地域医療部通信 – 参考 医療機関外の場所で行う健康診断等の取り扱いについて

(平成7年11月29日健政発第927号厚生省健康政策局長通知)

 標記について,疾病予防,生活習慣病の早期発見等に係る国民の関心の高まりなどを背景に,医療機関外の場所で行う健康診断に対する需要が増加しているところであるが,今般国民がより身近に健康診断を受けることを可能とするとともに,予防接種等における医療機関の事務手続の簡素化を図るため,医療機関外の場所で行う健康診断,予防接種又は採血(以下「巡回健診等」という)の医療法上の取り扱いを左記のとおり定めることとしたので通知する。
 なお,実施主体の既存の病院又は診療所における通常の診療に支障の生じないことについて十分確認の上,この取り扱いを適用することとされたい。

1 既存の病院又は診療所の事業として巡回健診等を行う場合における医療法及びこれに基づく法令の適用並びにこれに関する指導監督については,次のとおりとすること。

(1) 次のアからウまでのいずれをも満たす巡回健診等の実施については,新たに診療所開設の手続を要しないものとすること。
 ア 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律,労働安全衛生法等に基づく健康診断,高齢者の医療の確保に関する法律に基づく特定健康診査及び医療等以外の保健事業としての健康診査,保険者からの委託に基づく健康診断等,公共的な性格を有する定型的な健康診断,予防接種法に掲げられた疾病の予防を目的とした予防接種(予防接種法施行令に規定する対象年齢以外の者に接種する場合も含む),地方公共団体が直接又は委託して実施する検査のための採血のみを実施する巡回健診等(疾病の治療を前提としたものを除く。)であること。
 イ 当該病院又は診療所の所在する都道府県内で行われるものであること。
 ウ 次のいずれかに該当するものであること。
 (ア) 巡回健診等を目的とした車輛又は船舶であって当該車輛又は船舶内において健康診断,予防接種又は採血を行うことができる構造設備となっているもの(以下「移動健診等施設」という。)を利用する場合
 (イ) 移動健診等施設以外の施設を利用して行われる巡回健診等であって,定期的に反覆継続(おおむね週二回以上とする。なお,同日中に複数の場所で実施する場合については,一回の巡回健診等とみなす。)して行われることのないもの又は一定の地点において継続(おおむね三日以上とする。)して行われることのないもの

(2) (1)による場合,当該病院又は診療所から次に掲げる事項の提出を求めること。これを変更したときも同様とすること。
 ア 当該病院又は診療所の開設者の名称及び主たる事務所の所在地
 イ 当該病院又は診療所の名称及び所在地
 ウ おおむね一か月から三か月までの期間ごとに巡回健診等を行う場所及び各場所ごとの医師又は歯科医師である実施責任者の氏名を記した実施計画
 エ 健康診断の項目,予防接種の種類又は採血に係る検査の種類
 オ 実施の目的,方法及び健康診断,予防接種又は採血に係る費用の徴収方法
 カ 移動健診等施設を利用する場合は,その構造設備の概要

(3) (1)による場合,次の点に留意して指導監督を行うこと。
 ア 当該病院又は診療所の管理者の指揮監督の下に(2)ウの医師又は歯科医師である実施責任者に医療法及びこれに基づく法令の管理者に関する規定に則って巡回健診等を管理させること。
 イ 巡回健診等を行うに当たっては,衛生上,防火上及び保安上安全と認められる場所を選定し,かつ,清潔を保持するよう留意させること。
 ウ 医療法人が巡回健診等を行う場合にあっては,当該病院又は診療所の事業として行われるものであるため,定款又は寄附行為の変更(新規事業の追加)は不要であること。

(4) (1)による場合,予防接種については,あくまで,新たに診療所開設の手続を要しない場合を示しているのみであり,本通知によって「予防接種法第5条第1項の規定による予防接種の実施について」(平成25年3月30日付け健発0330第2号健康局長通知)の別添「定期接種実施要領」による実施場所,注意事項その他の取扱いを何ら変更するものではないこと。

2 巡回健診等が1(1)に該当しない場合には,従来どおり巡回健診等の実施場所ごとに診療所開設の手続をとるものとすること。

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