保険だより – 医療機関における無症状者への新型コロナウイルス感染症に係る検査の費用負担について

 新型コロナウイルス感染症に係る検査については,職員または患者に新型コロナウイルス感染者が発生した医療機関や,感染拡大地域における集中検査の対象となった医療機関等において,無症状者に対する新型コロナウイルス感染症に係る検査が行われています。
 今般,厚生労働省より同検査に係る費用負担について改めて事務連絡が発出されましたので,お知らせします。
 同検査の公費による実施については,都道府県等の行政の判断において実施され,すべて公費負担となる場合と,医師の判断により診療の一環として実施され,検査に係る費用の自己負担分が公費負担となる場合などがありますので,ご留意ください。

1.費用負担について
(1)都道府県等の行政の判断において検査を実施する場合(行政検査)
① 委託によらず都道府県等の行政が実施する場合
 医療機関や患者等の負担はありません。全額公費負担となります。
② 都道府県等からの委託により医療機関が実施する場合
 医療機関や患者等の負担はありません。医療機関が実施した検査に要する費用については,都道府県等との契約に基づき,全額公費負担となります。
 なお,集中検査については,上記①~②のほか,都道府県等が独自の事業として自ら費用を負担して実施する場合があります。

(2)医師の判断により診療の一環として検査を実施する場合(保険適用)
 医療機関の医師が,個別に当該者の診療のために必要と判断して検査を実施する場合,保険適用となります(※)。
 この場合,当該者の自己負担額のうち,検査に係る費用(PCR検査の場合:SARS-CoV-2核酸検出及び微生物学的検査判断料に限る。抗原検査の場合:SARS-CoV-2抗原検出及び免疫学的検査判断料に限る。)については,公費負担となるため当該者の自己負担は生じません。ただし,上記検査に係る費用以外の初・再診料等に係る当該者の自己負担額は公費負担の対象外となるため,当該者の自己負担が生じることとなります。
 なお,集中検査のように,医師が個別に当該者の診療のために必要と判断することなく一律に実施される検査については,保険適用となりません。
※当該検査は行政検査と同様の観点を有することから,医療機関に対して都道府県等から委託をしたものと取り扱われることになるため,医療機関と都道府県等との間で行政検査の委託契約(集合契約としてなされるものを含む。)を締結していただくこととしています。

(3)その他の場合
 自費診療となります。
 医療提供体制の確保のために必要など補助要件を満たす場合は,新型コロナ感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金,新型コロナ患者等入院受入医療機関緊急支援事業補助金の対象経費となります。

2.留意点
〇上記(1)②及び(2)の場合について,委託契約の効果は遡及させることができることから,契約手続きに時間を要する場合などには,契約が締結されれば契約締結前に実施された検査についても契約に基づく補助の対象になることを都道府県等と医療機関との間で合意した上で,契約締結を待たずに,検査を実施することとしても差し支えありません。

〇上記(1)及び(2)の場合の検査に係る費用のうち,公費負担分については,その2分の1を感染症予防事業費等負担金として国が負担することとしています。その上で,地方負担分については,内閣府の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」において行政検査の地方負担額を算定基礎として全額交付限度額に算定される仕組みとなっています。このように,検査の実施により各都道府県等が負担する費用については十分な財源を確保しているので,必要な検査は広く実施していただくようお願いします。

〇濃厚接触者に該当しない者に対して,幅広く検査を実施する場合の検査対象者は,個別具体的な検査対象者の感染の疑いに着目して行う検査ではないため,濃厚接触者として取り扱うこととはしないこと(14日間の健康観察の対象とはしない)としております。この場合,検査対象者は健康観察の対象外であり,医療・介護従事者は引き続き業務に従事できること等を示しておりますのでご参考下さい。「医療機関,高齢者施設等の検査について」(令和2年12月8日付事務連絡)

2021年6月1日号TOP