保険だより – 公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取り扱いについて

 医薬品は,原則として承認された効能・効果および用法・用量を前提に保険適用されていますが,保険適用を迅速に行うことでドラッグ・ラグを解消する観点から,一定の条件を満たした医薬品については,今後追加される予定の効能・効果および用法・用量についても保険適用を可能とする取り扱いが中医協総会にて了承されています。
 今般,1月27日に開催された薬食審第一部会において,下記2成分4品目についての事前評価が行われた結果,当該品目については公知申請を行っても差し支えないとの結論となりました。
 また,1月29日に開催された薬食審第二部会において,下記1成分1品目についての事前評価が行われた結果,当該品目についても公知申請を行っても差し支えないとされました。
 これを受け,今後追加される予定の効能・効果および用法・用量について,下記のとおりそれぞれ保険適用が可能となりましたのでお知らせします。

▷1月27日から保険適用が可能となった医薬品
1.一般名:ミコフェノール酸 モフェチル
  販売名:セルセプトカプセル250及び同懸濁用散31.8%
  会社名:中外製薬株式会社
  追記される予定の効能・効果:
   造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制
  追記される予定の用法・用量:
   造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制
   成人:通常,ミコフェノール酸 モフェチルとして1回250~1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。
      なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日3,000mgを上限とし,1日3回食後経口投与することもできる。
   小児:通常,ミコフェノール酸 モフェチルとして1回300~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。
      なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日2,000mgを上限とする。

2.一般名:ニトロプルシドナトリウム水和物
  販売名:ニトプロ持続静注液6mg及び同持続静注液30mg
  会社名:丸石製薬株式会社
  追記される予定の効能・効果:
   急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)
   高血圧性緊急症
  追記される予定の用法・用量:
   急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む),高血圧性緊急症
   通常,小児には1分間に体重1kg当たりニトロプルシドナトリウム水和物として0.5μg/kg/分の投与速度で投与を開始し,過度の血圧低下に注意しながら徐々に増量して目的とする血行動態を得るまで循環動態をモニターしながら投与速度を調節する。通常,3.0μg/kg/分以下の投与速度で目的とする血行動態が得られ,それを維持することができる。最高投与速度は10μg/kg/分を限度とする。また,開始投与速度は年齢,症状により適宜減量する。
  追記される予定の注意喚起:
   1)3.0μg/kg/分を超える投与速度での投与は必要最小限に留め,長時間維持しないことに関する注意事項。
   2)本剤は,緊急時に適切な対応がとれる施設において循環器疾患治療や救急医療に十分な知識及び経験のある医師の下で,連続的に循環動態を観察しながら,その状態に応じて用量調節する等の適切な安全管理の下で使用すべきであることに関する注意事項。
   3)本剤を早い速度で投与した際に一酸化炭素ヘモグロビン血症が発現する可能性があることから,投与速度に応じた適切な検査の実施と異常が認められた場合の速やかな本剤の投与中止等の適切な処置を行う必要があることに関する注意事項。

▷1月29日から保険適用が可能となった医薬品
 一般名:ブスルファン
 販売名:ブスルフェクス点滴静注用60mg
 会社名:大塚製薬株式会社
 追記される予定の用法・用量に対応する効能・効果:
  同種造血幹細胞移植の前治療,ユーイング肉腫ファミリー腫瘍及び神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療
 追記される予定の用法・用量:
  他の抗悪性腫瘍剤との併用において,成人にはA法又はB法,小児にはC法又はD法を使用する。なお,患者の状態により適宜減量する。

2021年3月1日号TOP