2022年2月1日号
八幡中央病院 真鍋 由美
綴喜医師会は京田辺市、八幡市、井手町、宇治田原町の2市2町からなり、京都府南部の東西に渡る範囲に位置しています。コロナ禍以前には、京都に外国人観光客が押し寄せる中、京都府南部の綴喜地域にも観光客の方の姿が見られました。当院の所在地の八幡市には日本三大八幡宮の石清水八幡宮や、日本でも稀な地形である三川合流地域、その川を分かつ堤防は全国的に有名な桜の名所である背割堤、近くには松花堂庭園などがあり、観光バスが次々に来るといった光景もありました。
2019年からの新型コロナ感染蔓延による未曾有の事態が襲来して以来、日本全国、京都府も多分に漏れず、また私達の綴喜医師会が含まれる山城北地域の各医療機関でも多数の感染者が出て我々医療関係者はこれまでに経験したことのない非常事態を経験しました。診療の形式や、設備面、人員確保等、様々な面で課題が露呈しました。
2021年もコロナ一色でしたが、日本では1年延期になった東京オリンピックが無観客で開催されたり、一時はすべてが中止となっていたイベントなども少しずつ対策を講じながらできるようになりました。我々医療者もWebを利用して活動を再開することができ、戸惑いながら開始したワクチン接種においては、綴喜医師会では各班が助け合い何とか1回目、2回目の接種を目標どおり終えることができました。
直近の第5波は京都でも大変な感染者数が出たものの、綴喜医師会では、山城北保健所管内で保健所との連携をとりながら、各班で開業医の先生方と病院とが一緒になり医療機関の体制整備、検査体制の整備、在宅医療においても新型コロナ患者さんへの対応が進み、何とか乗り切ることができました。
ただ、我々医療関係者は新型コロナ感染の波の満ち引きに応じて臨機応変な対応をしなければならず苦労しました。Webでの活動は確かに便利で今後も活用されていくものと思われますが、やはり同じ空間に集まり顔をつきあわせて会話する程コミュニケーションを深めることはとても難しいと感じました。医療従事者のメンタルヘルスの問題も大きく目立つようになりました。
このような1年であった2021年の丑年は、「辛丑(かのとうし)」という年であったそうです。日本では干支というと「十二支」を思い浮かべますが、本来は10種類の「十干」と12種類の「十二支」を組み合わせた60種類の干支が存在するそうです。「辛丑」の「辛」には冷たい風で草木が枯れ、新しくなろうとしているという意味があり、「丑」には種が土の中で芽を出そうとしているという意味があります。物事の終わりと始まりが重なる転換期になると言われています。
2021年4月の松花堂庭園の写真です。
2021年4月の松花堂庭園の写真です。
一方、今年の寅年は、「壬寅(みずのえとら)」で、「壬」の字は「妊」につながり植物の内部に種子が生まれる意味、「寅」は動くの意味で春の草木が生ずることを表しています。「辛丑」から「壬寅」への移り変わりは、冬が厳しい程春の芽吹きは生命力にあふれ、華々しく生まれる年になるということらしいです。
綴喜医師会の八幡班会議への出席のため、定期的に八幡の名所のひとつである松花堂庭園を訪れる機会があります。現在はコロナ禍でひっそりと人気がなく、訪れる度、以前のように観光バスが来る日はいつになるのだろうと思います。春の光の中の美しい庭園の風景を想像しながら、今年こそはコロナが落ち着いたら!とこれまでのダメージが大きい分、希望に満ちた芽吹きを期待したいものです。しかし芽吹きが大きければ大きい程、将来激烈に枯れてしまうかもしれないという心配もあります。綴喜医師会でも開業医の先生方、病院がひとつになり手探りでこのコロナと戦ってきましたが、このような非常事態が来ても、去っても、臨機応変に対応できるsustainableな医療体制への取組みに綴喜医師会の一員として微力ながら力を尽くしてまいりたいと痛感させられるこの頃です。
綴喜医師会
〒614-8365
八幡市男山金振1-32 R-Bビル101
もりおか耳鼻咽喉科医院
TEL:075-972-5733 FAX:075-972-3033
H P:https://tsuzuki-med.wixsite.com/info
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会 長:森岡 稔勝
会員数:201人(2021.11月現在)