2021年5月15日号
令和2年度第5回近医連保険担当理事連絡協議会が4月3日(土)に開催された。これまでと同様,新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から,オンライン形式による開催とし,府医役員12名が出席した。当日は谷口府医理事の司会のもと,新興感染症に対して求められるかかりつけ医機能などをテーマに活発な意見交換が行われた。
「次期診療報酬改定への提言」をまとめ,日医へ提出
府医では,診療所の再診料が平成22年度改定で財源の制約を受けて,理由なく引下げられたまま,現在に至っていることを問題視し続けており,昨年の本協議会でもその点を指摘し,基本診療料による評価の必要性を改めて主張していた。その後も継続して協議を行い,さらに,新型コロナウイルスの感染拡大によって,平時の感染症対策の重要性もあらためて認識されたことから,これまで医療機関が担ってきた役割やその評価,今後の感染症対策を踏まえた対応,さらにはその前提となる財源の問題などを「次期診療報酬改定への提言~基本診療料の適正な評価のために~」というかたちでとりまとめた。近医連の総意として,後日,日医へ提出した。
新興感染症に対して求められるかかりつけ医機能について
新型コロナウイルスの感染拡大により,検査体制の確保や自宅療養患者へのフォロー,宿泊療養施設への出務など,通常の診療業務を超える多くの協力がかかりつけ医に求められることから,その役割や評価について意見交換を行った。
田村府医理事は,検査センターや宿泊療養施設への出務,年末年始に自宅療養者に対する電話を用いた健康観察・相談など会員や府医役員による一連の対応を紹介した上で,今後に備えて,必要な治療・療養が提供できる環境整備や自宅療養中の患者が増悪した場合に対するコロナ陽性者外来の設置などを検討していることを報告した。また,多くの開業医が自身の診療の合間を縫って,協力を惜しまず,コロナ禍に求められる役割を担ってきたが,これは強制されたものではなく,地域のかかりつけ医という自覚をもって自発的に行ってきたものだとして,平時からこのような体制を整備することが非常時の医療提供体制を確保することにつながるとした。
各府県からは,かかりつけ医は,地域医療を守るため,診療体制の維持に加えて,検査体制やワクチン接種などに協力すべきとしつつも,医療機関によって機能は様々で空間的分離等が困難なところもあるとした。また,検査実施医療機関として公表された結果,風評被害や連絡なしでの受診などを危惧しているとした。
評価に関しては,医療機関が連携し役割分担を行うためには,診療報酬や補助金,補償面での手当てが必要であるとし,診療報酬の臨時的な取り扱いとして,院内トリアージ実施料の要件緩和や乳幼児感染予防対策加算,4月からの医科外来等感染症対策実施加算が新設されたことは評価できるとした。時限的なものではなく,初・再診料の引上げを求める意見もあった。
最後に,濱島府医副会長が本協議会の1年間の協議を総括した。
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについては,院内トリアージ実施料や入院料のICUの特例評価等を評価する一方で,評価できないものとして初診からのオンライン診療の解禁を挙げ,混乱に乗じて十分に議論することなく,なし崩し的に認められたもので,恒久化には絶対反対であるとした。
また,後期高齢者の患者負担割合について,引上げではなく保険料などによる対応を優先すべきことや外来受診時定額負担にかかる厚労省等からの見直し案が,実質的な保険免責制であり,絶対に容認できないことを本協議会で確認したと述べた。