指定訪問看護事業者における医薬品の取り扱いについて

 厚生労働省では,薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会において,在宅患者に円滑に薬剤を提供する体制の整備について検討を行い,地方公共団体や関係団体等が実施すべき対応を議論してきましたが,今般それを踏まえ,無薬局地域や夜間・休日など地域や日時にかかわらず,在宅患者に円滑に薬物治療を提供できる環境を実現するため講ずる措置として,指定訪問看護事業者(健康保険法第 88 条第1項に規定する指定訪問看護事業者ならびに介護保険法第 41 条第1項に規定する指定居宅サービス事業者(同法に規定する訪問看護を行う者に限る)および同法第 53 条第1項に規定する指定介護予防サービス事業者(同法に規定する介護予防訪問看護を行う者に限る)をいう。以下同じ)における医薬品の取り扱いが以下のとおり定められましたので,お知らせします。

第1 指定訪問看護事業者における医薬品の取扱いについて

1 医薬品を使用する各患者の在宅療養を担う医師,薬剤師及び訪問看護を行う看護師等が協議し,検討した上での臨時的な対応として事前に容認していれば,指定訪問看護ステーションである指定訪問看護事業所(以下「指定訪問看護ステーション」という。)が運営する訪問看護ステーションにおいて,輸液(等張性電解質輸液製剤及び低張性電解質輸液製剤(ただし,開始液及び脱水補水液に限る。))(以下「対象となる輸液」という。)を配備することは差し支えないこと。ただし,以下の(1)~(5)に掲げる要件を満たす場合に限ること。

  • 医師等による協議において,事前に以下の対応が検討された上で,臨時的な対応を実施する必要があるとされたものであること。
    •  薬剤師の関与による円滑な薬剤提供を実施できるようにするため,通常対応している薬局が対応出来ない場合に,当該薬局と連携して薬剤提供を行える薬局を確保すること,患者宅にある経口補水液の活用を検討することなど,臨時的な対応以外の対応ができないかも併せて検討されたこと。
    •  これまで薬剤師が訪問して対応していない患者の場合,薬剤師の訪問可否やその有用性等(訪問薬剤管理指導又は居宅療養管理指導の対象にする等の調整を含む。)について検討されたこと。また,地域の薬剤師会(地域の薬剤師会がない場合には,都道府県の薬剤師会を含む。)にも事前に相談がなされたものであること。
    •  地域の医師会等の関係団体(以下「地域の関係団体等」という。)に事前に情報提供が行われたものであること。
  • 対象となる輸液は,以下により用いられるものであること。
    •  在宅療養中の患者の急な状態の変化(在宅療養を継続する程度の状態の変化であって,医師ではなく看護師であっても明確に判断できるような変化に限る。)時に用いられること。
    •  実際に医師の診療により当該輸液が必要となり,他に当該輸液を円滑に入手する手段がない場合に,看護師が,医師の指示に基づき,当該医師又は薬剤師に確認した後に患者への投薬又は当該輸液の使用を伴う処置に用いられること。
  • 対象となる輸液を指定訪問看護ステーションの中で管理するにあたっては,適切な保管条件を遵守すること。特に,以下の条件を遵守すること。また,対応の開始前には臨時的な対応をするにあたっての協議先の薬剤師に保管条件の確認を受け,またおおよそ半年ごとに保管状況の適切性についても確認を受けていること。
    •  換気が十分であり,かつ,清潔であること。
    •  室温(1~ 30℃)での管理ができる設備で管理されること。
    •  当該医薬品の保管について管理者を明確にすること。
    •  当該医薬品の貯蔵設備を取り扱える者を特定すること。
    •  空調等による室温での管理の実施,使用期限・在庫数等の確認及びこれらにかかる記録等,当該医薬品の適正な管理のためのルールを文書化し,それに従った管理を日常的に実施すること。
  • 臨時的な対応については,継続して実施することを想定したものではなく,在宅患者に円滑に薬剤を提供する体制が構築・強化されるまでのものであり,医師等により改善策についての検討が併せて行われていること。
  • 協議を行った医師等により,地域の関係団体等に,臨時的な対応を行うことが報告されていること。

2 臨時的な対応として指定訪問看護ステーションに配備することができる医薬品を対象となる輸液とした理由として,指定訪問看護事業者は自らの判断で医薬品の処方又は調剤を行うことが想定されておらず,取り扱える医薬品の基本的な考え方として以下の条件を全て満たすものであると整理したためであり,これらに留意すること。

  •  在宅療養中の患者において,在宅療養を継続する程度の事前に想定されなかった状態の変化が生じた場合に,医師の指示により処置又は投薬で対応する際に必要と考えられる医薬品であること。
  •  事前の処方又は調剤による患者宅への配置が馴染まない医薬品であること。
  •  対応できる一般用医薬品がない効能・効果を有する医薬品であること。
  •  特別な保管及び管理が必要である医薬品ではないこと。

第2 第1に関する実施報告

1 臨時的な対応を実施する指定訪問看護事業者は,厚生労働省に,当該対応を開始する前,当該対応の終了時及び令和9年以降の毎年3月末までに,その実施状況等について以下の厚生労働省HPに設けた報告用WEBサイトを介して報告すること。
掲載場所:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/00001.html
 なお,当該対応を行う指定訪問看護ステーションについては,同厚生労働省HPにも公表予定であり,同HPには第1に掲げる内容についての一連の流れを示す参考資料等も掲載する予定であるので参考にされたいこと。

2 都道府県の薬事担当部局には,厚生労働省から,臨時的な対応を行う指定訪問看護ステーションに係る情報を共有するので,同自治体の医療・介護等の関係部局や地域の関係団体等にも必要に応じて共有すること。自治体及び地域の関係団体等は,臨時的な対応について報告を受けた際には,当該情報を活用して地域の実情に応じた医薬品提供体制の構築に向けた具体的な検討の参考とすること。

第3 適用期日

1 地域の関係団体等の準備期間等も考慮し,本通知は令和8年3月1日から適用すること。

第4 関連通知の改正等

1 適用期日を以て「薬事法の一部を改正する法律等の施行等についての一部改正について」(平成21年5月8日付け薬食発0508003厚生労働省医薬食品局長通知)を別紙のとおり改正すること。
 具体的には,医薬品卸売販売業者が指定訪問看護事業者に販売又は授与することのできる医薬品として,対象となる輸液を追加すること。ただし,当該医薬品を販売又は授与する場合には,臨時的な対応を行う指定訪問看護ステーションを運営する指定訪問看護事業者であることを確認した上で行うことを規定すること。

第5 その他

1 卸売販売業者は,臨時的な対応を行う指定訪問看護ステーションの情報を把握するにあたり,厚生労働省HPに公表されたデータも参照されたいこと。

2 対象となる輸液投与に必要な留置針,点滴ルート等の医療機器について,現行制度においても指定訪問看護ステーションにおいてあらかじめ保管することができること。

別紙

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