2026年7月15日号
府医では,6月20日(土),府医会館において,91名の代議員の出席のもと,標記代議員会を開催した。
冒頭の松井府医会長の挨拶に続き,地区からの代表質問ならびにその答弁が行われた。
議事では,第1号議案として「令和7年度事業報告及び決算の承認に関する件」が上程され,松井府医会長からの総括報告,担当副会長から総務,保険医療,地域医療,学術・会員業務,看護専門学校に係る各事業報告が行われた。続いて,田村府医理事による会計決算報告を受けて,濱島府医監事より監査報告が行われ,賛成多数で可決承認された。
また,第2号議案として,「理事の選任に関する件」が上程され,理事補欠選挙が定数1名に対して,波柴 尉充先生(下京東部)の立候補があったことが報告されるとともに,賛成多数で理事としての選任を決定した。
その後の協議では,さらなる物価高騰・賃金上昇を踏まえた診療報酬体系の構築と,今後の地域医療提供体制の整備に係る設備費用等の補填・拡充を求める決議案が上程され,採択された(決議文は最下部)。
本日は,第216回定時代議員会にご出席いただきましてありがとうございます。代議員の先生におかれましては,平素より府医の会務運営に特段のご理解とご支援をいただいておりますことを御礼申し上げます。
さて,6月1日より令和8年度の診療報酬がスタートいたしました。今回の改定のポイントは,医療従事者の賃上げ支援,物価高対策に加えて,2025年12月に成立した医療法の一部を改正する法律に基づく医療DXの推進,そして地域完結型医療体制の整備ということになります。
まず,医療従事者を支援するために,ベースアップ評価料が大幅に引上げられました。物価上昇に対するために,初・再診料や入院料などの評価の見直しが行われました。いずれも他業種と比べてまだまだ十分とは言えませんが,医療経営の安定のために,これからも必要な対応を求めていかなければならないと考えております。
京都府におきましては,5月31日現在の速報値ですが,病院は約99%,診療所では約65%でベースアップ評価料の届出をしていただいております。まだまだ他業種との賃金格差がありますので,今後もこのベースアップ評価料の増額,方法はともかくとして,現在のところは,このベースアップ評価料の増額を求めていかなければならないと考えております。是非,先生方におかれましては,算定をお願いしたいと思います。
地域医療構想は,2040年を見据えた新たな地域医療構想へ移行します。これまでの地域医療構想は,専ら入院医療に焦点を当てた内容でしたが,新しい構想におきましては,これを外来医療,在宅医療,介護との連携,そして人材確保にまで広げ,医療提供体制全体の将来ビジョンへのグレードアップが行われます。中長期的な人口構造の変化や,それにともなう医療ニーズの質,量の変化を見据えて,今後どのような医療提供体制に見直していくかを検討する,いわば医療提供の将来像を各医療圏で想定することが求められています。本日までに,すでに策定のためのガイドラインが示される予定でしたが,いまだ示されていません。間もなくということですが,京都府におきましては,2017年に策定した地域包括ケア構想,これはその名のとおり,すでに地域包括ケアシステムの構築を視野に,必要病床数の整備と,在宅医療を総合的に進めてきておりますので,その方向性は大きく変更することなく,それぞれの医療圏において,どのような形で医療提供体制を構築するかということを,いよいよ具体的に検討を進めていただくことになります。今後,人口減少が進むであろう地域では,十分な医療資源を確保することは難しく,近隣する医療圏と協力を深めるなど,「医療の確保」という視点で考えるべきだと思っております。
医師偏在の解消に向けては,外来医師過多区域での新規開業に際しての新たなルールが示されております。京都府では,京都・乙訓医療圏がその外来医師過多区域に指定されましたが,今回の制度は,外来医師が総体的に多い地域において,無床診療中の新規開業を一律に制限するのではありません。ポイントは,開業前に都道府県へ医療機能等を提出し,その内容を踏まえて,都道府県が外来医療の協議の場への参加や地域で不足する外来機能の提供を要請できるという点です。今回も,後ほど代表質問で担当副会長から説明をさせていただきますが,地域医療への協力,医師多数区域での不足する機能への協力などを求めるものです。将来的には,医療圏内あるいは医療圏外への,例えば医師少数区域への応援なども含めることができるのではないかと考えております。
