2026年5月1日号
府医は4月3日(金),京都府内の臨床研修指定病院において,本年4月から初期研修を開始する新研修医を対象に,恒例の「新研修医総合オリエンテーション」を開催した。
本オリエンテーションは,府医で取組む研修医事業の柱となっており,新研修医としての心構えや研修医の「スキルアップ」,「レベルアップ」,病院の枠を超えた「ヨコの繋がり(ネットワークづくり)」の構築を目的としている。
昨年度に引続き集合形式で平日に開催し,京都府内のすべての臨床研修指定病院の新研修医約 228 名(過去最多)の参加があった。社会人として,そして医師として“1年目”の心構えを身につけようと,各講義では熱心に耳を傾けるとともに,研修医相互のコミュニケーションを図るプログラムではチーム内で積極的に交流する様子が見られた。
まず,京都府医師会・松井道宣会長,京都府・井原正裕健康福祉部長,京都府立医科大学附属病院・佐和貞治病院長,京都大学医学部附属病院・髙折晃史病院長がそれぞれ挨拶に立ち,出席した新研修医に対し医師国家試験合格の祝意を示した上で,晴れて社会人・医師となった研修医に対して激励の言葉を送るとともに,医師会,行政,大学,研修指定病院が協力して,研修医をサポートしていくことを約束した。
プログラムのトップバッターは,屋根瓦ワーキングチームのメンバーで市立福知山市民病院の稲葉哲士氏によるグループワークで,初対面の研修医にとってのアイスブレーク的要素を大きく含んだ内容となっている。
若手指導医によるユニークなグループワークは府医オリエンテーションの特徴で,全 39 グループ,1グループあたり5〜6名で構成し,初期研修を乗り切る上で重要となる3つのスキル「コミュニケーション力」,「検索力」,「チームワーク力」をグループワークを通して体感した。勤務先の異なる者同士でグループを組むことで,今後の臨床研修において必要な“初対面の人”(患者,ローテート先の上司,先輩,メディカルスタッフなど)とのコミュニケーションの取り方を学んだり,グループで協力して検索ツールを利用しながら臨床クイズに挑んだ。
最初は緊張した表情で取組んでいた研修医たちも,次第に笑顔が見られ,休憩時間に入ってもグループ内で交流が終わることなく続き,会場内は歓談の声や笑い声に包まれ,和やかな雰囲気となった。
続いて,特別講演Ⅰでは,順天堂大学医学部附属順天堂医院総合診療科特任教授のデシュパンデ・ゴータム氏より「Physician-Patient Communication(Will Save Us from Replacement by AI)」と題して講義があった。デシュパンデ・ゴータム氏は AI が医療分野に与える影響や,AI に代替されないことについて,コミュニケーションの重要性を説いた。
特別講演Ⅱでは,京都府立医科大学小児科学教授の家原知子氏より「研修医が知っておくべき虐待の対応」について講義があった。臨床研修における必須項目である虐待について,医療機関に求められる早期発見につながる所見や徴候,関係機関との連携等について学ぶ貴重な機会となった。
加藤府医理事から府医の役割や,臨床研修屋根瓦塾 KYOTO,Re-1グランプリなどの府医が取組んでいるユニークな研修医向け事業,ワークライフバランスのサポート体制等を紹介。また,医学生や研修医,若手医師の先生方とのつながりを継続できる仕組み「KMA.com」についても説明した上で,府医や日医では,臨床研修医(研修医1・2年目)の会費免除を実施していることから,この機会に医師会に加入し様々な取組みに触れていただきたいとした。
堀田府医理事からは,研修医の医師賠償保険加入状況の調査結果を用いながら,医師賠償責任保険の重要性などを説明。「日本医師会医師賠償責任保険」の特徴として,単に損害賠償等を求められた際の保険に留まらず,ちょっとした「相談」から手厚い「サポート」まで懇切丁寧な対応を実践していると紹介した。
このほか,KMCC(京都府地域医療支援センター)から,京都の研修に対する強固なサポート体制が示され,行政・医師会・研修指定病院が連携して研修をサポートすることを強調した。
引続き行われた懇親会でも,病院の垣根を越えて研修医や指導医らが交流し,様々なネットワークを築く機会となった。
終了後に実施したアンケートの結果では,大多数の参加者から高く評価されたほか,「この会がなかったら関わらなかったであろう他院の研修医と話すことができてよかった」や「知りたいことが知れた」等の感想が多く寄せられた。
また,入会者には府医オリジナルスクラブを進呈したところ,185 名(4/9現在)の新研修医の入会を得ることができた。
懇親会の様子
ご協力いただいた講師は以下のとおり(順不同)
■特別講演Ⅰ「Physician-Patient Communication(Will Save Us from Replacement by AI)」
順天堂大学医学部附属順天堂医院 総合診療科 特任教授 デシュパンデ・ゴータム 氏
■特別講演Ⅱ「研修医が知っておくべき虐待の対応」
京都府立医科大学小児科学 教授 家原 知子 氏
■グループワーク
京都府医師会屋根瓦ワーキングチーム/市立福知山市民病院 稲葉 哲士 氏
■講義
「 研修医のうちに知っておきたい医師会の使い方−京都府医師会が広げる医師のキャリアー」 京都府医師会 理事 加藤 則人 氏
「研修開始前に知っておきたい“自分の身を守る保険”」 京都府医師会 理事 堀田 祐馬 氏
「KMCC について」 京都府医療課 課長 古川 浩気 氏