しかしながら,他府県からの異動の場合は,本人からの連絡がなければ異動の事実を知る手段がなく,対応が困難である。本人から府医に連絡があれば,地区医の入会状況を確認し,まだであれば地区医への入会が必要な旨を説明し,併せて入会手続きを案内している。
その他,地区医の退会手続きだけを行った後,府医,日医に未だ届出できていないケースが考えられるが,そういったケースを防ぐために,地区医から府医へ情報提供いただく,あるいは当該会員に府医への届出を勧奨していただくようお願いしたい。
いずれにせよ,地区医と府医との情報共有が重要であるため,引続き密に連絡を取りながら,入会促進,組織強化を図っていきたいと考えている。地区医への入会の相談があれば,併せて府医,日医までの入会を勧奨していただくようご協力をお願いしたい。
~意見交換~
その後の意見交換で,勤務医の意見をまとめる手段としても医師会は重要な役割を果たしているとの指摘があり,地域における医師同士の親睦を考慮しつつ,会員のメリットを準備していく必要があるとの意見が挙がった。会費の負担がある一方で,地域の医療提供体制の充実を図る上で,例えばコロナワクチン集団接種への協力の謝礼等,一定の業務が会員メリットとして提供できるような仕掛けが必要ではないかとの提案がなされた。
OTC類似薬の保険外しに関して,具体的な制度設計を行う厚労省の社会保障審議会・医療保険部会においても慎重論が目立つようになってきているが,社会保障の給付と負担をめぐる国民的議論の中でも最も注目されるテーマになっている。
今後,具体的な制度を議論するプロセスにおいて,医師会として「医学的な見地」や「患者負担」の問題を政権与党に対して粘り強く訴えていくという展開が予想される。ただ反対するだけでは立ち行かないとはいえ,このまま進められると最終的に困るのは患者であり,国民であるという点を国民が理解できていないままでは,「国民的議論」とは言えないと考えており,政権与党だけではなく,国民へのアピール,ひいては医療現場での患者への説明が大変重要であると考えている。
日医は,OTC類似薬の保険適用が除外された場合,患者負担が単純に3割負担から10割負担になるわけではなく,広告費等が上乗せされたOTC医薬品を購入することになるため,何倍も高い自己負担を強いられることになるという事実を積極的にメディアに発信しており,OTC類似薬の保険外しによって「自分や家族が健康を損ねたときに負担が大幅に増える」ということを,しっかりと国民が理解できるよう情報発信に努めている。自己負担の経済的増加だけでなく,医療機関の受診遅延や医薬品の不適切使用による健康被害への懸念など,医学的な見地からも保険適用除外に潜む問題点を指摘するとともに,適用除外ありきではなく,どのように給付を見直すかを検討することが今後の議論の出発点であると主張している。
一部の勢力が主導する「負担」ばかりに着目した議論は,明らかにバランスを欠くものである。政治情勢が大きく動く中でこそ,医療界は日医を中心にしっかりとまとまり,社会保障の国民的議論を正しい方向にリードしていく必要がある。
~意見交換~
その後の意見交換で,府医は,OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しとセルフメディケーションの推進は,一見すると給付範囲の見直しの議論であるが,その裏側には「医者外し」の目的があると指摘し,我々として守るべき部分を明確にしておくことが重要であるとの考えを示した。
冒頭に地区より,地域の営利目的のサービス付き高齢者住宅(以下,「サ高住」という)の介護担当者から,利用者の「障害者総合支援法」に基づく介護費給付の申請が複数件あり,医療保険,介護保険に加え,障害者総合支援法まであらゆる保険・福祉制度を都合よく利用しようとしている現状が報告されるとともに,一流不動産業者が「安全な投資対象」としてサ高住への出資を求めるプロモーションを展開している実例等が紹介され,行政に対し,サ高住の認可にあたって慎重な判断を求めるよう要望が挙がった。
地域において小規模医療・介護事業者が取り得る戦略について
地域包括ケアシステムにおいて,高齢者住まいの確保は重要な問題であり,有料老人ホームの数は増加している。一方で,入居者に対する過剰な介護サービスの提供,いわゆる「囲い込み」に加えて,入居者保護に関する問題等が存在しているのも事実である。こうした状況を受けて,厚生労働省では,「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」を開催し,有料老人ホームの多様な運営方法やサービス提供の実態把握とともに,運営やサービスの透明性と質の確保を図るための方策等が検討されているところである。
高齢者施設に参入している企業には,もともと介護を本業とする企業だけでなく,ご指摘の建設・不動産(デベロッパー)系企業に加えて,保険会社系や教育・出版系,警備・セキュリティ系,金融・リース系など,異業種からの企業も見られる。異業種からの参入があるということは,介護・高齢者施設に「うまみ」があると捉えられているということである。
こうした中で,地域の小規模医療機関・介護事業者が取り得る戦略として,資本化して対抗することはほぼ不可能であるため,連携して地域でネットワークを形成することが唯一の方策である。地域の医療機関・介護事業が閉業や移転・業務転換に追い込まれると地域医療は崩壊する。
医師会こそが多職種連携の核となって,地域の医療・介護・福祉を守る役目を担える組織であると考えている。地域の健全な医療・介護提供体制を取り戻すための活動を継続しつつ,地区医が中核となって地域の関係各所との連携強化を図っていただきたい。府医としては,こういった課題や情報を上に挙げていくことが重要な役割であると認識しているため,引続き地区との連携を密にしながら,対応を検討していきたい。
府医では,地域包括ケアシステムの構築・推進にあたり,課題となっていた在宅医療・介護に関わる関係職種間の連携強化を目的に,「MCS(Medical Care Station)」を採用し,独自の運用ポリシーを付加して「京あんしんネットMCS」として運用する体制を構築している。使用しているシステムは,エンブレース株式会社が提供する「MCS」で,「セキュリティの高い非公開型の医療・介護連携用の『LINE』」とイメージしていただくとわかりやすいと思う。かかりつけ医を中心に,患者ごとに作成したグループ内で招待されたメンバーと必要な情報を共有することができる仕組みである。
府医では,この「京あんしんネットMCS」を,電話やFAXといった従来の連絡方法を補完する効率的な情報伝達の手段として,多職種間の「コミュニケーションツール」と位置づけている。
「京あんしんネットMCS」は,あくまで多職種の連携ツールであり,電子カルテ等の医療情報を一元的にデータベース化し蓄積することや二次利用することは想定していない。地域で共通のフォーマットをエクセル等で作成し,MCS上で添付ファイルとして共有するなど,ソフトウェアで連携することは可能なシステムではあるが,現状では「コミュニケーションツール」という位置づけのため,医療情報の取り扱いには慎重であるべきと考えている。
「京あんしんネットMCS」を地域連携に活用されることは府医としてもバックアップする考えである。地域の実状に応じた具体的な運用方法などを検討の上,積極的にご活用いただきたい。
初・再診料の加算や生活習慣病管理料と他の点数の併算定の可否等について整理し,算定にあたっての留意点を説明するとともに,算定漏れを防ぐなど適正な運用により健全な医業経営を呼びかけた。また,療養費同意書の交付(マッサージ,はり・きゅう)に関する留意点を解説し,慎重な判断と適切な同意書の発行に理解と協力を求めた。