保険だより – 医療保護入院における家族等の同意に関する運用等について

令和元年6月に公布された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により,各制度において、成年被後見人および被保佐人(以下、「成年被後見人等」という)を資格・職種・業務等から一律に排除する規定(欠格条項)が,心身の故障等の状況を個別的,実質的に審査し,必要な能力の有無を判断する規定(個別審査規定)等に改正されたところです。

これにともない,今般,精神保健および精神障害者福祉に関する法律および精神保健および精神障害者福祉に関する法律施行規則が一部改正され,医療保護入院の家族等の同意に関する規定が改められたことから,下記のとおりQ&Aが作成されるとともに,「医療保護入院における家族等の同意に関する運用について」についても,一部改正されましたので,併せてお知らせします。

成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う医療保護入院における家族等の同意に関するQ&A

問1 今般の改正の趣旨は何か。

(答) これまで,各種資格制度等において成年被後見人及び被保佐人(以下「成年被後見人等」という。)を資格・職種・業務等から一律に排除する規定(欠格条項)が設けられていたところ,成年被後見人等の人権が尊重され,成年被後見人等であることを理由として不当に差別されないよう,当該欠格条項を,心身の故障等の状況を個別的,実質的に審査し,各制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定(個別審査規定)に改正するものである。

問2 成年被後見人等は「家族等」として医療保護入院の同意を行うことができるのか。

(答) 成年被後見人等も精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25 年法律第123 号)第33 条第1項の「家族等」として医療保護入院の同意を行い得るが,成年被後見人等は,精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるか,事理を弁識する能力が著しく不十分であることから,成年被後見人等から同意をとることについては,「精神の機能の障害により医療保護入院の同意又は不同意の意思表示を行うに当たって必要な認知,判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」に該当していないかどうか,精神科病院の管理者において慎重な判断をされたい。 なお,判断に当たっては,成年被後見人等の精神の機能の状態についての成年後見人又は保佐人の意見を参考にすることも考えられる。

問3  成年被後見人等であるが医療保護入院の同意又は不同意の判断を行うことができる者について,どのような者が考えられるか。

(答) 例えば,成年被後見人等であるものの,家族関係等は把握しており,また,他者の話を理解し回答する能力も有している者は,医療保護入院の同意・不同意の判断を行うことができる者に当たる場合もあると考えられる。

医療保護入院における家族等の同意に関する運用について(平成26 年1月24 日障精発0124第1号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知)の一部改正(障精発1206 第1号 令和元年12 月6日)

2020年2月15日号TOP