地域医療部通信 – 新型コロナウイルス感染症関連情報 第21報

新型コロナウイルスワクチンの接種に関するお知らせ

 新型コロナウイルスのワクチン接種に関しては京都医報2月15日号『新型コロナウイルス関連情報・第20報』にて「集合契約」に関するお願いをしております。今般,京都府におけるワクチン接種に関して,現段階までに分かっていることについてお知らせします。
 新型コロナウイルスのワクチン接種に関してはワクチンの取り扱いに多くの課題がありますが,その中で多くの対象者に迅速に接種を進める方法として,京都府では厚労省の推奨する集団接種よりも,個別接種を主体として推進したいと考えております。この個別接種を前提として,新型コロナウイルスのワクチン接種については大きく分けて2つの課題があります。
 一つは接種順位の問題です。会員各位には京都医報1月15日号『新型コロナウイルス関連情報・第18報』で各医療機関の接種予定者数の把握を依頼し,ご報告いただきました。結果おおよそ5万6千人(病院以外2万3千人,病院3万3千人)の接種希望者が判明しました。その後2月1日号(新型コロナウイルス関連情報・第19報)にて具体的な接種者リストの京都府への提出をお願いしました。ここでご提出された人数は歯科医師や薬剤師等およびそれらの従業員も含め約8万1千人となっています。この優先接種を基本型接種施設の医療機関(病院)で一定期間内に集団的に接種するという方策は,その病院側の負担が大きすぎること,また開業医がワクチン接種のために病院に出務する時間を確保することは通常の診療に加えて「診療・検査医療機関」として発熱外来を行う中では困難であろうと考えます。よって会員医療機関におかれましては,医療従事者優先接種の段階から個別接種によって自院の医療従事者の接種を始めていただき,さらにその後の住民接種についても,それぞれの可能な範囲内でご協力いただくことで,ワクチン接種を進めるための体制整備を構築できるのではないかと考えております。
 次の課題として個別接種を行うに際してのワクチンの取り扱いの問題です。政府が確保を目指すワクチンは3社(ファイザー,アストラゼネカ,モデルナ)です。当初に供給されるのはファイザー社のワクチンであり,他の2社に比して取り扱いの難しいもの(-75℃超低温保管,移送は3時間以内,冷蔵での保管期限は5日,生理食塩水希釈後6時間以内の使用)となっております。このワクチンを厚労省案の集団接種ではなく個別接種とするためには「小分け」と「配送」を行わねばなりません。そこで事業の実施主体である京都府(医療従事者の優先接種)および市町村(高齢者・一般住民接種)に対して,府医は各医療機関への小単位での分配と移送体制を確立するよう求めてまいりました。
 この度,京都府のワクチン移送体制に目途が立ち,また,京都市および府内市町村においては各地区医のご尽力で当該市町村との協議が進みそれぞれの地域の実情に合わせた接種体制が整いつつあります。今後もさらに取り決めるべき問題が山積しておりますが,集団接種体制の構築に加えて,個別接種を行う医療機関を増やしてゆくという方向で,会員各位のご協力が得られますようお願い申し上げます。

医療従事者の優先接種  実施主体:京都府

(府内すべての医療機関が対象となります)

【医療機関側】
 ①京都府保健環境研究所と府医会館を拠点として京都府がワクチンを保管・分配・移送
 ②各医療機関は集合契約に参加(第20報参照)
 ③接種可能施設であることを意思表示(京都府もしくは地区医)
 ④予約の受付(近隣の歯科医院や薬局,訪問看護従事者を含む)
 ⑤3日前までに向こう5日間のワクチン必要数を京都府に注文
 ⑥可能な限りワクチンの無駄が生じないように配慮しつつ接種を実施

【被接種者】
 ①京都府ホームページで接種可能な医療機関を確認
 ②希望の医療機関へ予約
 ③接種券付き予診票を持参して接種を受ける

高齢者の優先接種から一般住民の接種
●京都市の場合  実施主体:府内市町村

(京都市以外の地区医においては当該市町村との決定によります)

【医療機関側】
 ①京都市ワクチン配送センター(仮称)を拠点として京都市がワクチンを保管・分配・移送
 ②各医療機関は集合契約に参加(上記集合契約と同じ契約で可)
 ③予約の受付
 ④3日前までに向こう5日間のワクチン必要数を京都市に注文
 ⑤可能な限りワクチンの無駄が生じないように配慮しつつ接種を実施

【被接種者】
 ①京都市ホームページや京都市コールセンターで接種可能な医療機関を確認
 ②希望の医療機関へ予約するか集団接種を予約
 ③接種券付き予診票を医療機関もしくは集団接種会場へ持参して接種を受ける

※ワクチンの注文先や注文の様式,接種履歴の登録方法ならびに費用の請求について等,詳細が決まり次第,順次お知らせいたします。

注1)京都方式におきましては「連携型接種施設」と「サテライト型接種施設」の違いはなく100人以上の接種を行う義務付けはありません。基本型接種施設としてディープフリーザーを設置する医療機関以外は,ワクチンの供給を受けて(人数にかかわらず)接種を実施する施設となります。

注2)ワクチン接種を待つ多くの国民の心情に鑑み,ワクチンの使用に際しては最大限に無駄の生じないようご配慮をお願いします。

<京都市におけるワクチン接種体制>

1  市民が安心・安全にワクチンを接種いただくため,被接種者の疾患や体質等の情報を把握している, 「かかりつけ医等」の地域の医療機関における,「個別接種」を基本とした接種体制を構築する。

2 かかりつけ医がない方等にも対応するために,「集団接種会場」を設置する。

3  医療機関の負担軽減のため,京都市が「ワクチンの配送体制」を構築する(京都市ワクチン配送センター (仮称)を設置予定)。

2021年3月1日号TOP