2021年11月15日号
綾部市立病院 名誉院長
鴻巣 寛
昨年度,京都が主管となり開催される予定であった全国医師会勤務医部会連絡協議会が,新型コロナウイルスの感染拡大により本年秋に延期となり,WEBを活用したハイブリッド開催となりました。松井府医会長をはじめ府医執行部,幹事の先生方,また,ご協力いただきました関係病院の多くの先生方に心より感謝申し上げます。
今回のメインテーマは「勤務医とともに歩む医師会の覚悟~医師会が守るべきもの,変えるべきもの~」という,これまでにない非常にインパクトのある斬新なテーマであったと思っています。今,勤務医を巡っては,医師の働き方改革や新専門医制度,また医師の地域偏在,診療科偏在など,克服すべき課題が山積しています。これは決して勤務医に限ったものではなく,我が国の医療体制そのものに影響する重要な課題として捉え,早急に解決策を探る必要があります。
シンポジウムⅠ「専門医制度の行方」では,2018年に導入された新専門医制度について,地域・診療科間の医師偏在を緩和するために始まったシーリング制度,またサブスぺ領域の学会認定の位置付けなど,多くの課題が残存しており,日本専門医機構のあり方そのものが問われました。そして,今後の方向性として,最も関心を持っている専攻医の意向を十分に把握すべきであるとの意見が多くみられました。
また,シンポジウムⅡ「研修医,若手医師に対する医師会の本気度を問う」は,将来の医療を担う若手医師そして指導医にとって大変興味ある有意義なシンポジウムとなりました。府医では「臨床研修屋根瓦塾」をはじめとした研修医向けの取組みを定期的に開催しています。臨床研修屋根瓦塾は,研修医と指導医が一堂に会して症例検討を行うグループ学習であり,出身大学や研修病院を問わずチームを組み,ともに学ぶ実習体験です。今回は,記録映画をWEBにて全国に配信しました。次世代の有能な指導医を育成するためにも大変有意義なイベントであり,コロナ禍が終息した暁には,顔を見合わせて議論できることを楽しみにしています。そして,若手医師,女性医師のキャリアパスに関する講演では,勤務医・開業医の立場を超えた協働が必要であり,コロナ対策など地域が抱える課題解決には地域単位での医療体制確保が重要で,それをまとめるのは医師会であることを強調。今後,医療界が抱える様々な課題を解決していくには,これからの医療を担う研修医,専攻医をはじめ若手医師の医師会への参画が不可欠であります。そのためには,専門医制度や働き方改革など若手医師に関心度の高い企画や指導医との学術交流を通じて,府医の活動に理解を深めてもらうことが第一歩であると思います。
おわりに,人を育てるという強いリーダーシップを持ち活躍されている指導医の皆様に心より感謝申し上げるとともに,府医が若手医師に広く支持される開かれた会として,今後さらに発展することを願っています。