2022年2月1日号
てんかんの治療に使用されているカルバマゼピン製剤およびバルプロ酸ナトリウム製剤については,一部の製剤の出荷停止や出荷調整により,供給が不安定となっており,医療機関・薬局において,必ずしも十分な量の製剤が入手できない状況が生じています。
厚労省では,製造販売業者に対して,早期の安定供給再開に向けた対応を依頼しているところですが,これらの製剤は,それぞれ「焦点てんかん」および「全般てんかん」の第一選択薬と位置付けられています。
つきましては,これらの製剤が安定的に供給されるまでの間,必要な患者が適切なてんかん治療を継続して受けられるよう,下記対応を依頼する旨の厚労省事務連絡が発出されましたので,お知らせします。
記
1.カルバマゼピン製剤及びバルプロ酸ナトリウム製剤によって発作が抑制されている患者を最優先として,同薬剤の継続を考慮してください。その際,先発薬・後発薬の切り替えや剤形の変更は血中濃度の変化によって発作の再発や副作用の発現を誘発するおそれがあり,原則として推奨されない1)。不安定な薬剤供給状況により変更を考慮せざるを得ない場合は,患者・家族への十分な情報提供と同意取得をお願いします。
2.新たに抗てんかん薬を開始する場合には,カルバマゼピン製剤及びバルプロ酸ナトリウム製剤以外の薬剤も検討してください。薬剤選択においては,ガイドライン2)や日本てんかん学会専門医3)の意見を参考にしてください。
3.カルバマゼピン製剤及びバルプロ酸ナトリウム製剤はもとより,代替の抗てんかん薬の必要以上の確保・購入は控えていただきたい。
4.カルバマゼピン製剤及びバルプロ酸ナトリウム製剤を処方する場合は,患者の不利益にならない範囲で可能な限り長期処方を避けることも検討してください。
1)日本神経学会監修,「てんかん診療ガイドライン」作成委員会編集「てんかん診療ガイドライン2018」医学書院,2018. P38
2)同上.P25-51
3)日本てんかん学会専門医名簿.https://square.umin.ac.jp/jes/senmon/senmon-list.html