2021年10月1日号
8月11日付厚生労働省告示第305号および第307号をもって薬価基準の一部および掲示事項等告示の一部が,また同日付厚生労働省告示第306号をもって薬価基準がそれぞれ改正されるとともに関連する留意事項等が示されましたので,その概要を下記のとおりお知らせします。
記
▷新たに収載されたもの(8月12日から適用)
< 内 用 薬 >
< 注 射 薬 >
▷薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1)エブリスディドライシロップ60mg
① 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「遺伝子検査により,SMN1遺伝子の欠失又は変異を有し,SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることが確認された患者に投与すること。」とされているので,SMN1遺伝子の欠失又は変異を有し,SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることを確認した遺伝子検査の実施年月日をレセプトの摘要欄に記載すること。
なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。
② 日本小児神経学会の「ゾルゲンスマ点滴静注 適正使用指針」において,「本品投与後に脊髄性筋萎縮症に対する他剤(ヌシネルセンナトリウム等)を投与した際の有効性及び安全性は確認されていないことから,本品投与後の他剤(ヌシネルセンナトリウム等)投与を推奨しない。他剤による追加治療については,本品による治療の後,一定期間維持されていた運動マイルストーンが消失し,本品投与によって生じた副作用が臨床的に問題ない状態まで回復し,安全性上のリスクが十分管理可能と考えられる患者にのみ検討すること。」とされていることから,オナセムノゲン アベパルボベク(販売名:ゾルゲンスマ点滴静注)の投与後に本製剤を投与する場合は,その必要性を適切に判断し,投与が必要な理由をレセプトの摘要欄に記載すること。
③ 本製剤は,新医薬品に係る投与期間制限(14日分を限度)の例外とされたこと※を踏まえ,令和3年9月1日から起算して1年を経過していない間は,概ね1ヶ月に1回の頻度で診察を行うとともに,概ね2週間に1回の頻度で電話等を用いて,患者の状態や服薬の状況等を確認すること。また,その間,当該診察時には前回処方時以降の当該診察及び確認の実施年月日を,本製剤の処方時には年齢(0歳は月齢)及び体重(20kg未満の場合)をそれぞれレセプトの摘要欄に記載すること。
※脊髄性筋萎縮症の疾患の特性上,頻回の通院は患者負担も大きく,また,遮光保存であり,催奇形性リスクがあることから,小分けせず60mg1瓶を渡すこととなるが,用法用量上,約17kg以下の患者では14日間で1瓶使い切ることができないことや投与初期から14日を超える投薬において安全性が確認されていることなどから,例外的に,「14日間の処方制限の対象外」として承認された。
(2)ベリキューボ錠2.5mg,同錠5mg及び同錠10mg
本製剤を「慢性心不全」に用いる場合は,効能又は効果において,「ただし,慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。また,効能又は効果に関連する注意において,「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため,左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。」とされているので,投与開始に当たっては,左室駆出率の計測年月日及び左室駆出率の値をレセプトの摘要欄に記載すること。
なお,他の医療機関で左室駆出率を測定した場合には,当該測定結果及び医療機関名を記載することで差し支えない。
(3)タズベリク錠200mg
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において,「十分な経験を有する病理医又は検査施設により,EZH2遺伝子変異陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので,EZH2遺伝子変異陽性を確認した検査の実施年月日をレセプトの摘要欄に記載すること。
なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。
(4)レベスティブ皮下注用3.8mg
① 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤は腸管の順応期間を経て,経静脈栄養量及び補液量が安定した,あるいはそれ以上低減することが困難と判断された患者に投与すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
② 本製剤の用法及び用量に関連する注意において,「本剤の投与中は継続的に有効性を評価すること。成人では12ヵ月間の投与でも改善が認められない場合には,投与継続の必要性を検討すること。小児では投与6ヵ月後に有効性を評価し投与継続の必要性を検討すること。本剤投与中に経静脈栄養が不要になった患者においては,個々の患者の状況を踏まえて本剤の投与継続の必要性を検討すること。」とされているので,使用に当たっては十分に留意すること。
③ 本製剤の特定の背景を有する患者に関する注意において,本剤は0.5mg未満の投与量を調整できないため,体重10kg未満の患者及び体重20kg未満の中等度以上の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス50mL/min未満)には用いないこととされているので,使用に当たっては十分に留意すること。
④ 本製剤はテデュグルチド製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
(5)ライザケア輸液
本製剤の効能又は効果は「ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減」であるため,ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)との併用療法を行う場合に限り使用されるものであること。
(6)ギブラーリ皮下注189mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤は臨床症状及び生化学検査等により急性肝性ポルフィリン症と診断された患者に投与すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(7)ルタテラ静注
本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「臨床試験に組み入れられた患者の原発部位,ソマトスタチン受容体陽性の判定方法,前治療歴等について,「17.臨床成績」の項の内容を熟知し,本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で,適応患者の選択を行うこと。特に,消化管以外を原発とする神経内分泌腫瘍患者への投与については,本剤以外の治療の実施についても慎重に検討すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(8)レカルブリオ配合点滴静注用
本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤は,AmblerクラスA又はクラスCのβ-ラクタマーゼの関与が考えられる原因菌による感染症に投与すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(9)デリタクト注
定位脳手術装置を用いて穿頭手術を実施した後に,本製品を腫瘍内投与した場合は,「K154」機能的定位脳手術を算定できるものであること。
(10)ベクルリー点滴静注用100mg
これまで本製剤は,製造販売業者から厚生労働省が提供を受け,各医療機関に配分していたところであり,厚生労働省より配分された本製剤の費用は請求できないものであること。なお,本製剤の製造販売業者から医療機関等への供給開始の時期及びその取扱い等については,今後,別途通知する予定である。
▷費用対効果評価結果に基づく価格調整が行われたもの(11月1日から適用)
市場規模が大きい,または著しく単価が高い医薬品等については,費用対効果評価制度の対象として選定した上で,価格調整を行うこととされているが,令和3年8月4日に開催された中医協において,下記品目について価格調整が行われ決定された。
▷市場拡大再算定の適用による価格の改定が行われたもの(11月1日から適用)
効能変更等が承認された既収載品及び2年度目以降の予想販売額が350億円を超える医薬品について,一定規模以上の市場拡大のあった場合,新薬収載の機会(年4回)を活用して,薬価を見直すこととされているが,令和3年8月4日に開催された中医協において下記のとおり下記品目について,新薬収載の機会を活用して薬価を見直すことが決定された。
▷在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について
8月4日に開催された中医協において,オマリズマブ製剤((季節性アレルギー性鼻炎の治療のために使用する場合を除く。)(販売名:ゾレア皮下注用75mg,同皮下注用150mg,同皮下注75mgシリンジ,同皮下注150mgシリンジ)),及びテデュグルチド製剤(販売名:レベスティブ皮下注用3.8mg)を在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加することが了承されたことに伴い,掲示事項等告示及び特掲診療料の施設基準等が一部改正された。
(1) 「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)の改正
(2) 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日付け保医発0305第1号)の改正
▷留意事項の一部改正について
(1)ゾレア皮下注用75mg,同皮下注用150mg,同皮下注75mgシリンジ及び同皮下注150mgシリンジ
① 本製剤はオマリズマブ製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② ゾレア皮下注用75mgシリンジ及び同皮下注150mgシリンジについては針付注入器一体型のキットであるので,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。
▷経過措置品目となったもの(令和4年3月31日まで)
< 内 用 薬 >
< 注 射 薬 >