2020年2月15日号
情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン(平成29 年9月12 日付医政発0912 第1号)の解釈として疑義が寄せられていた点等について,今般以下のとおりQ & A が示されましたので、ご了知いただきますようお願い申し上げます。
○「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」に関するQ&A
(令和元年10 月厚生労働省)
※下線部が改正部分。
Q1 「ICT(情報通信機器)を利用した死亡診断等に関するガイドライン」(平成29 年9月12 日付け医政発0912 第1号厚生労働省医政局長通知。以下,「ガイドライン」という。)においては,「ICT を利用した死亡診断等を実施するためには,事前に,終末期の際に積極的な治療・延命措置を行わないこと等について,ICT を利用した死亡診断等に関する同意書」(様式1)を用いて,医師-看護師-患者及び家族間で共通の認識が得られていることが必要とされているが,家族がない患者の場合は,どのように同意を得ればよいか。
A1 ガイドラインが,患者本人に加えて「家族」の同意も求めている趣旨は,患者の死後,ICT を利用せず,医師による直接対面での死後診察を受けさせたい等の看取りに関する家族(遺族)の感情を尊重することにある。したがって,患者に家族がない場合は,家族への同意は不要である。ただし,医師が,その旨を同意書又は診療録に記載すること。
Q2 ガイドラインにいう「適切なセキュリティ下で文書及び画像を送受信できる体制」とは,具体的にどのような環境を指すか。
A2 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」(平成29 年5月)を満たす環境を指す。
Q3 ガイドラインにいう「法医学に関する一定の教育」とは,具体的にどのような教育のことを指すのか。
A3 「法医学に関する一定の教育」とは,ガイドラインに基づいて,医師による遠隔からの死亡診断等を補助する看護師が修得すべき内容を含む研修を指す。
研修は,厚生労働省から委託を受けた研修主催者が開催することとし,研修会の名称は「医師による遠隔での死亡診断をサポートする看護師を対象とした研修会」(以下,研修会という。)とする。
Q4 ガイドラインにいう「法医学に関する一定の教育を受けた看護師」とは,具体的にどのような看護師と指すか。
A4 厚生労働省医政局長が,研修会のプログラム全部を修了したこと示す書類(以下,「修了証」という)を交付した看護師を指す。
Q5 研修会を修了したことを示す「修了証」の交付はどのように行われるか。
A5 研修主催者は,研修会終了後,研修計画書に記載された研修プログラム全部を修了したと認める看護師に関する情報を,厚生労働省医政局長に速やかに報告し,修了証交付申請を行うこと。その際,研修主催者は,以下に示す事項を記載した「修了証交付申請書」を,厚生労働省医政局長に提出しなければならない。
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省医政局医事課(遠隔死亡診断等担当)宛
※「遠隔死亡診断等関係書類在中」と朱書きすること
Q6 厚生労働省医政局長による研修の修了確認は,どのように行われるのか。
A6 厚生労働省医政局長は,「修了証交付申請書」の内容に基づき,看護師が,研修プログラム全部を修了しているか等を確認し,看護師に対し「修了証」を交付する。
Q7 看護師が,遠隔からの医師による死亡診断等を補助している際に,異状死体の可能性があると認めた場合は,どのように対応したらよいか。
A7 看護師が,遠隔から死亡診断等を実施する医師に,異状死体の可能性がある旨を,直ちに報告すること。
Q8 遺体の体表面に排泄物等が付着している場合,清拭して差し支えないか。
A8 差し支えない。ただし,医師と連携の下,看護師が実施すること。
Q9 患者の皮下又は血管内に点滴留置針等の医療器具が留置されている場合,医師による遠隔からの死亡確認後,当該器具を抜去しても差し支えないか。
A9 差し支えない。ただし,医師と連携の下,看護師が実施すること。
Q10 薬物分析を行うために,死亡した患者から,経尿道的に尿を採取したいが,差し支えないか。
A10 差し支えない。ただし,医師と連携の下,看護師が実施すること。
Q11 看護師1名のみで遺体の翻転等が困難な場合,看護師が,介助者の協力を得て,遠隔からの死亡診断等の補助を行うことは差し支えないか。
A11 差し支えない。ただし,遺族のなかには,死後診察に立ち会うことにより,精神的ストレスを受ける者がいることも想定される。介助者については,死後診察の手順(遺体を着衣のない状態とし,眼瞼結膜を翻転する等,ガイドラインで規定する一連のプロセス)について十分に理解した者(医療従事者,介護従事者等)であることが望ましい。
Q12 遺族が,「医師が遠隔からの死亡診断を行っている間,ご遺体に付き添っていたい」と強く希望しているが,差し支えないか。
A12 遺族のなかには,死後診察に立ち会うことにより,精神的ストレスを受ける者がいることも想定される。このため,当該遺族が死後診察の手順(遺体を着衣のない状態とし,眼瞼結膜を翻転する等,ガイドラインで規定する一連のプロセス)を十分に理解し,かつ医師が,当該遺族を死後診察に立ち会わせても差し支えないと判断する場合には,遺族を付き添わせても差し支えない。
Q13 ガイドラインによれば,遠隔からの死亡診断等を実施した場合は,厚生労働省に報告することとなっているが,どのような方法によるべきか。
A13 ICT を利用した死亡診断等を実施した医師が,以下の書類について,下記住所に郵送すること。
※ 上記1~4資料を郵送するにあたっては,患者及び家族の氏名,住所を黒塗りし,患者の個人識別ができない状態とした上で,当課から送付する「郵送用封筒」を用いて,簡易書留で郵送すること。
郵送用封筒の送付先については,
厚生労働省医政局医事課(遠隔死亡診断等担当03-5253-1111)に電話で連絡すること。
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省医政局医事課(遠隔死亡診断等担当)宛
※「遠隔死亡診断等関係書類在中」と朱書きすること
※ 当該看護師が,医師による遠隔からの死亡診断等を補助する際に,所属する施設の名称と所在地を記載すること。
※※ 「主として連携する連携医療機関」については,遠隔から死亡診断を行うことが想定される医師が勤務する医療機関の所在地及び名称を記載すること。複数の医療機関と連携することが想定される場合は,全ての医療機関を記載すること。