保険だより – 薬価基準の一部改正等について

 令和3年11月24日付厚生労働省告示第387号および第388号をもって薬価基準および掲示事項等告示がそれぞれ改正されるとともに,関連する留意事項等が示されましたので,その概要を下記のとおりお知らせします。

▷新たに収載されたもの(令和3年11月25日から適用)

<内用薬>

<注射薬>

▷薬価基準の一部改正にともなう留意事項について
(1)アジルバ顆粒1%
 本製剤は,既に薬価収載後1年以上を経過している「アジルバ錠10mg,同錠20mg及び同錠40mg」(以下「既収載品」という。)と有効成分が同一であり,今般,錠剤である既収載品において小児における用法・用量が追加されたことに伴い,小児等が服用しやすい顆粒剤として承認された剤形追加医薬品であることから,新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度)は適用されないものであること。

(2)ビンマックカプセル61mg
 1)本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤の適用にあたっては,最新のガイドラインを参照し,トランスサイレチンアミロイドーシスの診断が確定していることを確認すること。」とされていることから,トランスサイレチンアミロイドーシスの診断及び治療に精通した医師のもとで,本製剤の投与が適切と判断される症例に使用すること。
 2)本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「NYHA心機能分類Ⅲ度の患者では,NYHA心機能分類Ⅰ・Ⅱ度の患者より相対的に本剤の有効性が低い可能性があるので,本剤の作用機序,及び臨床試験で示唆されたNYHA心機能分類と有効性の関係を十分に理解し,患者の状態を考慮した上で,本剤投与の要否を判断すること。」及び「NYHA心機能分類Ⅳ度の患者における有効性及び安全性は確立していない。」とされているので,使用に当たっては十分留意し,本製剤の初回投与に当たっては,NYHA心機能分類Ⅰ~Ⅲ度の患者を対象とすること。
 3)本製剤の薬剤料については,次の①又は②のすべての要件を満たした場合に算定でき,いずれに該当するかをレセプトの摘要欄に記載すること。(「患者要件①」又は「患者要件②」と記載)
① 野生型の場合
 ア 心不全による入院歴又は利尿薬の投与を含む治療を必要とする心不全症状を有すること
 イ 心エコーによる拡張末期の心室中隔厚が12mmを超えること
 ウ 組織生検によるアミロイド沈着が認められること
 エ 免疫組織染色によりTTR前駆タンパク質が同定されること
② 変異型の場合
 ア 心筋症症状及び心筋症と関連するTTR遺伝子変異を有すること
 イ 心不全による入院歴又は利尿薬の投与を含む治療を必要とする心不全症状を有すること
 ウ 心エコーによる拡張末期の心室中隔厚が12mmを超えること
 エ 組織生検によるアミロイド沈着が認められること

(3)リンヴォック錠30mg
 本製剤は,既に薬価収載後1年以上を経過している「リンヴォック錠7.5mg及び同錠15mg」(以下「既収載品」という。)と有効成分が同一であり,今般,既収載品において既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に係る効能・効果及び用法・用量が追加されたことに伴い,当該用法・用量に必要となる製剤として承認された剤形追加医薬品であることから,新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度)は適用されないものであること。

(4)レットヴィモカプセル40mg及び同カプセル80mg
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「十分な経験を有する病理医又は検査施設により,RET融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので,RET融合遺伝子陽性を確認した検査の実施年月日をレセプトの摘要欄に記載すること。
 なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本製剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。

(5)ソグルーヤ皮下注5mg及び同皮下注10mg
① 本製剤は,ヒト成長ホルモン製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤は,注入器一体型のキットであるので,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算は算定できないものであること。

(6)コセンティクス皮下注75mgシリンジ
① 本製剤はセクキヌマブ製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤については針付注入器一体型のキットであるので,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。
③ 本製剤は,既に薬価収載後1年以上を経過している「コセンティクス皮下注150mgシリンジ及び同皮下注150mgペン」(以下「既収載品」という。)と有効成分が同一であり,今般,既収載品において小児における用法・用量が追加されたことに伴い,当該用法・用量に必要となる製剤として承認された剤形追加医薬品であることから,新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度)は適用されないものであること。

(7)パドセブ点滴静注用30mg
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤の一次治療における有効性及び安全性は確立していない。」及び「PD-1/PD-L1阻害剤による治療歴のない患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。」と記載されているので,PD-1/PD-L1阻害剤を含む化学療法による治療歴を有する患者に投与することとし,その旨をレセプトの摘要欄に記載すること。

(8)ライアットMIBG-I131静注
 本製剤の効能又は効果は「MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ」であり,MIBG集積陽性が確認された患者が対象であることから,MIBG集積陽性を確認した検査の実施年月日をレセプトの摘要欄に記載すること。
 なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本製剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。

(9)アロフィセル注
① アロフィセル注については,日本大腸肛門病学会の「アロフィセル注 適正使用指針」に従い使用するとともに,当該指針の施設要件等に準拠した,副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な医療機関で使用するよう十分留意すること。
② 本製品の効能,効果又は性能において,「非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療。ただし,少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な場合に限る。」及び用法及び用量又は使用方法に関連する使用上の注意において,「本品を再投与した臨床成績は得られておらず,痔瘻の状態を十分に確認した上で,再投与の要否を慎重に判断すること。」とされていることから,このような場合に限り算定できるものであり,次の事項をレセプトの摘要欄に記載すること。
 ア 本製品の投与が適切と判断した理由
 イ 既存治療薬による治療として使用していた薬剤の品名及び使用期間
 ウ 本製品の投与回数(1回目又は2回目と記載する)
③ 本製品を患者に使用した場合は,「K743」痔核手術(脱肛を含む。)の「1」硬化療法を算定できるものであること。

(10)アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.2mL「MA」,同BS皮下注40mgシリンジ0.4mL「MA」,同BS皮下注80mgシリンジ0.8mL「MA」及び同BS皮下注40mgペン0.4mL「MA」
① 本製剤はアダリムマブ製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤は針付注入器一体型のキットであるので,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

▷診療報酬における加算等の算定対象となる「後発医薬品のある先発医薬品」(令和3年11月25日から適用)

<注射薬>

▷費用対効果評価結果に基づく価格調整が行われたもの(令和4年2月1日から適用)
 市場規模が大きい,または著しく単価が高い医薬品等については,費用対効果評価制度の対象として選定した上で,価格調整を行うこととされているが,令和3年11月17日に開催された中医協において,以下の内用薬1品目について価格調整が行われ決定された。

▷保険医が投与することができる注射薬の対象薬剤に追加について
 11月17日に開催された中医協において,ビルトラルセン製剤(販売名:ビルテプソ点滴静注250mg)を保険医が投与することができる注射薬の対象薬剤に追加することが了承されたことに伴い,掲示事項等告示及び「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部が改正された。

◎「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日付保医発0305第1号)(傍線部分は改正部分)

▷経過措置品目となったもの(令和4年3月31日まで)

<内用薬>

<注射薬>

<外用薬>

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