下京東部医師会との懇談会 12.16 Web開催

「冬場の発熱患者への対応」,「消毒液・感染防護具などの医療資材の確保」,「オンライン診療」について議論

 下京東部医師会と府医執行部との懇談会が12月16日(水),Webで開催され,下京東部医師会から16名,府医から8名が出席。「冬場の発熱患者への対応」,「消毒液・感染防護具などの医療資材の確保」,「オンライン診療」をテーマに活発な議論が行われた。

〈注:この記事の内容は12月16日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございますのでお含みおきください〉

冬場の発熱患者への対応について

 冬場の発熱患者への対応について概要を説明。(本誌3月1日号P2〜3参照)

~質疑応答~

◇「かかりつけ医がいない発熱患者がセンターに相談しても,結局たらい回しや逆流が起こっている。また,新体制でのセンターでも同じような対応で,改善されておらず困っている。きちんと対応してほしい」と要望が出された。
 他の会員からも同様の苦情が寄せられている。センターは府・市の一本化になったが,現在も以前のコールセンターの機能がまだ残っている状態である。また,新体制ではそのような対応をしていないと聞いていたので,強く申し入れをしていくと回答した。

◇「診療・検査医療機関は原則,非公表とのことだが,これに関して地区における情報共有についてどのような方法がよいか」と質問が出された。
 山科・伏見医師会ではすでに実施している。山科医師会ではアンケートを実施し,情報共有のシステムを構築した。各地区で事情も異なるため,地区で検討していただきたいと回答した。

◇「産業医の研修会は出席必須だが,Webでの開催はできないか」と質問が出された。
 産業医については日医がWebでの研修会を認めていない。府医では関連機関と連携しながら,府医会館で実施の場合は人数を制限し,回数は減らさないように開催していく。今回の意見は日医に伝えていくと回答した。

消毒液・感染防護具などの医療資材の確保について

 新型コロナウイルス感染症陽性者の増加にともない,医療機関が有する医療資材の不足が生じたことから,京都府は4月に医療資材コントロールセンター(以下,「センター」という)設置。京都府が有する資材の調達・管理・配布や不足する資材の代用品等の検証・開発依頼等がセンターの役割・機能である。
 12月4日時点で,手袋は不足気味であるが,消毒液・マスク・ガウンは発足時に比べて安定しているとのことである。
 診療・検査医療機関は,12月7日よりG-MISで資材の状況が入力可能になり,不足時に緊急配布要請を行うと,府から確認後,配布される流れになっている。それ以外の医療機関については,通常の納入業者からの購入が必要である。アルコール・手袋については,府庁および保健所で無償配布しており,配布の情報については,センターから連絡があり次第,FAX情報や会員MLで知らせている。
 府医の資材備蓄量については,費用面,保管スペース面で限りがあり,緊急時にはセンターに連絡をお願いするとともに,適切な利用を求めた。

オンライン診療について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて,厚労省は時限的・特例的に初診からの電話や情報通院機器を用いたオンライン診療を可能とする旨の事務連絡を発出した。また,これについて3か月ごとに見直しのための検討会が開催され,オンライン診療での疾患・症状・処方薬等の適切性について検証が行われている。

~オンライン診療の実施状況,患者の背景~

 10月末時点で,電話・オンライン診療実施を可能とする医療機関は,全医療機関中15%,うち初診可の登録数は6.9%である。京都府の実施状況は101件で,大阪863件,兵庫600件,滋賀100件の近畿他府県と比べても少ない。
 受診者の年齢は,0~10歳(30%超),21~30歳(約20%)の利用が多く,主な疾患は,上気道炎,気管支炎,発熱などで,診療科は内科,小児科が圧倒的に多い。

~初診のオンライン診療の原則解禁を検討~

 厚労省は検討会の中で,今後のオンライン診療のあり方として,安全性と信頼性をベースに,初診も含めたオンライン診療を原則解禁することについて検討。また,電話ではなく映像があることを原則とするとした。
 初診の場合にも安全性・信頼性を担保するためには,医師が患者の医学的情報を把握していることや医師-患者間の関係性が重要である。この「医師・患者関係」は過去の受診歴がベースとなる。この考え方を基本に,患者の過去の受診歴を軸に4つのケースに分けて議論された。この中で日医の今村副会長は「過去の受診歴がなく,診療情報の提供もない患者のオンライン診療は危険ではないか」と指摘している。
 他にも「地理的な観点」,「医療の質」,「診断・治療等の診療における観点」,「医師の技術・研修」,「オンライン診療のさらなる活用と課題」,「地域におけるオンライン診療の提供体制」,「システム提供者およびセキュリティ」,「高齢者への対応」などが議論されており,厚労省は,これらの議論が十分なされた上で,「安全性」,「信頼性」に関してそれぞれルールを設け,初診オンライン診療の実施へ向けてさらに検討していくとしている。
 現在,府医から出務しているコロナの宿泊療養所では,対面ではなくオンラインで診療しており,このようなケースではメリットがある一方,想定されるデメリットとして,オンライン診療での見落としで誤診と言われて訴訟に巻き込まれる可能性,営利目的のオンライン診療専門の医療機関による制度の悪用,また,オンライン診療をしない地方の診療所等が淘汰され,地域の医療提供が損なわれる等を挙げ,そのようなことが無いよう今後も注視していくとした。

2021年4月1日号TOP