いよいよ2040年に向けて,少子高齢社会は加速度的に進み,これまでより一層具体的に需要に応じた医療提供体制の構築も急がなければなりません。まもなく骨太の方針が示されます。高齢者が増え,社会を支える働く世代が減少するという大変舵取りが難しいこれからを乗り切るために,高市政権の政策の柱は,ご承知のように,責任ある積極財政です。超高齢社会を乗り切るための医療・介護がしっかりと守られるということを期待しております。
さて,来週6月27日に日医第161回代議員会が開催されます。今年は役員の改選期にあたりますが,ご案内のとおり,松本吉郎日医会長は無選挙で3期目を務められることが決まっております。府医からは,城守国斗先生が次期は副会長を務めることになりました。府医にとっては,日医とのパイプが一層強固なものとなり,より迅速に,より正確に情報を得ることができるようになります。また同時に,京都府からの意見も伝わりやすくなります。代議員の先生方のさらなるご支援をお願いいたします。
結びに,人口減少や高齢化が進む中で,すべての地域で同じ医療提供体制を整えることは容易ではありません。しかし,必要な時に必要な医療を受けることができる社会は,守らなければなりません。どこに暮らしていても安心ができる医療体制を先生方と協力してつくることが,私たち医師会の使命であると考えております。今後もご理解とご協力をお願い申し上げまして,開会のご挨拶とさせていただきます。
代表質問では,西京,相楽,亀岡市の3地区から代議員が質問に立ち,直面する課題について質疑が行われた。質問内容および執行部の答弁(概要)は次のとおり。
◆曽我部 俊介 代議員(西京)
〔外来医師過多区域について〕
外来医師過多区域で新規開業を希望する場合,開業6カ月前に提供予定の医療機能等の届出や,地域で不足する医療の提供を求めるなどの他,要望に応じない場合は,診療報酬上の措置や補助金の不交付,保険医療機関の指定期間の短縮などの措置があるとされている。
すでに開業している医師の意見を新規開業希望者に反映させることや,新規開業に際して医師会に入会しない医師に対して一定の抑止力になりうる一方で,物価・人件費の高騰もあり,入会金の準備が困難な新規開業希望者がおられるのも実情である。今後そのような新規開業希望者に対して,地区医としてどのように対応すべきか。
また,3月の府医第215回臨時代議員会では,地域医療への参加の入口を整備することが地区医の役割であるとの説明があった。地域で不足する機能の整理等の準備が必要とのことであるが,地区医の役割が未だ見えてこない。外来医師過多区域の対応に関して,府医の意見をお聞かせいただきたい。
◇禹 府医副会長
3月の第215回臨時代議会以降,厚生労働省・医政局から各都道府県に向けて,「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン~第8次~」が発出された。また,この6月に京都府に対して府医から面談を申し入れ,外来医師過多区域の指定等について,現時点での考え方や方向性,その進捗状況について意見交換を行った。
まず,「地域医療の参加の入口の整備」について,第8次のガイドラインでは,「新規開業者の届出様式には,地域ごとに具体的な内容を記載した地域で不足する外来医療機能を担うことに合意する旨の欄を設け,協議の場において合意の状況を確認することとする」と明記されている。ここでの「地域で不足する外来医療機能」は,夜間や休日等における地域の初期救急医療の提供体制,あるいは在宅医療の提供体制,産業医,学校医,予防接種等の公衆衛生に係る医療提供体制の他,「その他の地域医療としての対策が必要と考えられる外来医療機能」を指しており,その中に,医師会活動が含まれるものと考える。
ガイドラインでは,「外来医療に係る医療提供体制の現状と将来目指すべき姿」を協議の場に参加する構成員間で認識共有することを求めており,この「協議の場」として,「地域医療構想調整会議を活用することが可能」と記載している。しかしながら,地域医療構想調整会議の医療者側の構成員は,病院がメインになっているため,医師会が主導できるような会議体が必要ではないかと考えている。また,「外来医療に係る医療提供体制の確保については,幅広く関係者の理解を得て推進する必要があるため,協議の場の構成員については,郡市区医等の地域における学識経験者や,病院・診療所の管理者,医療保険者,市区町村等の幅広いものとすることが望ましい」とあるものの,この「協議の場」や届出様式をどのようにするのか,現時点で京都府はまだ検討段階とのことである。
