2021年11月15日号
1.最近の中央情勢について
7月下旬から9月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆厚生労働省の「外来機能報告等に関するワーキンググループ」は7月28日,来年4月施行の外来機能報告制度について,具体的な報告項目や「医療資源を重点的に活用する外来」(重点的活用外来)に該当する外来の項目などについて議論を実施◆田村憲久厚生労働相は8月10日,後発医薬品の供給不足問題について,後発品企業に医療現場への情報提供を指示したことを報告◆厚生労働省保険局医療課は8月16日付で,自宅・宿泊療養患者への電話・オンライン診療について「二類感染症患者入院診療加算」(250点)を1日1回算定可能とする事務連絡を発出◆中医協総会は,2022年度診療報酬改定に向け,在宅医療をテーマに議論―といった話題を中心に説明した。
2.学術講演会の今後の予定について
9月,10月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
3.麻薬免許の一斉更新について
麻薬免許の更新申請(令和元年~令和3年有効の免許保持者)と受払数量届の受付を府医事務局にて実施していることを報告し,期限までの提出を依頼した。特に,免許が失効した場合,麻薬の取り扱いはもとより,在庫の所有についても麻薬および向精神薬取締法違反として厳重に罰せられることを説明し,申請忘れには十分留意するよう呼びかけた。
また,昨年度からの変更点として,今年度から提出書類(受払数量届,更新申請書,診断書)に押印が不要となったことを説明した。
最後に,更新手続や麻薬の在庫の有無にかかわらず,数量届の提出は必須であるため,会員への周知徹底を求めた。〔京都医報: 令和3年9月15日号(No.2205)付録参照〕
4.新型コロナウイルスワクチンに異物混入があった場合の対応について
モデルナ製ワクチンについては,容器内のワクチンを注射器に充塡する際,容器のふたをするゴム栓に対して斜めに針を刺すと,栓の一部が削り取られるコアリングという現象が稀に起こることがあり,これが今回問題となった異物混入の原因の1つであると説明。
コアリングによってゴム片が混入した場合でも除去すれば使用はできるが,穿刺前に異常を発見した場合は使用しないよう注意を呼びかけた。
ファイザー製ワクチンについては,ロット番号FF5357に白色の浮遊物の混入が報告された事例があったが,これは製品の成分であるため,転倒混和することで使用可能になるが,白色の浮遊物がなくならない場合は使用を中止するよう説明した。
最後に,亀岡市医師会より,異物混入発覚時の対応について質問が出され,府医からは,異物混入により使用できなかった場合,破棄せずファイザー社へ提出するとともに同社および行政に報告し,ワクチンを補完してもらうよう説明した。
5.季節性インフルエンザワクチンの供給について
ワクチン確保検討会の検討結果を受けて,季節性インフルエンザの供給について説明。
昨年は,平成8年以降最大の供給量であったが,今年は製造効率が悪かった平成30年または令和元年の供給量と概ね同じになる見通しであるとした。また,供給ペースについては製造メーカーによってばらつきはあるものの,全体的に昨年より供給が遅れるだけでなく,供給量も昨年の7割程度になる見込みであるため,医療機関への供給については影響を最小限にするよう卸業者に求めたことを報告した。
また,未確定ではあるが,医療従事者への新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種時期と季節性インフルエンザの接種時期が重複しており,コロナ禍における季節性インフルエンザワクチンの任意接種のニーズがあるのか見通しが立たないため,現場での混乱が危惧されるとした。
1.ジェネリック医薬品の推進という施策について(右京)
右京医師会は,ジェネリック医薬品の推進が国策として進められているが,供給の不安定さや類似薬剤が多いことから,医療機関だけでなく患者にも大きな負担がかかっていることを問題提起した。
府医では,後発医薬品の品質の確保,安定供給,適切な情報提供を課題として,京都府の後発医薬品に関する会議等でも改善を求めてきたことと併せて,京都府の医療費適正化計画(「京都府中期的な医療費の推移に関する見通し」)においても,国が示す80%という目標設定に縛られた強引な使用促進を進めるべきではなく,従来の取組みの延長でおのずと到達することを目指すよう提言してきたことを説明した。
日医においても,以前より後発品の企業数・品目数が多いことが指摘され,企業再編や品目数の絞り込みが最終的に流通改善や品質担保につながるのではないかとの見解を示しており,後発品メーカーも公的医療を担う重要なステークホルダーであるとして,その役割の重要性を鑑みれば,一般の企業より高い倫理観が求められると指摘していることを紹介した。
また,国全体の取組みとして,品質および安定供給の信頼性の確保に向け,官民一体で,製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化,市場流通品の品質確認検査などの取組みが進められており,厚労省は,医薬品の欠品や供給量が減った際に,製薬企業に報告を義務付ける制度の検討を始めていると報告。
府医としても,京都府の後発医薬品に関する会議や日医,近医連の会議などの機会を捉え,改めて製薬企業に対する医薬品の適正な管理や品質管理およびコンプライアンスの徹底等,信頼回復のための取組みを提言していく意向を示した。
8月に開催された夏の参与会において,地区医が関わる京都市の業務などに関して,京都市と府医が協議・調整する際に,現場の状況を把握している地区医も参加できないかとの要望があったことから,今後,地区庶務担当連絡協議会の全体会議終了後に,必要に応じて,京都市内の地区医との意見交換や京都市担当者からの説明の機会を設けることとなったと報告し,京都市への質問,協議内容等があれば,府医事務局まで提出するよう求めた。