2026年7月15日号
昨今,2型糖尿病治療薬や肥満症治療薬として製造販売承認されているGLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬(以下,「GLP-1受容体作動薬等」という)について,一部の医療機関において2型糖尿病および肥満症の治療目的以外の美容や痩身を目的に使用されている実態があることが確認されています。
GLP-1受容体作動薬等について,製造販売承認された効能・効果や用法・用量の範囲ではなく適応外で使用された場合の安全性および有効性は確認されておらず,思わぬ有害事象による健康被害につながるおそれがあるなど十分な注意が必要です。
つきましては,GLP-1受容体作動薬等の適正使用に関する下記の事項についてご了知いただきますようお願いいたします。
記
1 GLP-1 受容体作動薬等の適正使用について
(1) GLP-1受容体作動薬等を承認された効能・効果に則って使用した際であっても,重大な副作用として低血糖症状や急性膵炎が起こり得ること,また,比較的頻度の高い副作用として,悪心,嘔吐,下痢,便秘,腹痛などの消化器症状が認められていることが電子化された添付文書(以下「電子添文」という。)で注意喚起されており,適応外で使用された場合であってもこうした副作用が生じるおそれがあります。また,これらの製剤は承認された効能・効果に対応した投与方法が用法・用量において規定されており,当該投与方法ではなく適応外で使用することは,確認された安全性及び有効性の内容とは異なるものであることから,思わぬ有害事象による健康被害につながるおそれがあり十分な注意が必要です。GLP-1受容体作動薬等の使用にあたっては,使用者へリスクを説明するとともに,以下のとおり電子添文に基づく適正使用をお願いいたします。また,医薬品リスク管理計画の安全性検討事項に記載された副作用や,電子添文の「使用上の注意」に記載された副作用に対して,直ちに適切な処置ができる体制を整えるようにお願いします。
(ア) 2型糖尿病治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬等の使用においては,電子添文の承認された用法・用量の記載に基づき,「効能又は効果に関連する注意」の記載に十分留意いただくようお願いいたします。
(参考1) 「効能又は効果に関連する注意」の項抜粋(2型糖尿病治療薬(一般名:チルゼパチド)の電子添文より)
本剤の適用は,あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法,運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
(イ) 肥満症治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬等の使用においては,電子添文の効能・効果,用法・用量の記載に基づき,「効能又は効果に関連する注意」の記載に十分留意いただくようお願いいたします。なお,製造販売承認の際に策定されている最適使用推進ガイドラインについても,医薬品最適な使用を推進する観点から必要な要件,考え方及び留意事項を示しているものであるため,留意いただくようお願いいたします。
(参考2) 「効能又は効果」の項抜粋(肥満症治療剤(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え))の電子添文より)
○肥満症
ただし,高血圧,脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し,食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず,以下に該当する場合に限る。
・BMI が 27kg/m2 以上であり,2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMI が 35kg/m2 以上
(参考3) 「効能又は効果に関連する注意」の項抜粋(肥満症治療剤(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え))の電子添文より)
本剤の適用にあたっては,あらかじめ肥満症治療の基本である食事療法・運動療法を行っても,十分な効果が得られない場合で,薬物治療の対象として適切と判断された患者のみを対象とすること。肥満に関連する健康障害は,臨床試験に組み入れられた患者背景を参考に判断すること。
(2) 医療機関及び薬局においては,GLP-1受容体作動薬等について,一部の医療機関及び薬局において治療目的以外(主に美容・痩身目的)に使用されている実態があることから,これを真に必要とする患者への供給が滞ることのないよう上記(1)の適正使用のための対応をお願いします。なお,現時点においては,いずれのGLP-1受容体作動薬等も通常出荷となっており,供給状況に問題ないことを申し添えます。
2 医療に関する広告について
医療に関する広告については,患者等の利用者保護の観点から,広告可能事項以外の国内未承認や適応外の医薬品等を用いた自由診療に関する広告は原則禁止されています。ウェブサイト等での広告については例外として広告を可能としていますが,その場合であっても,問い合わせ先を明示した上で,通常必要とされる治療等の内容,費用,リスク,副作用等に関する事項について情報提供することが必要です。
上記のように一定の条件を満たし,広告可能な場合であっても,虚偽の広告,他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告等は禁止されており,また,
についても,誇大な広告として禁止されていますので,十分ご注意ください。
3 副作用等報告の実施について
GLP-1受容体作動薬等について医師,薬剤師等の医薬関係者は,保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第68条の10第2項に基づく副作用等報告を行うようにお願いします。また,副作用等報告時に適応外で使用されていることが明らかな場合には,「医薬関係者からの医薬品,医療機器,再生医療等製品,医薬部外品及び化粧品の副作用,感染症及び不具合報告の実施要領について」(令和4年3月18日付け薬生発0318第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)別紙1様式①の「使用理由」の項に,「適応外使用(美容目的)」等と記載していただくようにお願いします。
なお,薬機法第68条の2の6第2項において,医薬関係者等は,製造販売業者が行う医薬品等の適正な使用のために必要な情報の収集に協力するよう努めなければならないとされており,製造販売業者の情報収集にご協力くださいますよう,あわせてお願いします。