京都府では,京都・乙訓医療圏におけるかかりつけ医機能報告等の状況から,地域で不足する医療機能についてデータ分析・検討が行われているが,京都市内は地区医が行政区を跨いでいるため,京都市内については行政区単位ではなく,地区医単位で考えていただくよう申し入れをしている。不足している医療機能については,地域によって実情が異なるため,京都府が各地区に対して事前にアンケート調査を行う予定である。
また,ガイドラインに「都道府県が地域において特に必要とされる外来医療に関する事項を,二次医療圏その他の当該都道府県知事が適当と認める区域ごとに設ける外来医療の協議の場において,関係者との協議を行い,その結果を取りまとめ,公表,周知すること」とあり,改正された医療法に基づく新規開業者の届出の受付は,実質的に来年4月開始を目途にしているとみられる。京都府では準備・検討の段階で,ほぼ何も決まっていない状況であるが,医師会としては,それに備えて準備を始めておく必要がある。地域医師会においては,地域における外来医療機能の評価を行った上で,不足している外来医療機能,すなわち地域医療をともに担う新規開業者に望む外来医療機能や医師会活動についてリストアップをお願いしたいと考えている。
続いて,地区医の入会金について,新規開業には多くの資金が必要であり,入会金の準備が困難な新規開業者にとっては,入会金が大きな壁になる。しかし,入会金の準備はできたとしても,悪徳なディベロッパー等から,「医師会に入会しなくても開業できる。入会金の金額で新しい医療機器を入れると集客につながる」といった甘い言葉に翻弄されて入会されないケースもあると聞いている。
一方で,入会金と会費は地区医にとって大きな財源であり,地区医の運営に必要かつ重要なものであると認識している。かねてから参与会や地区医との懇談会の場で,組織率向上のために入会金や会費について再考をお願いしてきたところである。多くの医師会で,研修医および若手医師の入会金や会費減免にご対応いただいているものの,新規開業者は当然,若手医師よりも入会金は高額になる。地区により入会金の分割払いや,開業後しばらくの間は会費免除としているところもあり,これらは垣根を下げる一つの方法であると考える。各地区医において,新規開業者の入会金や会費について再度ご検討いただければ幸いである。
外来医師過多区域については,本年1月に京都府,府医,対象地区の地区医の代表者による意見交換会が開催され,京都府からは,「医師会の協力なしには,この制度運用は進められない」との認識が示されている。京都府に対して新規開業者の届出があれば,速やかに当該地区医に対して届出があった旨を連絡するよう申し入れている。これにより,地区医が新規開業者の存在を早い時期に把握でき,地域医療をともに支える仲間を増やす契機として,うまく運用されることを期待する。この外来医師過多区域の対応は,医師偏在対策の一環であるが,あまり締め付けが過ぎるとかえって非会員の開業者が増えてしまうことが懸念される。開業規制にならないよう注意することが重要である。
現在の会員の年齢構成から見ると,このままでは20年後にはA会員が半減すると見込まれる。組織率の向上は,将来の医師会にとって重要な課題であり,5年後,10年後の地域医療体制の維持につなげるためには,地域医療をともに担う新規開業者に快く仲間になっていただくというスタンスで臨まなければならないと考えている。
府医としては,これからも京都府との協議を重ねていく所存である。
◆岸田 秀樹 代議員(相楽)
① 令和8年度診療報酬改定に伴う健診受診後の保険診療の取り扱いについて
② 府県をまたぐ特定健診や予防接種事業について
①今回の診療報酬改定で,「健診等と同一日の受診において,特定の疾病を対象としない健診等の結果,診断された疾病または疑い病名に対して保険診療を行った」とあるが,この特定の疾病とは何を指すのか。また,例えば慢性肝炎の患者に通常の注射をするなどの場合,再診料は算定できるのか。肝炎の薬以外に血圧や糖尿病の薬もある場合は,処方箋料等を併算定が可能か。
②当地区は県境で,奈良県からの受診も多い。第5期風しん定期接種では,国との契約で全国どこでも抗体検査,ワクチン接種が可能であったが,今後,特定健診や定期予防接種も同様に国単位で実施できるようにならないか。
◇内田府医理事
まず,「特定の疾病」について,これは胃がんや大腸がん等のことで,「特定の疾病を対象にしない健診」が特定健診のことと解釈している。
今回の診療報酬改定で,健診受診後の保険診療の取り扱いが明確化されている。これまでは,健診と保険診療を同一日に同時に実施することは,自費診療と保険診療を同時に実施することを禁止する混合診療に抵触するものとして厳格に取り扱われてきたため,患者から同時実施の要請があった場合でも,基本的には別日に来院していただく必要があった。
