地区だより 右京医師会

地域医療連携の力が試されています。

会長 松井 亮好

 右京区には救急医療や各科の専門医療を総合的に担う大規模な病院がなかったため、区内の救急症例の多くが区外へ搬送されていました。令和1年11月京都民医連中央病院が右京区へ新築移転し、地域の医療連携の在り方も大きく変化しました。近年、日本各地で地震、台風、水害などによる甚大な被害が多発しており、まず災害発生時の連携について協議を始めました。右京区役所ともLINE等ですみやかな連絡がとれる体制を作りました。令和2年1月にCOVID-19の感染が国内でも確認され、その後の状況は皆様ご承知のとおりです。なにげない日常の大切さを知ることとなりました。
 このような感染症の流行もひとつの災害と考え、京都民医連中央病院とは協議を重ね、令和2年8月より同院の発熱外来に週2回、会員が出務することになりました。この疾患に対する基本的な考え方や診療の実際を学ぶためでもありました。令和3年3月中旬までの受診者数は136名、PCR施行数112名、陽性者数26名、陽性率23.2%でした。2月後半より受診者数が減少したため、3月中旬に一旦休止しましたが、ほっとしたのも束の間、3月後半より再び新規感染者数が増加傾向となり、4月から出務を再開しています。ワクチン接種については同院や宇多野病院とも積極的な連携をとり、アレルギーが懸念される方の接種の受け入れも表明していただいています。
 右京消防署と協力し例年開催している救急に関するシンポジウム「こんな時どうする」や市民公開講座など高齢者が多数参加する企画が昨年度は中止となりました。一方、在宅医療においての感染防御が重要な課題となり、令和2年9月に感染防護衣の着脱法などについて、会員、看護師、ヘルパーさんらも対象として、会場での実技講習とオンライン参加のハイブリッドの研修会を開催しました。令和3年2月には、院内クラスターが発生した病院の収束までの経験や自身が感染した会員の体験を語っていただき、動画に収録しました。ワクチン接種についての協力の呼びかけとともに緊急フォーラムとしてYouTubeで会員や地域の医療関係者に配信しました。罹患された会員は府医のメーリングリストでも述べておられたように、自宅待機中に検査や診療を受けるシステムが当時なかったことが、非常に不安であったとのことでした。このようにITツールを活用し、情報発信、情報共有することが極めて重要であることがだんだんとわかってきました。
 当医師会には訪問看護ステーションがあり、右京区在宅医療推進事業として、訪問診療の経験の少ない医師に同行してサポートし、在宅医療への参入する医師を増やす試みや、在宅関連の多職種との研修会を企画するなどの活動をしています。ここでもオンラインを使った研修会が連携を深める有力な手段となっています。右京区在宅医療・介護連携支援センターを京都市の委託事業として運営し、地域の在宅医療、介護の連携の強化に努めてきましたが、今回新型コロナに対するワクチン接種にあたり、支援センターが持つネットワークの機能が、地域の医療関連機関のグルーピングに大変役立ちました。
 個別接種とほぼ同時に住民への集団接種も始まりましたがまだまだ入口にたったばかりです。医師会の団結や地域医療連携の力をみせる時です。自由な日常を取り戻すまで力を合わせて頑張りたいと思います。

一般社団法人 右京医師会
〒615-0902
京都市右京区梅津神田町57
TEL:075-872-9850 FAX:075-882-5212
H P:http://www.ukyo.kyoto.med.or.jp/
e-mail:ukyoishi@crocus.ocn.ne.jp
会 長:松井 亮好
会員数:252人(2021.5.1現在)

2021年6月1日号TOP