勤務医通信

病院経営の危機

康生会武田病院 呼吸器内科部長
永田 一洋

 府医の皆様,平素より大変お世話になっております。康生会武田病院の永田と申します。今回「勤務医通信」への寄稿の機会をいただきありがとうございました。
 最近,新聞紙上では「公立病院の約8割が赤字を記録」などが紙面を飾ることもあり,病院の経営危機は全国的な広がりを見せています。赤字が続けば,当然職員の労働環境や患者へのサービス提供に深刻な影響が出てしまいます。京都府内でも公立病院など大病院での巨額の赤字や,看護師不足など人材確保困難で病棟閉鎖,病院の閉鎖など厳しい状況が顕在化しています。病床数の減少により患者の受け入れ先が無くなったり,地域住民の受診機会が減少したりすることは認められません。
 直近の政府の対応で2026年度の診療報酬改定では,深刻な物価高騰や医療従事者の賃上げ対策として本体部分のプラス改定が行われましたが,多少の改善は見込まれるものの,今後の見通しは依然として厳しい状況が続くと思われます。
 病院生き残りのため,地域に根差した選択と集中の戦略が必要となります。具体的には自院が急性期,回復期,慢性期のどの役割に特化するのかを明確にすること,人手不足を補い,業務を効率化するためのデジタルトランスフォーメーションの推進,タスクシェア,労働時間の短縮などの働き方改革と,人材確保にいかに取組むかがカギになります。
 私たち康生会武田病院でも厳しい経営環境を強いられています。連日ベッドの稼働状況が発表され,入院患者の確保への取組みが強化されていますが,なかなか改善には向かないようです。
 当院の特徴として多くの年間6,000人の救急患者の受け入れを行ってきましたが,ここ数年,救急搬入患者の減少による病床確保の困難が頻繁に起こっております。安定した救急患者の受け入れのため「断らない医療」のさらなる推進,循環器センター,脳卒中センターの充実による循環器疾患,脳卒中に対して迅速かつ高度な治療を提供できる体制を整え24時間体制の受け入れにこたえています。
 救急受け入れの入り口となる消防署と定期的に懇談会を行い,課題共有や連携強化をはかっています。かかりつけ医との連携強化については患者サポートセンターを窓口とする紹介,逆紹介をスムーズに行うシステムを構築しています。
 京都駅前という場所がら,当院には多くの外国人患者さんが来院されており,外国人患者様の受け入れにも力を入れています。多言語による診療案内や異文化・宗教に配慮した対応を行っています。国際医療支援室を設置し,英語・中国語などに対する専任の通訳者の配置も行い外国人患者さんが安心・安全な医療サービスを享受できる体制を提供しています。
 私たち勤務医にできることは質の高い医療レベルを患者に届け,いつでも受け入れる環境を整えていくことです。そのために病診連携と病病連携は地域で切れ目のない医療を提供し,患者が最適な医療を受けていくために地域全体で支えていくことが重要です。地域医療の主体はかかりつけ医の先生方です。病状の悪化や専門領域については病院が精査や治療を担当し,患者さんにはまた地域の先生に戻って療養していただくことが大事だと考えています。

Information
病 院 名  康生会武田病院
住  所  京都市下京区塩小路通西洞院東入東塩小路町 841-5
電話番号 075-361-1351
ホームページ https://www.takedahp.or.jp/koseikai/

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