地区医師会長会議(冬の参与会)

 1月31日(土),冬の参与会がリーガロイヤルホテル京都で開催され参与24名,府医役員25名,議長,副議長が出席した。
 松井府医会長の挨拶後,「組織力強化と会員増強」と題して,田村府医理事より説明後,活発な意見交換が行われた。

協議
 「組織力強化と会員増強」(田村府医理事

◇組織強化の意義

 日医では,医師である以上,すべての医師に医師会活動へ参画してほしいと考えており,医療現場が求める制度や政策を実現するためには,医師会を通じて政策決定プロセスに反映させていくことが最も現実的な方法である。医療に関する制度はいったん決定されれば,すべての医師がその制約を受けることになり,一度決まったことを変更することは容易ではない。そのため,すべての医師が医師会活動を「自分事」として捉え,関心を持ち,参画することが不可欠である。組織率を高めることは,医師会のプレゼンスと発言力を高め,医療現場の実情に即した政策実現に直結するものである。現在,日医では医学部卒後5年間の会費免除を実施しており,この制度を最大限に活用し,若手医師の入会促進を図る必要がある。また,日医会員の約半数は勤務医であり,その勤務環境や処遇改善は組織の重要課題と位置づけられている。医師会は勤務医部会および委員会などを通じて現場の声を集約し,政策提言を積極的に行っている。医療界の意見を中央に届け,医療の現場に即した政策・制度を実現していくのが日医の役割である。組織強化によって医師会の発言力が高まれば,勤務医が求める制度の実現可能性も高まるため,勤務医との連携強化や意見を決定プロセスへ反映させることが重要視されている。

◇組織率の現状

 2026年1月1日現在,府医会員数は4,508名であるのに対し,日医の会員数は3,398名にとどまっている。特に勤務医(B1会員)の日医入会率は56.1%と低調であり,府医には入会しているものの日医には未入会の会員が存在することが課題である。また,医師総数が増加傾向にある中で,日医会員数の伸びは鈍化しており,組織率の低下が危惧されている。この現状を打破し,組織基盤を盤石なものとするためには,未入会者,とりわけ若手医師や勤務医層へのアプローチが急務である。

◇組織率向上に向けた具体的取組み

 府医では「研修医・若手医師とのつながり」を維持・強化するため,『KMA.com』の取り組みを開始した。毎年春に開催している新研修医総合オリエンテーション等で接点を持った研修医について,研修修了後の異動にともない連絡が途絶えてしまうという課題があった。全国どこにいても「つながり」を継続できる仕組みとして,入会の有無を問わず,「KMA.com会員」として登録し,定期的な情報発信を通じて,医師会の魅力を発信するとともに,医師会への入会促進および組織強化につなげている。
 また,毎年200名規模の研修医が集う「新研修医総合オリエンテーション」や,指導医がレクチャーを行う「Re-1グランプリ」の実施,さらには,日常診療に役立つ動画ライブラリーや,研修医向け情報誌「Arzt」の発刊,「妊娠に際し職場のみんなで読むマニュアル」など,若手医師にとって実用的な情報を提供している。
 日医への入会により,充実したバックアップ体制と安価な保険料の「医師賠償責任保険」,早い時期からの加入で大きな福利効果が見込める「医師年金」,手数料無料で発行できる「医師資格証(HPKIカード)」,受講料が優遇される「産業医・スポーツ医研修」,ワークライフバランスを支援する「子育てサポートセンター」といった,会費負担を上回るメリットがあることを粘り強く訴求していく方針である。

◇地区医へのお願い

①若手医師を中心とした勤務医の入会促進について
 組織力を強化するためには,若手を中心とした勤務医の入会促進が急務である。現在,京都府内には,地区医には所属しているものの,府医や日医には入会していない先生方が1,000名以上存在する。若いうちに医師会の意義を理解してもらうことが将来の組織力向上に繋がると考えている。現場の実情を汲み取りつつ,若手勤務医に寄り添った積極的な勧誘が求められる。

②初期研修医の日医までの入会を可能とする定款改正の検討
 初期研修医は現在,地区,府医,日医の会費がすべて無料である。この利点を活かし,研修医が地区医に入会する際は,自動的に日医まで加入できるよう,各地区の定款変更の検討をお願いしたい。負担のない段階で「地区・府医・日医」という組織の三層構造に加わり,医師会の役割を早期に体験してもらうことが将来の定着に直結する。令和8年度からの実施を目指し,若手が自然に組織全体に所属できる仕組み作りが必要であると考えている。

③専攻医(3年目~5年目)の会費無料化の検討
 専攻医(卒後3年目から5年目)の入会を促すため,地区医会費の無料化の検討をお願いする。まずは,地区医には,勤務医の名簿から専攻医を分離し,その数を正確に把握することにご協力いただきたいと考えている。府医や日医ではすでに無料化を実施しており,地区でも足並みを揃えることが重要である。なお,無料化にともなう地区医の減収分については,可能であれば,府医から助成を行う方向で調整を進めたいと考えている。
 今後のスケジュールとして,令和8年4月以降,定款改正への検討を進め,令和12年4月以降には府医に加入している会員はすべて日医まで入会することを目指している。組織力強化は医療界全体の未来を守るための礎であり,各地区における理解・協力をお願いしたい。

~意見交換~

 その後の意見交換では,地区の規則が現状に即していない実態や,定款で日医までの同時入会を義務付けることが個人の選択の自由を損なうのではないかとの懸念が示された。会費無料期間中に医師会の活動を体験してもらうための導線作りであり,退会する自由は当然保障されているとの見解を述べた。
 その上で,初期研修医だけでなく,最終的にはすべての会員が日医の会員となるよう調整を進めていく意向を示すとともに,他府県医での全員入会の事例を挙げ,初期段階での組織化が将来の定着に有効であると示した。
 また,病院経営の悪化を理由に,会費の病院負担が打ち切られたことで,約50名の勤務医が一度に退会した事例が報告され,病院側の判断が組織率の低下に直結している深刻な現状が明らかとなった。府医からは,若い時期に医師会の役割を正しく理解してもらうことが,将来的に自らの判断で入会を選択する際の判断材料になるとの見解を示した。
 事務手続きの面では,三層構造を維持しつつも,一度の手続きですべての医師会に加入できるシステムの利便性向上が入会へのハードルを下げるとの考えが示された。
 これに対し,各医師会が独立した法人であるため調整が必要であることを説明した上で,システムの改修等により各地区医の事務負担を軽減させることに意欲を示した。出席者からは,若手医師が「医師会は自分たちを支える存在である」と実感できる組織への変革を目指すべきであるという意見が相次いだ。

◇報告

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の新規届出について

 京都府が実施する予定の医療機関等処遇改善等推進事業(無床診療所:15万円支給)については,ベースアップ評価料を届出している施設が対象となることから,未届の医療機関に対して,この機会に届出を行うよう各地区医からの周知・勧奨に協力を呼びかけた。

かかりつけ医機能報告制度について

 すべての医師が関係する制度であることから,昨年12月24日に府医において説明会を開催し,その模様を府医ホームページにて動画配信していることを連絡。配信内容は,制度の趣旨や研修要件,報告方法等について分かりやすく解説したものとなっているため,各地区医に対して会員への幅広い周知を依頼した。あわせて,制度への理解を深め,多くの報告が行われるよう呼びかけた。

2026年3月15日号TOP