保険だより – 薬価基準の一部改正等について

 4月20日付厚生労働省告示第178号および第179号をもって薬価基準の一部が,また同日付厚生労働省告示第180号をもって掲示事項等告示の一部がそれぞれ改正されるとともに,関連する留意事項等が示されましたので,その概要を下記のとおりお知らせします。

▷新たに収載されたもの(4月21日から適用)

<内用薬>

<注射薬>

<外用薬>

▷薬価基準の一部改正に伴う留意事項について

(1)イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg及び同ドライシロップ小児用103.4mg
 ドライシロップ製剤は,既に薬価収載後1年以上を経過している「イグザレルト錠15mg他」(以下「既収載品」という。)と有効成分が同一であり,既収載品において小児における用法・用量が追加されるとともに,小児等が服用しやすいドライシロップ剤として剤形追加が承認された医薬品であることから,新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度)は適用されないものであること。

(2)エドルミズ錠50mg
① 本製剤の効能又は効果に関連する使用上の注意において,「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌,胃癌,膵癌,大腸癌のがん悪液質患者に使用すること。」,「栄養療法等で効果不十分ながん悪液質の患者に使用すること。」及び「食事の経口摂取が困難又は食事の消化吸収不良の患者には使用しないこと。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
② 本製剤の効能又は効果に関連する使用上の注意において,以下のアに該当し,イ~エのうち2つ以上を認める患者に使用することとされているため,投与開始に当たっては,レセプトの摘要欄に以下のア~エのうち該当するものをすべて記載すること。
ア 6ヵ月以内での5%以上の体重減少及び食欲不振
イ 疲労又は倦怠感
ウ 全身の筋力低下
エ CRP値0.5mg/dL超,ヘモグロビン値12g/dL未満又はアルブミン値3.2g/dL未満のいずれか1つ以上
 なお,「イ 疲労又は倦怠感」及び「ウ 全身の筋力低下」については,NCI Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)日本語版JCOG訳を参考に評価を行い,Grade1以上を症状の目安とすること。また,筋力低下については,握力や歩行速度,椅子立ち上がりなどの指標も参考に評価を行うこと。
③ 本製剤の用法・用量に関連する使用上の注意において,「本剤投与により体重増加又は食欲改善が認められない場合,投与開始3週後を目途に原則中止すること。」及び「12週間を超える本剤の投与経験はなく,体重,問診により食欲を確認する等,定期的に投与継続の必要性を検討すること。」とされているので,投与継続の検討を行った直近の年月日を記載すること。

(3)アルンブリグ錠30mg及び同錠90mg
 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において,「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により,ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので,ALK融合遺伝子陽性を確認した検査の実施年月日をレセプトに記入すること。
 なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。

(4)オラデオカプセル150mg
 本製剤の効能又は効果が「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」であることを踏まえ,関連する学会のガイドライン等を参考に,遺伝性血管性浮腫の確定診断がされ,急性発作のおそれがある患者に対して使用すること。

(5)ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「中枢神経系症状の改善が必要とされるムコ多糖症Ⅱ型患者に対して投与を検討すること。」とされ,用法及び用量に関連する注意において,「イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)が静脈内投与され,忍容性が確認されている患者に投与すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。

(6)リンスパッド点滴静注用1000mg
 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において,「本剤は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)や,気流閉塞を伴う肺気腫等の肺疾患を呈し,かつ,重症α1-アンチトリプシン欠乏症と診断された患者に用いること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること

(7)ジムソ膀胱内注入液50%
① 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤を投与する際,十分な問診により臨床症状を確認するとともに,類似の症状を呈する疾患(尿路性器感染症,尿路結石,膀胱癌や前立腺癌などの下部尿路における新生物,過活動膀胱や前立腺肥大症等)があることに留意し,膀胱内視鏡,尿検査等により除外診断を実施すること。その上で,膀胱内視鏡検査によりハンナ病変が認められ,間質性膀胱炎(ハンナ型)の確定診断を受けた患者にのみ投与すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
② 本製剤の用法及び用量に関連する注意において,「本剤による再治療は,本剤の治療により症状が改善した後,一定期間経過して治療を要する程度にまで症状が悪化した場合にのみ行うこと。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。

(8)イエスカルタ点滴静注
① 本製品の原料採取に伴い,患者から末梢血単核球を採取した場合は,「K921-3」末梢血単核球採取(一連につき)を算定できるものであること。
 なお,本算定は原則として1回までとする。
② 本製品を患者に投与した場合は,「K922-2」CAR発現生T細胞投与(一連につき)を算定できるものであること。
 なお,本算定は原則として1回までとする。

(9)その他
 イエスカルタ点滴静注,エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター及び同120mgシリンジについては最適使用推進ガイドライン及び保険適用上の留意事項が示されているので,参照のこと。

▷在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について
 令和3年4月14日に開催された中医協において,メポリズマブ製剤(販売名:ヌーカラ皮下注用100mg,同100mgシリンジ,同100mgペン)を在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加することが了承されたことに伴い,掲示事項等告示及び特掲診療料の施設基準等が一部改正された。

(1) 「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)の改正

(2) 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日付け保医発0305第1号)の改正

▷費用対効果評価結果に基づく価格調整が行われたもの(7月1日から適用)
 市場規模が大きい,または著しく単価が高い医薬品等については,費用対効果評価制度の対象として選定した上で,価格調整を行うこととされているが,令和3年4月14日に開催された中医協において,下記品目について価格調整が行われることが決定された。

使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働告示第60号)の一部改正

▷キムリア点滴静注の留意事項の一部改正について
 キムリア点滴静注の効能・効果等の一部変更が承認されたこと等に関連して,最適使用推進ガイドラインの一部が改正されるとともに,保険適用上の留意事項が改正された。


「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(令和元年5月21日付け保医発0521第4号)の記の3の(4)

▷経過措置品目となったもの(令和4年3月31日まで)

<内用薬>

<注射薬>

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