京都大学医師会との懇談会 10.22 Web開催

「コロナ禍における地域連携」,「医師会の果たす役割」について議論

 京都大学医師会と府医執行部との懇談会が10月22日(木),Webで開催され,京都大学医師会から医師11名・看護師・事務11名の計22名,府医から11名が出席。「コロナ禍における地域連携」,「医師会の果たす役割」をテーマに活発な意見交換が行われた。
〈注:この記事の内容は10月22日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございますのでお含みおきください〉

コロナ禍における地域連携(京大)

京都府の地域連携

 コロナ禍における地域連携の主な会議の開催状況を以下のとおり紹介した。
 ・府立医大主催:毎週2種類の会議を開催。主に重症例を受け入れる病院の院長が参画。
 ・京大主催:産科・周産期・精神科等の特定の診療科において,市内の連携が取れるよう京大・府医大の院長と市内病院の各診療科の部科長で構成。
 従来の地域連携の会とは別で京大・府立医大・府医での会を開催し,さらなる地域連携を進めていきたいとの意向を示した。

感染対策について

 京大病院で取組んできた感染対策について,米CDCのパンデミック時の感染対策に基いた「感染者を早くみつける」,「感染しない・させない」を中心に説明した。

<感染者を早くみつける>
 ・検疫的PCR検査による外部(面会者,外来・転院患者,体調不良の職員)から持ち込まれる経路の遮断
 ・無症状患者のスクリーニング
 ・検査の全自動化によるPCR検査の効率化
 ・同じ検査機器を導入した機関とのネットワーク内で検査の標準化・精度管理

<感染しない・させない>
 ・手洗いの徹底,ユニバーサルマスク装着
 ・かつての標準予防策(手をよく洗う,咳エチケット)+αで考える
 ・濃厚接触者とならぬよう,医療者はマスク装着と目の保護の両方を行う

 次に,京大が担う役割として「高度医療」,「コロナの重症患者の受入」,「地域の救急患者の受入の推進」の3つを挙げ,地域貢献として現在取組んでいる内容を以下のとおり紹介した。
 ・PCR検査の支援のため,行政検査の受託の準備
 ・クラスター発生した病院の職員・患者等の検体の受入・検査
 ・介護施設・中小病院での感染防止策の指導
 ・行政と連携した大規模疫学調査の実施

医師会の果たす役割(府医)

検査体制

 府医設立の検査センター,集合契約医療機関,インフルエンザ流行期に向けた体制整備について以下のとおり説明した。
1.京都府・医師会京都検査センター
 相談センターは府医師会館に設置し,4月29日に稼働開始した。検査センターは翌30日に開始し,ドライブスルー形式で検査は一日20件に設定した。府は5ヶ所のセンター設置を予定している。10月17日現在の検査の申し込み件数は1,813件,うち検査実施件数は1,591件。総数での陽性率は2.8%だが,有症状者では4.6%であった。
2.集合契約による医療機関での検査
 PCR検査はもともと鼻咽頭拭い液を検体としていたが,その後に唾液,鼻腔拭い液を検体とすることが認められた。これらの検査を実施するには,府医を通じて府・市と集合契約を締結する必要がある。10月14日現在の集合契約医療機関は450件で,検査実施件数は5,150件と府医の検査センターの3倍以上となっている。陽性者数は172件,陽性率は3.34%であった。
3.インフルエンザ流行期に向けて
 開業医が問題とするのが,これからのインフルエンザ流行期の対応である。前項のとおり,契約医療機関は3つの方法でコロナの検査が可能になり,大きな前進となった。また,鼻腔拭い液の検体でコロナ・インフルエンザ両方同時に検査可能なキットも発売されている。府医は,感染対策の4つの基本のうちの「早くみつける」の役割を果たすべく,かかりつけ医が発熱者への最初の窓口として対応できる体制を進めている。

宿泊療養

 宿泊療養の稼働状況,傾向等について以下のとおり説明した。
 第一波の4月上旬の病床使用率は60~70%であったが,4月15日に平安ホテルを借りた宿泊療養所を開所,その後ホテルヴィスキオでの開所,病床増により,5月末には病床・宿泊施設を合わせた使用率は6.3%まで下がった。また,重症病床使用率も2.5%に減少した。

<入所者の傾向(9月30日現在)>
 入所者数:第一波が85名,第二波が365名の合計450名
 平均年齢:第一波が39歳,第二波が29歳と10歳も下がり,若年化の傾向
 月別:7~8月が増加,接待をともなう飲食店での感染が多かったことが原因と推測
 地域別:京都市内が71.3%と圧倒的に多い
 症状の有無:有症状者が80%超。発熱・咽頭痛・倦怠感等,何らかの症状あり
 発症~入所までの平均日数:
      第一波が16.5日,第二波は5.5日と1/3程度に短縮
      第二波では検査→結果判明→入所が迅速に処理

2021年2月15日号TOP