地域医療部通信 – 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの迅速な接種のための体制確保に係る医療法上の臨時的な取り扱いについて

 新型コロナウイルス感染症に係るワクチン(以下「コロナワクチン」という)の迅速な接種のための体制確保に係る医療法上の臨時的な取り扱いについて,令和3年2月1日付にて厚生労働省医政局総務課より事務連絡が発出されましたので,お知らせいたします。
 なお,この取り扱いは,コロナワクチンについて迅速に多くの国民に対して接種することの重要性に鑑みた臨時的なものであることにご留意ください。

1.巡回健診等として実施する場合の医療法上の取扱いについて
○ 既存の病院又は診療所の事業として,医療機関以外の会場等を活用して,当該病院又は診療所の所在する都道府県内でコロナワクチンの予防接種を実施する場合であって,同付録(10)(11)頁の「医療機関外の場所で行う健康診断等の取扱いについて」(平成7年11月29日健政発第927号厚生省健康政策局長通知)に定める要件に該当するときは,一部手続きを簡素化して実施することが可能である。

○ この場合における上記通知の取扱いについては,
 ・コロナワクチンの予防接種については,一定の継続した接種期間を設けることが想定されることから,同付録(10)頁記1(1)ウ(イ)の「移動健診等施設以外の施設を利用して行われる巡回健診等であって,定期的に反復継続(おおむね週二回以上とする。なお,同日中に複数の場所で実施する場合については,一回の巡回健診等とみなす。)して行われることのないもの又は一定の地点において継続(おおむね三日以上とする。)して行われることのないもの」とする要件は,柔軟に取り扱って差し支えないこととすること
 ・同付録(11)頁記1(2)ウの「実施計画」は,適切な時期に事後的に行うこととして差し支えないこととすること
 について併せて御留意願いたい。

2.新たに診療所を開設する場合の医療法上の取扱いについて
○ コロナワクチンの予防接種の実施について,既存の病院又は診療所の事業として行われるものでない場合や県外の医療機関が実施する場合などにおいては,実施場所ごとに診療所開設の手続が必要となるところであるが,地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために,新たに診療所を一時的に開設しようとする場合(地方公共団体が開設する場合を含む。)には,法に基づき医療機関を開設し若しくは以前に開設し又は指定管理者制度により医療機関の管理を行う等地域医療の提供に関する一定の実績を有する者が,適正かつ安全な医療を提供するための法に規定する義務(施設・人員・構造設備基準,医療安全等)を行うことが可能であると認められることを,都道府県知事等が確認した上で,法第7条第1項又は第8条の規定に基づく診療所の開設に係る許可の申請又は届出は適切な時期に事後的に行うこととして差し支えないこと。

○ また,この場合の取扱いについて,下記のとおりとするので,ご留意いただきたい。
 ・現に運営している病院又は診療所の管理者が,地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために設置する診療所を管理する場合には,医療法施行規則(昭和23年省令第50号。以下「則」という。)第9条第4項第2号で定める「その他都道府県知事が適当と認めた場合」に該当し,法第12条第2項に規定する都道府県知事等の許可を行うことができること。また,この場合において,管理者がその管理する医療機関及び地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために設置する診療所の運営に支障を来すことなく,医療の安全が十分確保されることを都道府県知事等が確認した上で,法第12条第2項に規定する許可は,事後の適切な時期に行うこととして差し支えないこと。
 ・医療機関の管理者については,法に規定する管理者の責務を果たす必要があることから,原則として常勤であることが求められるが,地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために設置する診療所については,常時連絡を取れる体制を確保する等,その責務を確実に果たすことができるようにする場合には,常勤する医師でなくとも管理者となることができること。
 ・現に運営している病院又は診療所の管理者が,地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために設置する診療所の管理者となること等を理由として,現に運営している病院又は診療所において一定期間診療に従事しない場合には,当該管理者が必要に応じて一時的に管理者に代わる医師を確保する(複数の医師による協力を得て開院日毎に管理者に代わる者を確保することを含む。)とともに,あらかじめ医療の提供に係る責任を明確にするときは,医療法施行令(昭和23年政令第326号。以下「令」という。)第4条第3項及び第4条の2第2項で規定する届出は行わずに当該病院等における診療の継続を認めることとして差し支えないこと。

3.診療時間等の変更に係る医療法上の取扱いについて
 病院又は診療所内でコロナワクチンの接種を実施する場合や地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために設置する診療所の運営に係る業務に従事するため,現に運営している病院又は診療所の診療時間や診療日を一時的に変更する場合には,法に基づく当該変更の届出は省略して差し支えないこと。

4.診療所の構造設備の変更に係る医療法上の取扱いについて
 地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のため,則第1条の14第1項第8号(医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の従業者の定員),第9号(敷地の面積及び平面図),第11号(建物の構造概要及び平面図(各室の用途を示し,精神病室,感染症病室,結核病室又は療養病床に係る病室があるときは,これを明示するもの。))及び第12号(病院における診察室等の施設の有無及び構造設備の概要)に掲げる事項を変更しようとする場合には,法第7条第2項の都道府県知事等の許可及び令第4条第3項の都道府県知事等に対する届出は,事後の適切な時期に行うこととして差し支えないこと。

2021年3月1日号TOP