2021年1月15日号
薬価基準に収載される後発医薬品については,その使用を促進する観点から,規格が揃っていないとの理由でやむなく先発医薬品に戻ることにならないよう,原則として先発医薬品と同じ規格を揃えることとされています。
こうした取り扱いについては,厚生労働省から後発医薬品メーカー向けのQ&Aが示されていたところですが,今般,当該Q&Aの一部が改正されましたので,抜粋してお知らせします。
記
Q1 先発品が薬価基準収載している一部の規格で,供給停止手続きを経て販売中止する,若しくは販売中止された規格については,同様の手続きを経て販売中止してよいか。
A1 標準先発品の当該規格について,経過措置移行の官報告示がなされた時点で,供給停止手続きを行うことが可能であるが,標準先発品が当該規格の供給停止を可とされた事由を踏まえ,また,現在の当該規格の使用実態とそれに伴う医療上の必要性に鑑み個別に判断するので,経済課に相談されたい。
Q2 注射薬,外用薬において,放出特性の違いにより用法・用量が異なる製剤があるが,全種類の規格を取り揃える必要はないと判断してよいか。
A2 徐放性製剤等,放出特性の違いにより用法・用量が異なる場合には,全種類の規格を取り揃える必要はないと考えられるが,本事案は個別に判断するので,経済課に相談されたい。
Q3 同一剤形であっても,規格により,用法・用量,効能・効果,使用方法の全て又は一部が異なるものが存在するが,全種類の規格を取り揃える必要はあるか。
A3 剤形区分が同一であっても,規格により明確に効能・効果が異なるものは取り揃えなくても差し支えない。ただし,効能・効果の一部に重複があるものについては取り揃える必要がある。なお,本事案は医療上の必要性に鑑み個別に判断するので,経済課に相談されたい。
Q4 販売名に成人用,小児用と区別されているものは,規格を取り揃えなくても差し支えないか。
A4 販売名に関わらず,剤形区分が同一であっても,規格によって,対象患者が明らかに異なる場合には,標準先発品の有する全種類の規格を取り揃えなくても差し支えない。ただし,例えば○○mg錠,△△mg錠,小児用□□mg錠とあった場合に,小児にも○○mg錠,△△mg錠が用法・用量上用いられる場合は,全ての規格を取り揃える必要がある。
なお,本事案は医療上の必要性に鑑み個別に判断するので,経済課に相談されたい。
Q5 先発品は1mL単位の内用液で収載されていて,後発品は異なる用量ごとの1回飲みきりタイプの内用液(1包単位)として収載される場合があるが,どのように規格を揃える必要があるか。
A5 1回飲みきりタイプの内用液として用法・用量上必要な規格が取り揃えられていれば,1mL単位の内用液を取り揃えなくても差し支えない。
本件のようなケースは経済課に相談されたい。
Q6 先発品に溶解液付きと溶解液なしの規格が存在する場合,両規格とも取り揃える必要があるか。
A6 溶解液付きと溶解液なしの規格のどちらかの規格を取り揃えることで差し支えない。
ただし,専用の溶解液が必要な場合であって,溶解液なしのみの規格を収載する場合は,専用の溶解液を別途取り揃えること。
Q7 平成22年4月に,いわゆる変更調剤が可能になったが,非汎用規格についても全て取り揃える必要があるか。
A7 常用量を超える規格で倍量の非汎用規格については,必ずしも取り揃えなくても差し支えない。
また,常用量を下回る規格で小児用量や患者の病態による減量の設定・使用上の注意等の設定がない非汎用規格についても,必ずしも取り揃えなくても差し支えない。
本件のようなケースは,医療上の必要性に鑑み個別に判断するため経済課に相談されたい。
なお,例外として,常用量ではあるが,他の規格により代替が可能な場合であって,診療上の薬剤の位置づけが変化したことにより需要が極端に減少した非汎用規格については,医療上の必要性に鑑み個別に判断するため経済課に相談されたい。
Q8 初回投与量が設定されている医薬品があるが,初回投与量のみに必要な規格も取り揃える必要があるか。
A8 初回投与量に必要な規格は,取り揃える必要がある。
Q9 バイオ後続品の規格揃えの考え方については,後発品と同様か。
A9 規格揃えの基本的な考え方は後発品に準ずるものとする。なお,個別具体的な懸念がある場合には,医療上の必要性に鑑み個別に判断するため,必要に応じて経済課に相談されたい。