2021年3月15日号
中京東部医師会と府医執行部との懇談会が12月9日(水),Webで開催され,中京東部医師会から9名,府医から6名が出席。「今冬の発熱患者への対応,旅行者への対応等」,「オンライン資格確認の導入」,「在宅医療・介護連携推進事業」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は12月9日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございますのでお含みおきください〉
第一波における緊急事態宣言の解除後,今後どのように修学旅行生を受け入れるか,府・市の観光課から府医に相談があった。集合契約の開始時期で医療体制が異なっており,府・市に対して万全の受入体制の構築を要請した。
修学旅行生・京都市民の双方の安心・安全を確保するための「京都スタイル」を掲げ,京都観光推進協議会がガイドブックを策定している。①修学旅行生・家族の定期的な健康管理,②観光関連事業者の感染予防対策,③修学旅行生への体調不良の際の対策準備・適切な対応,④京都市のサポートの4点が不可欠とし,それぞれ具体的な対策が記載されている。
旅行前・滞在中それぞれ専用の電話相談窓口の案内や,滞在中に感染疑いが生じた場合の受診・検査までの流れが詳細に示されており,修学旅行者が迷うことなく受診できる体制が整えられている。検査はPCRではなく,結果判明が早い抗原検査を実施。結果確定までの待機場所も確保されており,移動手段も専用のタクシー会社での手配が可能である。
10~11月は修学旅行生が多数来ており,この方式に則って受け入れていたが,実際に抗原検査実施まで至ったケースはわずかであった。今後も府・市は,この体制で受け入れるとしている。
一般の旅行者の場合は,宿泊施設が提携している近隣の医療機関へ案内される可能性が高いが,夜間に診療が必要な場合が多いため,修学旅行者と同様のルートを使うか,あるいは「きょうと新型コロナ医療相談センター」に連絡して,診療・検査に誘導することになると思われる。現在多くの医療機関が集合契約を結んでおり,診療・検査ができる体制が整っている。もし旅行者が来院した場合,できる限りの対応をお願いしたい。
◇「1~2月は受験生,個人の旅行者が多く来ると思われるが,経済面からも,旅行者への旅行拒否は難しい。しかし,これ以上の観光客は危険であるというデッドラインはあると思う。行政と府医での共同会議等の中で,対外的にアナウンスするようなデッドラインの基準はあるのか」と質問が出された。
修学旅行生に対しては,ガイドの中にも「相談の目安」等があるので問題ないが,一般の観光客には公に出ていない。大々的に拒否のアナウンスをすべきか難しい問題なので,府・市に確認の上,申し入れしていくと回答した。
令和3年3月から開始されるオンライン資格確認の概要を説明。(本誌3月1日号P8参照)
◇「オンライン資格確認の導入が間に合わない場合,マイナンバーカードのみを持参した患者への対応は可能か」と質問が出された。
マイナンバーカードのみの場合,保険資格確認ができないため不可。日医でも,この場合自費扱いになるのではないかと議論されている。保険証の持参が必要であり,当面は保険証と併用になると回答した。
◇「システム接続可能な回線はNTT中心で変わらないのか。他のベンダーでも可能か」と質問が出された。
今のところ情報は全くないが,もし政府が情報一元化を考えているなら,これらの問題はいずれ解決するのではないかと回答した。
厚労省は,在宅医療・介護連携推進事業について,従来の8つの事業項目をPDCAサイクルに沿った取組みとして実施できるよう,介護保険法施行規則等を見直し,手引きを改定した。在宅医療・介護連携推進事業について,京都市では早くから取組んでいるが,全国的には,研修・相談のみ実施に留まる市町村が多数であり,課題もあった。そこで,事業全体の目的を明確にし,PDCAサイクルに沿った取組み推進,地域の実情に応じた柔軟な運用を可能にするための見直しが行われた。
「柔軟な運用」の解釈について,府医としては,地域医療介護総合確保基金(以下,「基金」という)を活用した。事業と介護保険の地域支援事業の意味づけは変わらないとし,基金事業は在宅医療を主体に,地域支援事業は医療介護連携を主体に進めてもらいたいとした。
京都市には在宅医療・介護連携推進事業に関するワーキングチームがあり,事業見直しについて説明を受けたが,基本的には今までの地区の取組みと方向性に大きな違いはないので,次年度も同様に取組んでもらいたいと要望した。また,基金事業については府と協議中であり,財政状況も厳しく,来年の事業や明確な予算も未定であると説明した。