今回の改定で健診の費用は,「療養の給付と直接関係のないサービス」と規定されたため,同一日同時であっても健診と保険診療を併せて実施することが可能となった。
健診に関する疾病に対して保険診療を実施する場合と,健診と直接関係のない疾病に対して保険診療を実施する場合に大きく分けて整備されている。健診に関する疾病に対して保険診療を実施する場合で,全身状態を全般的に把握するために実施される特定健診を受診した後に,例えば,糖尿病に対して保険診療を行った場合には,初診料や再診料が算定できないことが明確に規定された。これは,がん検診後にそのがんに対する保険診療を実施した場合でも同様である。ただし,検査や投薬,処方箋料などに関する費用は算定できるとされており,健診に含まれていない項目は別に算定できると解釈している。
健診と直接関係のない疾病に対して保険診療を実施する場合には,同一日同時であっても初診料や再診料が算定できる。今回の改定では,この部分が新たに算定可能とされたところである。健診と直接関係のない疾患であるかどうか,判断に迷う場合もあると思うが,個別のケースにおいては一般的な医学的見地をもとにご判断いただきたいと考える。
続いて,2つ目の質問について,ご指摘のとおり県境の医療機関にはご不便をおかけしているが,定期予防接種については,予防接種法第5条において,国が直接実施するのではなく,市町村長に実施義務が課されている。国は,制度設計,ワクチン承認,財政支援を担い,接種券・予診票の発行や接種勧奨,医療機関との委託契約,健康被害救済の窓口など,実際の接種時の事務は市町村が担う仕組みとなっている。この役割分担は,市町村が住民基本台帳を有することから,対象者を把握でき,地域の医療機関と近く連携しやすいという点で,市町村が行う事業として法的に位置づけられているものである。
例外的に,国の緊急接種や災害時の特例など,国や都道府県が関与を強めることがあるが,法体系上は定期接種の基本単位は市町村となっている。
特例健診についても,高齢者医療確保法第20条等に基づき,市町村国保,協会けんぽ,健康保険組合等の保険者が実施主体となっており,費用負担や受診券の発行,結果管理等も各保険者が個別に行っている。
上述のとおり,両事業とも法律上,明確な役割分担がなされており,例えば第5期風しん追加的対策のように,全国知事会と日医による単一の全国的な集合契約方式をそのまま定期予防接種や特定健診に適用することは,法制度上,容易でないことをご理解いただければ幸いである。
◆飯野 茂 代議員(亀岡市)
〔薬剤費の増加に関する課題について〕
近年,生物学的製剤や分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬など,極めて有効性の高い薬剤が次々と登場し,悪性腫瘍,関節リウマチをはじめとする膠原病,炎症性腸疾患など,多くの領域で治療成績が大きく向上してきた。患者の生活の質や予後が改善していることは,医療に携わる者として大変喜ばしいことである。
パーキンソン病の治療に効果が期待される,iPS細胞を使った再生医療等製品「アムシェプリ」が世界で初めて日本で実用化され,中医協において,保険適用の対象として1回の治療費が約5,530万円とすることが承認された。他にも,真菌細胞シート「リハート」が条件付きで認められ,保険適用対象とするかが検討されている。
このように,高額薬剤の登場,対象疾患の拡大,長期投与の増加が重なり,薬剤費は今後の医療費増大の大きな要因になることが予想される。2040年を見据えた薬剤費の適正化ならびに高額薬剤の持続可能な使用に向けた府医の取組みについてご教示いただきたい。
◇米林 府医副会長
ご指摘のとおり,各種高額薬剤は,治療困難な患者に生活の質や予後に寄与する一方で,医療財政に与える影響が少なくない。医療費の増加の要因として,高齢化の重要度が徐々に低下する中で,高額薬剤をはじめとした医療の高度化の割合が増加していると考えられる。
健保組合における一千万円以上の高額レセプトは,2014年に300件であったものが,2023年には7倍超の2,156件にまで増加しており,こういった背景の下,中医協では,例えば免疫チェックポイント阻害剤では,適応疾患の拡大にともない,市場拡大再算定のルールによって薬価が引下げられ,柔軟に薬価を見直す仕組みが設けられた。ただ,製薬企業の創薬意欲の阻害も懸念され,さらに米国の最恵国待遇政策にともなうドラッグロスの拡大の可能性も危惧されるところである。直近20年では,国民医療費における薬剤費の割合は20%強で推移している状況も鑑み,バランスの取れた仕組みを検討する必要がある。
