2026年8月15日号
令和8年度は府医が近畿医師会連合の主務となることから,7月11日(土)に第1回近医連保険担当理事連絡協議会を京都で開催した。
主なテーマとしては,令和8年度診療報酬改定の総括を挙げ,物価高騰への対応や医療従事者の処遇改善,医療提供体制を維持するための診療報酬改定などについて幅広く協議した。各府県からは,今回の改定を一定程度評価する意見があった一方で,医療機関を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ,基本診療料の底上げの必要性が共通して指摘された。
小柳津府医理事司会のもと協議が行われ,物価対応料の新設については,すべての医療機関が届出不要で算定できる点や,今後段階的な引上げが予定されている点を評価する意見があった。一方で,昨今の急激な物価上昇などを踏まえると,現行の評価では不十分との認識で一致した。府医からは廣嶋府医理事が,初・再診料は,消費税対応分を除くと,この20年近く実質的に据え置かれており,問診や身体診察など医師の無形の技術が適正に評価されていないことを指摘し,基本診療料の引上げの必要性を主張した。
ベースアップ評価料については,職員の賃上げの原資として重要な役割を果たしていることは評価されたものの,制度運用には課題が多いとの意見があった。特に,届出や実績報告にともなう事務負担の大きさに加え,診療所はパート職員が多く,「年収の壁」の影響から届出が困難なため,課題の解消を求める意見が相次いだ。また,患者数に応じて算定額が変動する仕組みでは,将来にわたり安定した賃上げ財源を確保できるか不安視する声もあった。
財務省等から,機能強化加算や外来管理加算の統廃合や見直しが求められていることに対して,府医は,中医協で長年にわたり議論を重ねてきた経過を無視した乱暴な議論だと述べた上で,中医協で日医が反論するために客観的なデータや具体的な事例を示していく必要性を強調した。
また,急性期病院の評価のあり方については,地方の中小病院では,高齢患者の受け皿として急性期以外の役割も担わざるを得ない場合があり,病床機能の変更が容易ではないことから,十分な評価が得られないとの指摘があった。将来の入院医療提供体制に関しては,拙速な制度変更によって地域医療が損なわれることのないよう慎重な制度設計を求める意見も多く出された。府医は,急性期・包括期・慢性期のいずれの機能を担う場合であっても,適切な診療報酬によって安定した経営が可能となる評価体系の構築を求めた。
さらに,府医から近年の診療報酬改定では,財源論が先行し,医療提供体制を維持するための必要なコストが十分に反映されていないと指摘し,各府県に意見を求めたところ,医療は単なるコストではなく,国民の命と健康を守り,社会や経済活動を支える重要な社会インフラであり,「将来への投資」として位置付ける視点が不可欠であるとの意見があった。また,建築費や医療機器価格の高騰などを踏まえて基本診療料の底上げと診療報酬以外の財源の確保を求める意見もあった。
最後に米林府医副会長が協議を総括し,医療従事者の賃上げは,本来,基本診療料の引上げで評価すべきと述べた上で,現状ではベースアップ評価料が賃上げのための重要な原資となることから,届出率向上に向けた働きかけも継続していく必要性を強調した。また,各府県から社会保険料負担の軽減のみを目的とした医療費抑制や保険給付範囲の縮小は,医療提供体制の維持を困難にするとの懸念が示されたことから,給付と負担のあり方について国民的な議論が必要であると述べるとともに,本協議会で継続して議論していきたいと説明した。