1億円超の超高額薬剤もあるが,対象患者の多いアルツハイマー型認知症に対する薬剤の効果においては,介護費用の減少など長期間経過を追う必要があり,費用対効果を評価するのはまだまだ先のことになる。現在,医薬品や医療機器は,中医協の薬価部会で有効性・安全性が認められたものは,原則60日以内に保険収載される。今後も高額薬剤の登場が見込まれる中で,現行の治験等において少しでも有効性があれば保険収載される仕組みに関しては,今後見直していく必要もあるのではないかと考えている。
ただ,治療効果が劇的に向上するこれらの革新的な薬剤は,高額ではあるものの,患者にとっては待ちに待った薬剤であり,製薬企業の新薬開発の取組みへの意欲,医療の進歩を止めない努力も必要である。一方で,限りある医療財源を持続可能とするためには,創薬分野も含めて,評価すべきところをしっかりと評価するために,企業の透明性を高め,国民の納得が得られる仕組みの構築が不可欠である。
そのような中で,現在国策として進められている「地域フォーミュラリ」の考え方も医療費節減の方法の一つとして検討の余地があると考える。エビデンスに基づいた薬剤の選定がより一層推進され,重複投与の解消や後発医薬品への変更により薬剤費の減少が期待できるとともに,医薬品の安定供給にも寄与するとされている。
高額医薬品の問題だけではなく,今後の医療の負担と給付のあり方について考えると,負担を減らすことが給付にどのような影響を与えるのかを,国民ひとりひとりに考えいただく必要がある。高額な薬剤,高度な医療を受ける者と,そうではない方との格差が拡大している現状もあり,保険料の増額には否定的な意見も多く,保険料を主たる財源として医療費を賄うことには限界が見えつつある状況である。
財務省からは民間保険の活用も提案されているが,当然その保険料は上昇するだけでなく,所得水準により医療格差が拡大してしまうため,何の解決にもならない。また,保険収載を前提とする評価療養や,前提としない選定療養などの保険外併用療養費についても,医療費削減に寄与する度合いは限定的と考えられる。日医総研が令和6年1月に公表した医療に関する意識調査では,国民の約7割が所得の高低にかかわらず,受けられる医療の中身が同じであることを望んでおり,まさに我が国の国民皆保険制度の理念そのものであると考える。
高額療養費見直しの議論にもあるように,それぞれの立場によって様々な考え方があるため,意見を集約することは非常に困難で,国民が真に受けたい医療の「最適解」を見出すことは事実上不可能であるが,国民的な議論が必要である。その際,医師会の立ち位置として,専門的な知見から折り合いをつけて調整する役割を果たすことも重要であると考えている。今回のご意見を踏まえつつ,必要な提言をしていきたいと考えている。
今回の診療報酬改定では,物価・賃金上昇への対応として二段階の措置が講じられ,長年続いたデフレ基調からコストプッシュ型のインフレに対応する改定となった。今後の改定の「道しるべ」となることを望むが,2040年を見据えた医療提供体制の整備に向けて,設備費用等の補填・拡充については別枠の仕組みを検討する必要がある。
また,新たな地域医療構想は,地域の実情に即した医療提供体制の再構築を目指すものであり,従来の病床機能を中心とした議論から,入院・外来・在宅医療,介護との連携を含むものとなった。その実現にあたっては,現場を担う医師の専門的知見と自律的な判断が最大限尊重されなければならない。とりわけ,その運営においては,単なる数値目標の設定や形式的な協議にとどまることなく,関係者間による実効性のある議論を重ね,地域ごとの課題解決に資する合意形成を図る必要がある。
さらに,医療資源の偏在や地域間格差の是正を図る観点から,特に医療提供体制の確保が困難な地域に対する重点的かつ継続的な支援を強化し,必要な医療機能の維持・確保に万全を期すべきである。
よって,国および地方自治体には以下の対応を強く求める。
記
一,さらなる物価高騰・賃金上昇を踏まえた診療報酬体系の構築に加え,今後の地域医療提供体制の整備に係る設備費用等の補填・拡充を求める。
一,新たな地域医療構想においては,地域ごとの課題解決に資する実効性のある会議運営と,医療提供体制の確保が困難な地域への支援を強化し,必要な医療機能を維持・確保するため万全を期することを求める。
以上
2026 年6月 20 日
京都府医師会 第 216 回定時代議員会